率直なお気持ちを明かされた秋篠宮さま(8月13日の記者会見より)

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【全2回(前編/後編)の前編】

 およそ「静謐(せいひつ)な環境」からは程遠く、大いに賛否が割れながらも国会で成立、7月24日に公布された改正皇室典範。成立前、天皇陛下は議論の行方に“懸念”を示され、先ごろ会見された秋篠宮さまもまたご不満をちりばめられていた。そんな事態を招いたのは……。

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 皇嗣、すなわち皇位継承順位第1位であられる皇族から、政府の施策について立て続けに「私も生身の人間」「いろいろと思うところはある」「進歩が大事」といった文言が発せられたのだから、ただ事ではあるまい。

 さかのぼれば、陛下が典範改正の行方を案じられて「国民の理解が得られるものとなることを望む」と“警鐘”を鳴らされたのが、オランダ・ベルギーご訪問前の6月11日。それから2カ月で、今度は弟宮が、より率直なご心境を吐露なさった。つまりは、まごうかたなき当事者のお二方が、軌を一にして“異”を唱えられたわけである。

率直なお気持ちを明かされた秋篠宮さま(8月13日の記者会見より)

 宮内庁担当記者が言う。

「8月18日からのパラグアイ公式訪問を控えた秋篠宮ご夫妻は、さる13日の午前11時より、赤坂御用地内の赤坂東邸で記者会見に臨まれました。会見は、事前に宮内庁側に提出されていた三つの質問に、ご夫妻がお答えになる形で進んだのです」

 今年は日本人のパラグアイ移住90周年の節目にあたり、

「われわれは、そうした折に訪問されることの意義や抱負と併せ、先ごろ成立した改正皇室典範への受け止めについてもお尋ねしました。世論でも賛否が割れる中、秋篠宮さまがどのようにお考えになっているのかは国民的関心事。せっかくの貴重な機会でもあり、質問せざるを得ませんでした」(同)

陛下が踏み込んだご発言をされた理由

 冒頭で並べたようなフレーズを最初に秋篠宮さまが口にされたのは、会見が始まって30分余りが過ぎた頃だった。

〈改正皇室典範の成立で若い皇族方の人生に大きく影響を与えることが見込まれる〉〈佳子さまや悠仁さまにどのように歩んでいってほしいか〉

 2問目でこのように尋ねられた秋篠宮さまは、

〈報道などでも皇室典範についてのことが掲載されていて、私自身もいろいろと考えるところはありましたし、先般、天皇陛下が話されたことももっともだと、その通りだと私は思っています〉

 そうお答えになったのである。

「陛下が6月に述べられたのは、典範改正議論の進め方について『国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります』というものでした。それまでは憲法上の制約もあり、制度に関する事項には言及を控えてこられたのですが、そこから踏み込まれ、多くの国民の理解が得られていない状況を懸念されるご発言を、あえて陛下はなさったのです」(前出の記者)

 そして、このお言葉を今回、秋篠宮さまは踏襲されたことになる。

「陛下と同じく、改正典範そのものについては『制度に関わることなので控えたい』として触れられませんでした。それでも、3問の質疑を終えた後になされた関連質問では、再びこの件について述べられたのです」(同)

 関連質問とは、それまでのご回答に関し、記者側がより詳しく尋ねたい事案について問うものである。あらかじめ提出された3問とは異なり、質問もご回答もすべてアドリブで行われる。このため、従来の会見では秋篠宮さまのお気持ちが吐露される場面が少なからず見られ、この日もまた、

「記者からは“今回の議論では、皇室の方々の境遇やお気持ちが議題として示されたとは、国民には感じられなかった”との前置きとともに“皇室の方々のご意向の表明や置かれている立場の説明というのは現状のままでよいとお考えか”と問われました。これに秋篠宮さまは、かつて口にされた『生身の人間』というフレーズを用いて回答されたのです」(同)

「非常にいびつな制度」

 一昨年のお誕生日に際した会見で、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つ案について「当事者の意見を聞く必要があるとお考えか」と記者会から問われた秋篠宮さまは、

〈該当する皇族は生身の人間〉

 と述べられ、女性皇族やその親族のお考えを宮内庁は理解しておく必要があると仰っていた。

「当時のご発言は佳子さまを想定されたものでしたが、今回はご自身を念頭に『私も生身の人間なんですよね。ですからいろいろと思うところはもちろんあります。なかったらおかしいと思います』と切り出されたのです」(前出の記者)

 先ごろ公布された改正典範によって、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保ち、また旧宮家の男系男子が養子として皇室に入ることが可能となった。ところが、

「憲法上の制約があるとはいえ、典範改正にあたって政府が水面下で陛下や秋篠宮さまのお考えを伺おうとした形跡はありません」

 そう話すのは、さる宮内庁関係者である。

「秋篠宮さまは、眞子さんや佳子さまが幼少の頃から『結婚したら一般人になる』という前提でお育てになってきました。それが今回の改正で、現在の女性皇族はご身分を選択できるものの、皇室に残っても配偶者や子どもは一般人となるなど、非常にいびつな制度となってしまった。ここに至るまでに、当の佳子さまはもちろん、ご両親にも何ら“ご意思の確認”は行われていないのです」(同)

「憲法に抵触しないぎりぎりの形で……」

 これは「男系男子の養子」についても同様で、

「6月に陛下が示されたご懸念は、もっぱら養子案についてのものでした。陛下と秋篠宮さま、そして上皇さまは平成時代、2009年から定期的に『三者会談』の場を設けられ、皇室の将来についてご意見を取り交わされてきました。その中では、立ち消えとなってしまった『女性宮家』の構想も共有されていたのですが、男系男子の養子案については、どなたも望んでおられませんでした」(前出の関係者)

 実際に小泉政権下の05年にまとめられた有識者会議の報告書でも、養子案は国民の理解と支持を得ることが難しいとして「採用は困難」と結論付けられていた。ところが、20年を経て再び浮上することに。

「陛下はこうした動きを憂慮され、憲法に抵触しないぎりぎりの形で国会や政府に警鐘を鳴らされたのです。ところが、法案はそのまま成立してしまった。むろん陛下や皇族方への事前のお伺いなど皆無。そのような経緯を踏まえ、秋篠宮さまは今回あらためて苦言を呈されたのです」(同)

 後編では、こうした皇室と政府側の間にできている“溝”について、専門家の声を紹介する。

「週刊新潮」2026年8月27日号 掲載