台風の接近が伝えられています。水害対策について知っておきたい情報をあらためて紹介します。少しでも今後の備えや日々の安心につながれば幸いです。

年々高まる、集中豪雨や超大型台風などの「水害」のリスク。防災の意識はあっても、水害対策はなにをすればいいかわからない人も多いかもしれません。水害は “家に住めなくなる” や “身動きが取れなくなる” などの大きな被害を生みます。今回は、そんな「水害」の被害と、水害の予報が出たらすべき「4つの対策」について、国際災害レスキューナースの辻 直美さんにお話を聞きました。

※ 記事の初出は2025年4月。年齢を含め内容は執筆時の状況です。

水害が起きたらどうなる?知っておきたいこと

集中豪雨や超大型台風など、水害のリスクは年々高まっています。地震とは異なる水の災害についても考えておきましょう。

●窓ガラスが割れる

風速25~38m/sの立っていられないほどの風が吹くと、飛ばされたもので、窓ガラスが割れることが。しかも、割れた窓から風が入り、その風圧で別の窓が割れたり、屋根や天井が抜けたりすることもあるそう。竜巻の発生も増えている昨今、より警戒が必要に。

●家が浸水する

「浸水被害に遭った人からは『さっきまで平気だったのに、みるみる水が上がってきた』という話をよく聞きます」と辻さん。想像を超えた速さで水は迫ってきます。

床上浸水すると、家具やものが汚泥にまみれグチャグチャに。「現場は耐えがたいほどの生臭いにおいがたちこめます」

●家から出られなくなる

大人のひざ程度の深さでも、避難が困難になるといわれています。「2019年の台風18号では、救助を要請しても来てもらえず、年老いた母親と子どもと犬と3日間、屋根で過ごした人を知っています」。高層階の住人は水が引くまで籠城せざるを得なくなるそう。

●クルマが水没して動けなくなる

クルマは浸水深が10cm以上になるとエンジン性能が低下し、30cmを超えるとエンジンがストップ。「電気系統が機能しなくなり閉じ込められてしまうし、タイヤが完全に水没すると車体が浮いてクルマごと流されてしまいます」

クルマで避難するのは危険。水位が急に上がりクルマごと流されることも。徒歩で早めに行動を!

●トイレや排水口から汚水が逆流してくる

下水道管に大量の雨水が流れ込むと、排水機能が追いつかず逆流。「写真は2019年の台風18号の被害に遭った家。排水口からと外からの汚水にまみれ、家を建て直さざるを得なくなったそう」

下水の逆流で悲惨な状況になってしまった浴室。「すぐに排水できればまだいいのですが、下水管の雨水が引くまで待つしかなく、それまでは基本なすすべがない」そう。

●あと片づけで感染症がまん延する

水害後は細菌やカビが繁殖、害虫も発生。レジオネラ症や破傷風のほか、誤嚥(ごえん)性肺炎のリスクが高まります。「菌が肌に少し触れただけでもアレルギーを発症することがあり、とても危険な状態。あと片づけの際には必ず手袋や長靴、ゴーグル、マスクを着用して」

汚水にまみれた家具は1週間以内に搬出しないと泥が固まってしまう。カビと強烈なにおいで家に住み続けるのが困難に。

水害の予報が出たらしておきたいこと

大雨などが続き、水害の予報が出たら、これらの4つのことをしておきましょう。

●大事なものを家の高所に、クルマを高台に移動させる

水害の予報が出たら、貴重品や運べる家財道具、家電、アルバムなどの思い出の品はビニールなどで防水して、家の中のできるだけ高いところへ移動させましょう。クルマも高台へ移動させておくと安心です。

●土のう、水のうを準備

土のうや水のうをつくり、建物の出入り口をふさいで浸水を防ぎます。また、排水管からの汚水の逆流には水のうが効果的。浸水リスクの高いエリアでは、行政が土のうを配布しているケースもあるので、事前にチェックを!

●逃げるために持ち出すものをすべてビニール袋に入れる

避難する際に濡れて、そのままでいると低体温症の危険があります。また、汚水に濡れた衣類は、乾いても異臭がしみつき着ていられない状態だそう。「防災リュックの中身、とくに洋服の水濡れ防止は必須!」と辻さん。ジッパー袋に洋服の種類別に入れるのがおすすめ。

●窓に養生テープをはる

暴風が飛ばしたもので窓が割れる危険が。ベランダのものは片づけ、万が一割れてもガラスの飛散を最小限にするため窓に養生を。「段ボールで窓をふさいだうえで、外周をはり、縦・横・斜めの米印に貼ると強度が増します」