北朝鮮当局に拘束された男性(デイリーNK)

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北朝鮮の金正恩総書記の妹、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党中央委員会務部長は今月19日に発表した談話で、日本に対し極めて強い軍事的警告を発した。

金与正氏は、「日本が間違った選択を企図するならば」、日本は「即時的で生存不可能なせん滅的猛撃」を受けると警告した。

北朝鮮は核兵器の先制使用を可能とする法制度をすでに整備している。「せん滅的猛撃」が核攻撃を意味すると断定することはできないものの、日本の軍備増強や攻撃準備と北朝鮮が判断した行動に対し、先制的な核使用も辞さないとの威嚇を含んでいる可能性がある。

しかし、北朝鮮内部の声に耳を傾けてきた韓国デイリーNKなどの取材によれば、北朝鮮国民の多くは核兵器開発より民生の向上を願っている。そして、その中には軍の高官も含まれている。

朝鮮人民軍のヒョン・ジュソン中将もそのひとりだった。彼は、史上初の米朝首脳会談実現への機運が高まっていた2018年4月10日、戦時物資の総合検閲の際に西海衛星発射場(ロケット発射場)を視察しながら、「もう苦労してロケットや核兵器を作らなくても済む」と発言した。米朝関係が改善すれば、核兵器開発に投じられていた莫大な国費を、ほかに振り向けることができる、との趣旨だったと思われる。

ところがこの発言が、利敵行為とみなされることになった。同年5月初めの裁判死刑判決を受け、江健軍官学校の射撃場で処刑された。

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この件は、米国務省が2020年3月に公開した、世界の約200カ国・地域を対象にした2019年版の人権報告書でも言及された。米朝対話が決裂したのは、2019年2月のベトナムでの首脳会談が失敗に終わってからだ。ヒョン中将の処刑は対話が進むさ中での出来事であり、米国政府にも衝撃を与えたと思われる。

この事件が示唆するのは、金正恩体制はたとえ情勢が緊張緩和へ向かおうとも、核兵器を放棄する気はないということだ。