白内障の進行度(グレード)とは?段階ごとの症状や治療方法、検査について解説

白内障は、目のなかでレンズの役割を果たす水晶体が濁る病気です。加齢に伴って発症しやすくなり、年齢を重ねるにつれて多くの方に見られる変化の一つとされています。

視界のかすみや、光をまぶしく感じる症状が主な特徴です。日常生活に支障をきたす前に、適切な検査と治療を受けることが大切です。

本記事では原因や具体的な症状、眼科で実施される専門的な検査方法を詳しく解説します。進行段階に応じた治療の目安や、手術を検討するタイミングも参考にしてみてください。

早期発見につながるセルフチェック方法を取り入れ、目の健康維持に活かしましょう。

監修医師:
坂西 良仁(坂西眼科医院)

1965年に祖母が開院した眼科医院を2024年5月に継承し3代目院長に就任。院長就任前は、多数の硝子体手術を手掛ける順天堂大学医学部附属浦安病院にて、教育・研究・臨床に尽力。同病院の眼科手術部長として、主に網膜硝子体疾患の難症例に数多く向き合い、高度な医療技術の研鑽を重ねてきた。長年培った専門性と知見を生かし、現在も大学病院での医療や教育に携わりながら地域の方々に寄り添った眼科医療を提供している。

白内障の原因や主な症状

白内障とはどのような病気ですか?

水晶体は本来透明で、外からの光をスムーズに通す重要な役割を担っています。この水晶体が何らかの理由で白く濁り、光が届きにくくなる状態が白内障です。ピントを合わせる機能が損なわれるため、視力が低下する原因になります。放置すると濁りが強くなり、見え方に支障をきたす恐れがあります。日本国内で、中高年の視力低下を引き起こす代表的な病気の一つです。症状の進み方は片目ずつ異なる場合があり、両目が同時に悪化するとは限りません。眼鏡の度数を調整しても見え方が改善しない場合は、白内障をはじめとする目の病気が関係している可能性があるため、早めの受診が大切です。

白内障の原因を教えてください。

白内障を発症する一般的な原因は加齢に伴う組織の変化です。年齢とともに水晶体内のタンパク質が変質し、徐々に濁りが生じます。80歳以上の高齢の方では、ほとんどの方にこの変化が見られるのが現状です。加齢だけでなく、多様な要因が若い世代での発症を早める場合もあります。例えば、糖尿病やアトピー性皮膚炎などの全身疾患が目の組織に影響を及ぼす場合です。ステロイド薬などの長期使用も誘因の一つに挙げられます。目を強くぶつけるなどの外傷や、紫外線による酸化ストレスも発症に関わります。

白内障になるとどのような症状が出ますか?

初期段階では目立った自覚症状が乏しく、自身で病気に気付かないまま過ごしがちです。進行すると水晶体の濁りが広がり、視界全体に霧がかかったようにかすむ症状がよく見られます。また、光をまぶしく感じやすくなり、街灯や対向車のヘッドライトがギラギラと不快に見える場合もあります。物が二重や三重に重なって見えることもあるため注意が必要です。視力が低下すると小さな文字が読みにくくなり、暗い場所で見えにくさを感じるだけでなく、明るい場所でも見え方が不安定になります。その結果、日常のさまざまな場面で不自由さを覚える機会が増えていきます。

白内障の見え方の特徴を教えてください。

濁った水晶体を通ることで光が不規則に乱反射し、視界全体が白く不鮮明な状態になります。全体的に黄色や茶色がかって見えるため、本来の鮮やかさが徐々に失われがちです。特に青色が見えにくくなり、色の正確な識別が困難になるケースが報告されています。眼鏡を新調しても文字の輪郭がぼやけ、すっきり見えない感覚が特徴になるでしょう。また、太陽光が強くまぶしく感じられ、屋外での歩行や運転が困難になるかもしれません。一時的に近くの文字にピントが合いやすくなる現象が起こるケースもありますが、これは水晶体が硬化する病気の進行による変化です。

白内障のセルフチェック方法と眼科で行う検査

白内障のセルフチェック方法を教えてください。

自宅で簡単に目の状態を確認する手段として、片目ずつ見え方を細かくチェックする方法があります。まずは片目を手で遮り、カレンダーの数字や時計の針がかすんで見えないか確認する手順です。左右の見え方に明らかな違いがないか交互に試すことで、異変に気付きやすくなります。普段使用している眼鏡や老眼鏡をかけた状態で、遠くや近くの見え方も確認しましょう。街灯の光が以前より滲んで見える場合や、周囲の景色が黄色っぽくくすんで感じる場合は注意を要します。違和感が続く場合は、早めの眼科受診を検討しましょう。

眼科での白内障の検査方法を教えてください。

眼科では病気の有無や進行度を正確に把握するため、複数の専門的な検査を組み合わせて実施します。視力検査では、現在の裸眼視力や矯正視力を測定して低下の度合いを調べます。スリットランプと呼ばれる顕微鏡を使用する細隙灯顕微鏡検査は、水晶体の濁り具合を直接観察する検査です。この検査によって、濁りの位置や範囲を詳細に確認できます。さらに、眼圧検査や眼底検査を行うことで、ほかの眼疾患が隠れていないかを総合的に判断するのが一般的です。検査方法に不安がある場合は、事前に医師へ確認しましょう。

白内障の進行度(グレード)ごとの症状と治療方法

白内障は進行度(グレード)によって症状や見え方は異なりますか?

白内障は水晶体の濁りが拡大していく病気であり、水晶体の濁りの広がり具合によって、自覚症状や見え方は段階的に変化します。初期段階では自覚症状が乏しい場合があるため、視力低下を感じない状態が一般的でしょう。病気の進行に伴って濁りが水晶体の中心部に及ぶと、光の乱反射によるまぶしさやかすみが出現します。さらに末期になると全体の濁りが極めて強くなり、明暗しか判別できない状態に至るケースもあります。見え方の正確な変化を客観的に評価するためには、医師による定期的な診察が欠かせません。

白内障の進行を遅らせる方法はありますか?

現時点で完全に進行を止める治療手段はありませんが、進行を遅らせる目的で、点眼薬や生活上の対策が行われます。初期段階であれば、医療機関から処方される点眼薬を使用して進行を遅らせることができます。日常生活においては紫外線が水晶体に影響を与える可能性があるため、UVカット機能のある眼鏡を着用することが対策の一つとなるでしょう。また、糖尿病などの全身疾患がある場合は、血糖を管理して適切に治療を続けることも、目の症状悪化を防ぐうえで大切です。

治療や手術を検討する目安を教えてください。

手術を検討する基準は、日常生活や仕事でどのくらい支障が出ているかによります。客観的な目安の一つとして挙げられるのが、運転免許の更新が難しくなるタイミングです。普通自動車免許の場合、両眼で0.7以上かつ左右それぞれで0.3以上の視力(矯正含む)が必要となるため、これらを下回ると更新に支障をきたします。また、眼鏡を調整しても文字が見えにくく、趣味の読書やスマートフォンの操作に不便を感じる場合も検討の目安です。屋外でまぶしさを強く感じ、歩行や移動に困る場合も考慮するとよいでしょう。医師が濁りの進行を確認したうえで、一人ひとりの生活様式に合わせた時期を提案します。

進行度(グレード)別の治療方法を教えてください。

白内障は明確な数値で区別するよりも、症状の度合いに応じた治療の選択が適切な方針です。初期段階の濁りが軽い時期は、点眼薬を用いた薬物治療が行われます。これは病気の進行スピードを緩やかにする目的であり、濁り自体をなくす効果はありません。症状が進行して日常生活の視機能が著しく低下した場合には、手術が有効な選択肢です。濁った水晶体を取り出し、人工の眼内レンズを挿入することで見え方の改善を目指す治療です。病期に応じた適切なアプローチを選ぶことで良好な見え方の維持を目指せます。

編集部まとめ

白内障は主に加齢に伴って目の中の水晶体が濁る病気であり、誰にでも発症する可能性があります。視界のかすみや強いまぶしさを感じたら、放置せずに専門の眼科医を受診することが健康維持への第一歩です。

発症の初期段階では適切な点眼薬を用いて進行のスピードを緩やかに保ち、経過を注意深く観察する選択が基本となるでしょう。

日常生活や仕事に具体的な不便が生じるほど症状が進んでいる場合は、手術の必要性について眼科医に相談するとよいでしょう。白内障手術は、安全性の高い手術の一つです。日常生活で不自由を感じるようになったら我慢しすぎず、手術の時期について早めに眼科医へ相談しましょう。

定期的な眼科検査を受けることで、早期発見と適切な時期に治療をすることが可能です。自身の目の状態を正しく把握し、快適な視力をこれからも末永く維持していく努力が大切です。

参考文献

白内障手術について|日本白内障屈折矯正手術学会

白内障とは|国立国際医療研究センター

白内障になったらどうすればよいのか|日本白内障学会

白内障の手術適応と手術方法|日本白内障学会

白内障と緑内障について|四国こどもとおとなの医療センター

白内障①|関西ろうさい病院

白内障自己診断テスト|日本白内障学会