第83回ベネチア国際映画祭、『襲名』公式上映直後の(左から)三池崇史監督、市川團十郎、市川新之助

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 歌舞伎俳優・市川團十郎に密着した三池崇史監督初のドキュメンタリー映画『襲名』(9月25日公開)が、現地時間4日、「第83回ベネチア国際映画祭」のアウト・オブ・コンペティション部門で公式上映された。上映後には約5分間にわたって拍手と歓声が続き、團十郎、市川新之助、三池監督が喜びを語った。

【画像】会場の拍手に包まれ、笑顔で顔を見合わせる市川團十郎、市川新之助

 上映前のフォトコールには、團十郎、新之助、三池監督の3人が登場。團十郎は、先日のレッドカーペットに続き、歌舞伎演目『男伊達花廓(おとこだて はなのよしわら)』の江戸一番の男伊達・御所五郎蔵の衣裳で姿を見せ、海外メディアから感嘆の声が上がった。

 3人はフォトコールを終えると、公式上映の冒頭にも登壇。歌舞伎衣裳に身を包んだ團十郎が姿を現すと、満席の会場から大きな拍手が送られた。

 上映後のQ&Aで三池監督は、團十郎との出会いをきっかけに、歌舞伎へ直接触れるようになったと説明。「子どもの頃から歌舞伎の存在は知っていましたし、学校の授業で見たりもしましたが、自分にとっての歌舞伎とは“市川團十郎”そのもの。そのときの衝撃や出会いを、歌舞伎を詳しく知らない方々にも体験していただきたかった」と、本作に込めた思いを明かした。

 観客が途中で席を立つのではないかという心配もあったといい、「最後まで残って拍手をいただき、本当にうれしく思います」と感謝。「さまざまな国の方々に、できるだけ“ライブ”な感覚で市川團十郎と、その息子・新之助を体験していただきたい。“理解してくれ”というよりは、“なんだこれは”“歌舞伎とは何なんだ”という衝撃や、芝居そのものを体験していただければ」と語った。

 團十郎も、海外の観客が歌舞伎をどのように受け止めるのか「不安で仕方がなかった」と告白。「『襲名』というものは日本独特の世界ですが、三池さんの力によって、ここにいらっしゃる多くの方々に観ていただけて本当に光栄でした」と喜びを表した。

 さらに、「私自身も映画の中の姿と同じように、もっと高みを目指して頑張りたいと改めて思いました。この一期一会の時間を皆さんと過ごすことができて、本当にうれしく思っています」とコメント。「日本に来る機会があったら、ぜひ歌舞伎を観てみてください。グラッツェ!」とイタリア語で感謝を伝え、再び大きな拍手を浴びた。

 Q&A終了後も3人の周囲には観客が集まり、團十郎らはサインの求めに応じていた。

 上映後のインタビューで三池監督は、「いろいろな映画祭で、さまざまな形のスタンディングオベーションを体験してきましたけれど、こんなにも力強く、愛に満ちた拍手は本当に初めて。本当に素晴らしかったです」と感激をあらわにしていた。