率直なお気持ちを明かされた秋篠宮さま(8月13日の記者会見より)

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【前後編の後編/前編からの続き】

 およそ「静謐(せいひつ)な環境」からは程遠く、大いに賛否が割れながらも国会で成立、7月24日に公布された改正皇室典範。成立前、天皇陛下は議論の行方に“懸念”を示され、先ごろ会見された秋篠宮さまもまたご不満をちりばめられていた。そんな事態を招いたのは……。

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 前編では、秋篠宮さまが改正皇室典範を巡って“異例のお言葉”でご発言をなさった真意について報じた。

 象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院の河西秀哉教授が言う。

「2年前は、女性皇族のご身分に関して『生身の人間』というご発言をなさいましたが、今回の秋篠宮さまは記者から問われる前に自らこのフレーズを持ち出されています。そこには『相変わらず制度について何も聞いてくれないではないか』というご不満がうかがえます。そもそも通常であれば、制度が整った後には会見で『関係者の皆さんのご苦労をありがたく思います』などと仰るべきところ、今回はそうした部分が一つもない。これは極めて異例で、政府側からのご意思の確認が一切なされていないのが、はっきりと分かります」

率直なお気持ちを明かされた秋篠宮さま(8月13日の記者会見より)

 皇室の方々のお気持ちを伺うことは難しいとはいえ、

「例えば宮内庁幹部を通じてお尋ねするなど、非公式には可能です。それをしていないのは政府と宮内庁、ひいては皇室とが没交渉の状態にあるということに他なりません」(同)

 さらに続けて、

「こうした高市政権の姿勢があらわになったのが、4月に催された『昭和100年記念式典』でした。両陛下をお招きしておきながら一切お言葉を賜らず、首相はロック曲の演奏で勝手に盛り上がっていた。政府主催の式典に箔をつけたかったからお呼びした、と捉えられても仕方ありません。今回の秋篠宮さま、そして6月の陛下の会見と、お二方にそこまで言わせてしまった政府や政治家の姿勢は、皇室に対して実に非礼だと思います」(同)

「改正へのアンチテーゼ」

 また、典範改正の礎となった2021年の「有識者会議」でヒアリングに応じた慶應義塾大学の笠原英彦名誉教授(日本政治史)も、

「一般国民とは異なるとはいえ、制度の中にいらっしゃるのは秋篠宮さまが仰るように『生身の人間』です。ご自身やご家族の人生に関わる法改正なのだから、内々に宮内庁がご意向を伺って官邸に伝え、それをできるだけ取り入れるべきだと思います。ところが官邸に遠慮してか、宮内庁は改正の後に皇族方に説明しただけ。それもあって秋篠宮さまは『思うところはある』と仰ったのだと思います」

 その上で、こう指摘する。

秋篠宮さまは会見の終盤で、皇室の方々のお気持ちの発信の仕方について『世の中って進歩していくことが大事です』と述べられています。私はこれを、政府が進めた改正へのアンチテーゼだと受け取りました。男系男子の養子を迎えたとして、そこに男子ができなければ安定的な皇位継承にはつながらないのだから“伝統を守る”だけではなく進歩させなくてはならない、そんな思いがうかがえるのです」

 それでも、政治ジャーナリストの青山和弘氏によれば、

「6月の陛下の会見の時と同じく、今回も高市政権は秋篠宮さまのお言葉をまったく意に介していません。もちろん秋篠宮さまも制約のある中で発言されているので、明確にはお考えを述べられない。それもあって政府は“何も仰っていないに等しい”というふうに受け止めています」

 自民党内で典範改正の議論をけん引した麻生太郎副総裁の側近で、“立法府の総意”の取りまとめを担った森英介衆院議長に聞くと、

「(会見の)内容は承知していますが、私から所感だとか意見だとか、そういうのは控えさせていただきます。“尋ねたけれど返事がなかった”としてもらって結構です」

 そう言い残して電話を切ってしまった。現行の皇室典範成立から80年。あろうことか政治の不作為によって、皇室との間には大きな“溝”ができつつあるのだ。

 前編では、秋篠宮さまが改正皇室典範を巡って「憲法に抵触しないぎりぎりの形」でご発言をなさった真意について報じている。

「週刊新潮」2026年8月27日号 掲載