JRT四国放送

写真拡大 (全63枚)

さまざまな障害物を乗り越えてゴールまでのタイムを競う、オブスタクルスポーツ。

いま注目されているこの競技で8月、日本人初の世界チャンピオンが吉野川市から誕生しました。

世界の頂に立った男性の素顔に、カメラが迫りました。

オブスタクルスポーツ。

2028年のロサンゼルスオリンピックでは、近代5種のひとつに入る、いま注目の競技です。

8月、アイスランドで行われた世界選手権。

手前を走るこの男性。

見事なスタートダッシュで、相手を突き放します。

体幹のバランス、そしてこの滑り込み。

レース後半も、全くスピードが落ちません。

そして、圧倒的な差を広げてゴール。

渾身のガッツポーズを見せます。

見事、日本人初の優勝を果たしたのは、工藤剛也さん38歳です。

(世界選手権優勝・工藤剛也さん)
「正直あまり覚えてなくて、必死だったので、本当にやったぞとその一言です」

高越山の麓、吉野川市山川町で生まれた工藤さん。

子どもの頃は白球を追いかける、野球少年。

練習に明け暮れました。

大学を卒業後、介護福祉士の資格を取得。

主に訪問介護の現場で働きながら、競技を続けています。


(世界選手権優勝・工藤剛也さん)
「お待たせしました」

そんな工藤さん、2年前オブスタクルスポーツに出会い、週末は吉野川市鴨島町にある吉野川コースで汗を流しています。

(世界選手権優勝・工藤剛也さん)
「地元の飲食店に、オブスタクルスポーツのコースができるというチラシを見つけて」
「(チラシを)見た瞬間に決めて、そこからどはまりして、ずっとやってます」

オブスタクル競技を始めて、いきなり日本選手権で準優勝。

持ち前の身体能力で頭角を現します。

そんな工藤さん、何がすごいのでしょうか?

(埼玉県から・今井優雅さん)
「ペンギンです」

え!ペンギン?、一体どういうこと?

(香川県から・久保樹さん)
「ペンギンの工藤です」

(記者)
「なぜペンギンの工藤?」

(香川県から・久保樹さん)
「ペンギンが氷の上を滑るかの如く、ネットの下をくぐるからです」

最大のストロングポイント。

それはネットクロールで減速することなく、ペンギンのように滑るこの動き。

いつしか「ペンギンの工藤」と呼ばれるようになりました。

しかし、これだけではありません。

強さの秘密を探るため、工藤さんの自宅を尋ねると…。

なんとそこには、謎の建物。

これは一体?

(世界選手権優勝・工藤剛也さん)
「ここ作ったのも自分のためだけじゃなくて、みんなで楽しめる施設を作りたいと思って」

(徳島市から・白川知明さん)
「めちゃくちゃありがたいです。練習できるので」

工藤さん、オブスタクルに夢中になるあまり、自宅の空きスペースに約100万円の費用をかけて、世界選手権仕様のコースを作りました。

驚くことに、全て手製なんだとか。

(世界選手権優勝・工藤剛也さん)
「これを曲げるのがめちゃくちゃ苦労した」

今では県内外から、多くの練習生がやってくるほどに。

いつしかこの練習場は、工藤さんの代名詞にちなんで「ペンギン村」と呼ばれるようになりました。

「ペンギン村」では仲間たちにアドバイスを送り、切磋琢磨しながら技術を向上させています。

(世界選手権優勝・工藤剛也さん)
「ここで勢いをつけて」
「お、いいね」

競技と仕事を両立させる、日々の努力。

そして徹底した食事管理が、工藤さんの基礎を作ります。

鶏の胸肉や数種類の野菜などと、玄米と白米をそれぞれ0.5合ずつ。

栄養満点炊き込みご飯を、一日5回に分けて食べます。

徹底した食事管理で、体重を維持しています。

(世界選手権優勝・工藤剛也さん)
「やっぱり体は変わってくる、筋肉を残しつつ脂肪を減らして(栄養を取ると)回復もしやすい」

順風満帆に見える工藤さん。

しかし2025年、練習中にアクシデントに襲われました。

(世界選手権優勝・工藤剛也さん)
「左足のアキレス腱を切って、それが昨年の7月。そこからすぐ手術した」

選手生命を脅かす大けが。

しかし諦めることなく、懸命のリハビリによって競技に復帰し、日本人初の世界一に。

一緒に戦ってきた仲間からも、特別な思いを寄せられます。

(香川県から・久保樹さん)
「本当は実力が図抜けているのに、けがとかがあって日の目を見ない期間が長かった」
「けがさえなければ、工藤剛也はあれくらいの実力はあると、みんなわかっていたのですが」
「それが世界一という結果で花開いて、工藤さんの周りの人みんなめっちゃ嬉しいと思う」

工藤さんが成し遂げた偉業に、仲間たちは驚きと歓喜に包まれています。

(吉野川コースを建設・松島清照さん)
「ここが出来てちょうど2年。2年余りで世界チャンピオンが出るとは思っていなかった」
「同じ練習をしている人が世界で通用する、(工藤さんは)チャンピオンですから、みんなの意気込みが違う」

(練習にきた小学生)
「世界一が、目の前にいるということが驚きです」

世界を制した工藤さんの、次なる目標は?

(世界選手権優勝・工藤剛也さん)
「今年世界をとったが日本一はとってないので、しっかり日本一とって、この一年をハッピーに終わらせたいと思う」

オブスタクルスポーツに出会い、人生が一変した工藤さん。

これからも、みんなの憧れとして走り続けます。

工藤剛也の挑戦はまだまだ終わりません。

工藤さんが出場する、第3回オブスタクルスポーツ日本選手権は、9月26日に吉野川市の「オブスタクルスポーツ吉野川コース」で行われます。