北朝鮮の主要な軍需産業拠点である平安北道鉄山郡の軍需工場で7月、技術者らが工場から持ち出した原料を使って火薬や武器を製造中に爆発事故を起こし、軍保衛機関に拘束されたと、韓国の独立系メディア「サンドタイムズ」が2日、北朝鮮内部に詳しい消息筋の話として報じた。

報道によると、事故は7月中旬、鉄山郡の軍需工場と関連する秘密の作業場所で発生した。拘束されたのは、工場で精密化学や機械設備を扱っていた中核技術者3人。軍需用として厳重に管理される原料や精密加工用の金属部品を少量ずつ持ち出し、別の場所で火薬や射撃用の武器を製造しようとしていたという。

製造した武器などは、民間で護身用や狩猟用として流通させたり、富裕層の「トンジュ(金主)」に販売したりする目的だったとされる。

ところが、安全設備の整っていない場所で化学物質を扱う過程で反応を制御できず爆発。作業場所や周辺施設の一部が大きく損壊し、爆音と炎によって秘密作業が当局に発覚したという。

事故後、鉄山郡一帯の軍需施設には最高水準の非常警戒態勢が敷かれ、工場につながる道路も封鎖された。軍保衛機関の武装要員が投入され、負傷した技術者らを拘束。軍需工場の技術者や資材担当者を中心に、出入りや資材移動への監視も強化されたとしている。

(参考記事:【目撃談】北朝鮮ミサイル工場「1000人死亡」爆発事故の阿鼻叫喚

今回の事件が注目される背景には、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの武器供給拡大がある。北朝鮮ではロシア向けの砲弾などを増産するため、平安北道や慈江道を中心とする軍需工場の稼働率が高まり、一部では24時間態勢での生産が行われているとされる。

生産量が急増すれば、それだけ原料や部品の調達、輸送、保管も膨らむ。ロシアとの軍事協力による軍需産業の活況が、皮肉にも資材横流しなどに対する内部統制の負担を増大させている可能性がある。