『ラ・ラ・ランド』企画段階では「史上最悪」だったとプロデューサー、製作10周年で明かす
大ヒットミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』(2016)は、企画段階では「史上最悪の提案」だった──。製作10周年を迎えるいま、プロデューサーのフレッド・バーガーが明かした。
ロサンゼルスを舞台に、女優の卵であるミアとジャズピアニストのセブの恋と夢を描いた『ラ・ラ・ランド』。主演のライアン・ゴズリング&エマ・ストーンのキャリアを代表する一作となったが、製作にいたる道のりは非常に険しかったようだ。
現地で開催された10周年イベントにて、バーガーは「もう10年も経ったなんて、まるで夢のようです。信じられませんね。(製作から)劇場公開まで、ほとんど同じくらいの年月がかかったんですから」と企画の初期段階を振り返っている。
監督のデイミアン・チャゼルは、ハーバード大学の学生時代に本作のアイデアを思いつき、同級生の作曲家ジャスティン・ハーウィッツとともにロサンゼルスに移り住み、作品をあたためていったがある。
ここまで時間がかかってしまった理由のひとつは、「これまで聞いた中でワーストのピッチのひとつだったから」だとバーガーは明かす。
「ジャズ・ミュージシャンが女優と恋に落ちるが、結局は結ばれないという、“ロサンゼルスへのオリジナル・ミュージカルのラブレター”ですが、最も難しかったのが“ロサンゼルスへのラブレター”というところ。というのも、みんなが求めるのはパリやニューヨーク、あるいはロンドンへのラブレターなのです。ロサンゼルスはもう少し、時間をかけて恋に落ちていく街だから。」
ロサンゼルスという舞台がプロジェクトの障壁になっていたというエピソードは興味深い。しかし、本作においてロサンゼルスという土地が魅力の一部であることは明らかだ。10周年イベントの会場となったグリフィス天文台も、セブとミアが「A Lovely Night」をデュエットする名シーンのロケ地で、ロサンゼルス観光のランドマークとして名を馳せている。
「この映画が存在しているのは、かつての私たちが何も知らない、若くて世間知らずな子どもだったから。東海岸からやってきて、少しずつロサンゼルスを好きになっていったから。街がその姿を現していくにつれて、自分の居場所を見つけていくんです」とバーガーは言う。
もっとも、ハイウェイで 「Another Day of Sun」に合わせて踊り出すオープニングシーンは、「この街の美しさを描くものではない」とのことだ。
「あれは、“もう十分だよ”というメッセージなんです。四季のない街で、渋滞に巻き込まれた、自分のことしか見えない人たちがたくさんいる。成功したいと心から思っているのに、毎日『ダメだ』と言われる。私たちもその皮肉は分かっているけれど、映画の最後には、ライアンとエマの旅を通じて、皆さんがこの街と、そこにある美しい場所のすべてに恋をしてくれたらと願っているんです。」
高いハードルを超えて製作にいたった本作は、めでたく商業的にも批評的にも大成功をおさめた。今も世界中のファンが本作を愛してやまないのは、チャゼルやバーガーたちがロサンゼルスに抱く情熱やペーソスを追体験できるからなのかもしれない。
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