サイバー防御の新事業を発表する日立製作所の徳永俊昭社長(3日、東京都千代田区で)

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 企業へのサイバー攻撃が相次ぐ中、システム開発を手がけるIT各社が、AI(人工知能)を活用して被害を防ぐためのサービスを強化している。

 システムの弱点を大量に発見できる高性能なAIが登場し、弱点の修正などの対応を迫られる企業や自治体も増えており、サイバー防御支援は大きな商機となりそうだ。(鈴木瑠偉、林航平)

出荷停止

 日立製作所は3日、米国のグーグルやオープンAIが開発した高性能AIを使ってシステムを診断し、弱点の検出や修正を行うサービスを始めたと発表した。攻撃を受けた場合の復旧支援も行う。徳永俊昭社長は「AI時代のリスクから社会を守る必要がある」と意義を強調した。

 NECも、米アンソロピックなどの高性能AIを使い、同様に弱点の検出や修正を行うサービスを9月末から始める。3年間で売上高300億円を目指す。

 サイバー攻撃を受けた企業の事業への影響は大きい。アサヒグループホールディングス(GHD)や事務用品通販大手アスクルは昨秋、システム障害で受注や出荷を停止。アサヒGHDは、2025年12月期の連結売上収益が695億円程度押し下げられた。冷凍食品大手ニチレイも今年7月、商品出荷などに影響が出た。個人情報の流出につながるケースも後を絶たない。

専門人材20倍

 攻撃の脅威に対抗するサイバー防御は高度化が迫られている。従来は、システムを開発したIT各社が納品後も管理を受託し、その一環として保守・運営を担う程度だった。最新の高性能AIは、システムの不備などを大量に発見するため、即座に、継続して修正に当たるには、サービスや人員を含めた態勢強化が欠かせない状況だ。

 7月からサイバー防御サービスを日本で始めたソフトバンクグループは、従来の約20倍となる1000人規模の専門人材が顧客企業を支援する。

 富士通も8月、100人規模の専門組織を新設すると発表した。自社のAIなどを活用して攻撃の兆候を継続的に検知・分析し、顧客企業の経営層とサイバー防御の戦略を練る。太田雅浩執行役員常務は「経営層が主導し、現場と一体となって防御に当たる重要性が高まっている」と強調する。

米中製に依存

 ただ、サイバー防御の中核を担う高性能なAIは、ほぼ海外製に依存しているのが現状だ。MM総研が企業のサイバー防御担当者に行った調査では、67%が「外資系AIへの依存に懸念がある」と答えた。データの国外流出や、安全保障を理由にした他国の政府による急な利用制限といった事態が想定される。

 第一ライフ資産運用経済研究所の柏村祐主席研究員は「高性能なAIは、ほとんどが米国と中国で開発されている。日本では、広く公開されているオープンソースのAIを活用するなどしてリスクに備える必要がある」と指摘する。