常陸大宮市役所の公式サイトより

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政府は、原子力発電で生じる“核のゴミ”(高レベル放射性廃棄物)を地下深く埋める場所を探している。最終処分場と呼ばれるところだ。その候補の1つとして、茨城県常陸大宮市に文献調査を申し入れ、鈴木定幸市長は「前向きに検討したい」と話した。

文献調査とは、最終処分場を選定するための3段階ある調査プロセスの第1段階となる最初の調査だ。地下300メートルより深い岩盤に核のゴミを埋める「地層処分」なので、火山や活断層、鉱物資源などの地域固有のデータや国内外の文献を収集・分析する。実際に地面を掘るボーリングなどは行わず、既存の資料やデータに基づく「机上調査」として約2年かけて実施される。

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ただ、この文献調査を行ったからといって、すぐに茨城県に核のゴミが埋められるわけではない。文献調査の終了後、第2段階の「概要調査」に進むことになれば、ボーリングなどの現地調査を行って約4年間、地下の地質や岩盤の状況を詳しく調べる。その概要調査もパスすると、第3段階の「精密調査」に移り、実際に地下深部に調査坑道(トンネル)を建設して岩盤や地下水の特性を精密に調べることになる。これには14年程度かかる。

このように、最終処分場を決めるまで約20年かけることになっているが、そもそも、原発の営業運転が始まった1966年以前から国は最終処分場を探していた。にもかかわらず、どこも決まらず今に至っており、原発は「トイレのないマンション」と揶揄(やゆ)されてきた。

国が本気で“この状況はヤバい”と考えて法整備したのが2000年。「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(最終処分法)」が成立し、国として最終処分の手続きや主体を本格的に定めた。処分場の選定や建設・運営を担う組織として、原子力発電環境整備機構(NUMO:ニューモ)を設立した。

NUMOは2002年から全国の市町村に対して、文献調査を受け入れる自治体の公募を開始したものの、応募する自治体はまったく現れなかった。そこで政府は2007年、文献調査に応じた自治体に対して最大20億円が支払われる仕組み(電源立地地域対策交付金)を制度化した。それでも長らく応募がない状態が続いたが、2020年に北海道の寿都町と神恵内村が文献調査を受け入れた。

常陸大宮市の鈴木市長は記者会見で、受け入れた際のメリットについて「お金」とはっきり言っている。文献調査の段階であり、別に批判されるようなことではない。

ただ、茨城県は最終処分場にふさわしい場所なのだろうか。8月23日に最大震度5弱の地震が関東を襲ったが、茨城県南部が震源地だった。反対の声を上げた常陸大宮市民でなくても、不安になるのは当然だ。

東京は電気の大消費地であるにもかかわらず、関東で現在稼働中の原発はないため、東京に住む人は原発をめぐる深刻な問題に関して今ひとつ身近に感じていない。福島第一原発事故のとき初めて不安を感じたという人も少なくないだろう。

最終処分場選定も、これまで議論になったのは北海道や佐賀県であり、東京に住む人には他人事だったかもしれない。しかし、今回、茨城県が候補に加わったことにより、真剣に考える機会になるかもしれない。

文/横山渉 内外タイムス