石油化学製品を生産するプラント(千葉県内で)

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 米イスラエルのイラン攻撃から28日で半年となった。

 海上輸送の要衝・ホルムズ海峡が事実上封鎖され、大きな課題となったのが石油化学製品の原料となるナフサ(粗製ガソリン)の調達・確保だ。足元では代替調達が進み供給が回復しつつあるが、政府は今回の教訓を踏まえ、調達先の多角化や備蓄強化に乗り出す方針だ。(福原悠介、大竹弘晃)

目詰まり解消

 ビルなどの建材塗装事業を手がける丸武塗装(名古屋市)は3〜5月、塗料やシンナーが入手しにくい状況となった。仕入れ先の業者に発注してもいつ納品されるか分からず、ぎりぎりの在庫量が続いた。

 だが、6月以降は徐々に改善してきたといい、松川敦志専務(54)は「今は中東情勢が悪化する前とほぼ変わらず、頼んだ分はちゃんと入ってくる」と話す。

 イラン攻撃前、国内では1か月間で必要となるナフサの約4割を中東からの輸入に頼っていた。それがほぼ途絶えたことで、供給不安を感じた事業者による発注量が急増し、ナフサから作られるシンナーや塗料の一部で流通に混乱が生じた。

 このため、政府は米国などからナフサの代替調達を急いだほか、メーカーからシンナーなどを使う事業者に直接販売する仕組みを設け、供給不足の解消を図った。赤沢経済産業相は28日の記者会見で「(供給不安に関する)相談件数はゼロに近づいているなど、解消が目前と確認できた」と強調した。

 ただ、目詰まりが解消してもシンナーなどの価格は値上がりした状態が続いている。丸武塗装では仕入れ品の一部が最大2倍程度に跳ね上がった。板金・塗装店を全国で展開するイケウチ(東京)でもシンナーの供給量が8月から改善され始めたものの、仕入れ価格は高止まりしているという。

来年度予算にも

 中東の混乱が長引く中、政府は供給体制の強化に動く。経産省は2027年度予算の概算要求で、中東産と成分が異なる他地域で生産されたナフサにも対応できるよう、生産設備を新設する民間企業の支援などに約2200億円を計上する。特定の地域からの供給が途絶えても、化学製品の生産を維持できる体制を整えたい考えだ。

 また原油の国家備蓄についても、ナフサの利用分も踏まえた上での制度に改める方針。ナフサ分の原油はかつて民間備蓄の対象だったが、備蓄する民間企業の負担が大きかったことから1993年までに備蓄の対象外となった。今回のホルムズ危機で中東依存のリスクが露呈したため、約30年ぶりに政策を転換する。

「回復力強化を」

 石油化学業界では、プラスチック製品の原料となるエチレンの生産設備を再編する動きが進んでいる。中国の過剰生産により石化製品の価格が下がり、収益性が低下しているためだ。人口減で需要が落ち込んでいることも背景にある。

 こうした事情から、国内での供給体制を拡充するのは容易ではなく、備蓄や代替調達の重要性が増している。日本総研の福田直之上席主任研究員は「備蓄の強化に加え、供給先を多角化することでレジリエンス(回復力)を強化することが大切だ」と指摘する。