防衛省

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 政府は、長射程ミサイルで相手を無力化する「反撃能力」の実効性を高めるため、多数の人工衛星を一体運用して目標を追尾・探知する「衛星コンステレーション」を100基以上の体制に増強する方向で検討に入った。

 目標の特定に不可欠な「目」の能力を向上させ、抑止力を強化する狙いがある。年内に改定する安全保障3文書に方向性を明記する。

 複数の政府・与党関係者が明らかにした。防衛省は、現行計画で数十基体制となっている衛星の数を大幅に増やすことで、艦艇や移動式発射台(TEL)などの移動目標を特定する能力や、継続的に追尾する精度の向上につなげる。集めた情報は洋上の警戒監視にも役立て、警戒管制レーダーが少ない太平洋側の防衛体制強化も目指す。

 TELを巡っては、中国や北朝鮮が多数運用し、ミサイル発射地点の事前把握が課題となっている。当面は米軍の衛星情報を活用して移動目標を探知する構えだが、自前での衛星網構築が急務だ。

 現行計画では、2027年度末までに衛星数十基体制による監視網を構築する。30年度末まで運用する予定で、防衛省は経費として25年度当初予算に2832億円を計上した。100基以上の監視体制は31年度以降の次期計画で構築し、関連経費は現行計画の2倍以上に拡充する方向で調整している。

 衛星網の増強は現行計画と同様、国内の民間企業が保有・運用する衛星を活用するPFI方式で進める。画像撮影の優先権は防衛省が持ち、余力があれば別の企業などへの画像販売も認める。宇宙産業の活性化を通じて「防衛と経済の好循環」(防衛省幹部)につなげたい考えだ。

 衛星網の増強は、敵の射程範囲外から攻撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」の実効性を高めるために欠かせない。自衛隊は今年3月、熊本県に射程1000キロ・メートル超の25式地対艦誘導弾を配備した。射程1600キロ・メートル超の米国製巡航ミサイル「トマホーク」を実射可能なイージス艦「ちょうかい」は8月末、改修を終え、長崎県に帰港した。

 防衛省はこれとは別に、中国やロシアが開発を進める「極超音速滑空兵器(HGV)」を探知・追尾する観測網の整備も目指している。

 ◆衛星コンステレーション=同一の軌道上に多数の小型人工衛星を打ち上げ、一体的に運用する仕組み。防衛省の計画では、解像度の高い光学衛星と、対象物に反射した電波を観測する夜間や曇天でも対応可能な合成開口レーダー(SAR)衛星を組み合わせ、情報収集を行う。2000キロ・メートル以下の低高度の軌道上に多数配置する。