母が無人になった祖父母宅の庭木を業者に依頼して「15万円」で伐採しました。ところが知人から「固定資産税が上がるよ」と言われて困惑…。本当に税負担が増えるのでしょうか?
庭木を伐採すると固定資産税が上がる?
庭木を伐採すること自体は、基本的に固定資産税に影響しません。固定資産税が上がる可能性があるのは、実家をきちんと管理できていなかった場合です。
庭木の剪定や必要に応じた伐採は、空き家を適切に管理する方法のひとつです。15万円の費用がかかっただけで、固定資産税の金額が上がることはないでしょう。
一方、庭木を含め、空き家を適切に管理しないままでいると、空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)で定められている「管理不全空家」に認定され、指導を受ける場合があります。国土交通省によると、管理不全空家とは「窓や壁が破損しているなど、管理が不十分な状態」の空き家のことです。
管理不全空家になったあとも自治体からの指導内容に従わず、勧告を受けると、住宅用地の特例を受けられなくなります。その結果、固定資産税が高くなる可能性があるため注意が必要です。
住宅用地の特例とは
住宅用地の特例は、人が居住するための家屋の敷地として使用されている土地にかかる税金負担が軽減される特例制度です。税金が課される年の1月1日時点で判断されます。
特例が適用されると、土地の広さに応じて次のように課税標準額が軽減されます。
・住宅1戸につき200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地):6分の1
・200平方メートルを超える部分(一般住宅用地):3分の1
課税標準額とは、税金の計算をする際、基礎となる数値です。対象となる固定資産の評価額を基に決められます。住宅用地の特例が適用されなくなると、課税標準額が高くなるため、固定資産税の負担も高くなる仕組みです。
管理不全空家になる条件とは
管理不全空家とは、放置すると特定空家になる可能性がある空き家です。
空家法第2条によると、次の項目に該当すると特定空家に認定される可能性があります。
・放置による倒壊を始めとする著しい保安上の危険がある状態
・衛生上で有害となるおそれがある状態
・管理不足が原因で周辺の景観を著しく損なっている状態
・周辺の生活環境の保全のためにその家を放置することが不適切な状態
同法第13条により、管理不全空家の持ち主には、市町村長から特定空家にならないための措置を取るよう指導されることがあります。管理不全空家になるのを避けるためには、特定空家の該当項目も意識しつつ、しっかり実家を管理することが重要です。
無人になった実家を管理するときのポイント
無人になった実家の管理を任された際は、まず家屋や土地などの状況把握が必要です。可能であれば、直接訪れ、自分の目で確認するほうがよいでしょう。
自分だけで判断できない場合は、専門家に見てもらうことも選択肢の1つです。確認した結果、庭木が生い茂っていたり家屋自体が荒れていたりした場合は、できるだけ早く管理不全空家とならないよう対策を行ったほうがよいです。
また、自分で管理する場合、実家を受け継いだときだけでなく、長期にわたって実家の状態に問題がないかの定期的な確認が必要です。実家が遠方で難しい場合は、売却するなどほかの方法も検討しましょう。
なお、実家を相続すると、固定資産税のほかに相続税や登録免許税も課される場合があります。
相続税は、相続した実家やほかの財産も含めた相続財産の合計が基礎控除「3000万円+600万円×法定相続人の数」を超えていると課される税金です。税率は課税金額によって変わるため、国税庁の公式ホームページなどで確認してから申告するようにしましょう。
登録免許税は土地や建物を取得した際、条件に該当していると課されます。実家を相続した場合の税額は、土地と建物でそれぞれ「不動産価額×1000分の4」です。ただし、条件によっては軽減税率が適用される可能性があるため、登記申請時に確認しましょう。
庭木を伐採しただけで固定資産税が上がるわけではない
無人になった実家の庭木の剪定や伐採は、適切な管理方法のひとつです。伐採費用に15万円かかったとしても、固定資産税は上がりません。
むしろ、伐採せずに放置し、管理不全空家になったまま勧告を受けると、住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税が高くなる可能性があります。
管理不全空家になるのを防ぐためには、実家の状態の確認時に専門家へ相談することも有効です。必要に応じて、適切な方法で庭木を伐採したり、実家を整理したりしましょう。
出典
国土交通省 空家法とは
総務省 固定資産税
デジタル庁 e-Gov法令検索 空家等対策の推進に関する特別措置法(平成二十六年法律第百二十七号) 第二条(定義)、第十三条(適切な管理が行われていない空家等の所有者等に対する措置)
国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和8年度版) 財産を相続したとき
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.7191 登録免許税の税額表
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

