事故物件の遺品から「2億円のポケモンカード」発見…1パック300円が33万5000円になったわけ
まさかの絶版カードが眠っていた
ポケモン生誕30周年となる今年、ポケモンカード(以下・ポケカ)が空前の″バブル″を迎えている。今年2月、米国のYouTuberローガン・ポールが、世界で最も希少価値が高いポケカとされる「ポケモンイラストレーター」を約1649万ドル(約26億円)で売却。オークションで販売されたトレーディングカードの中で史上最高の取引額として、ギネス世界記録に認定された。
「ローガンが所有していた『ポケモンイラストレーター』は、世界に39枚しかない貴重品です。絶版になった初期のレアカードは、コレクターの間で驚くほどの高値で取り引きされています」(トレーディングカードショップ店員)
未開封BOXに入ったレアカードが大量に見つかった――特殊清掃を扱う「関西クリーンサービス」の代表取締役・亀澤範行氏から、筆者がそんな報告を受けたのは、今年5月のことだった。
「関西エリアにある一軒家の玄関先で、家主の男性が事故死するというケースがありました。いわゆる事故物件です。清掃の依頼者は娘さんでした。ハウスクリーニングをして弊社で中古物件として売り出そうと、残された家財道具ごと物件を買い取って遺品を整理していたところ、2階の寝室を整理していたスタッフが興奮した様子で私を呼びに来ました。
何事かと見に行くと、クローゼットに置いてあったプラスチック製の衣装ケースに大量のポケカがビッシリと詰められていたのです。
亡くなった男性が生前、家族に内緒で集めていたようで、依頼者である娘さんもご存知なかった。弊社で調べたところ、かなり値打ちのあるカードだと判明したため、改めてポケカだけを査定。物件とは別に、約4500万円で買い取りました。未開封のポケカを合算すると9987枚になりました」(亀澤氏)
当時の相場は5000万〜6000万円。ところが、ポケモン30周年という追い風を受けて、値段は上昇し続けた。亀澤氏が続ける。
「SNSにこのカードに関する情報をアップしたところ、『即金1億6000万円で買い取る』というDMがトレカショップから届きました。『これほど大量の未開封BOXが見つかるのは奇跡だ』とも。BOXのシュリンク(包装フィルム)の有無によっても価格は変動するようで、シュリンク付きだと平均1.3倍の値がつくそうです。
ポケカの定価は1パック200〜300円程度ですが、それが10万〜20万円になる。一番価値が高かったのが、シュリンク付きの『ポケモンカードneoめざめる伝説』で、1パック300円だったのが33万5000円に。合計60パックあったので、評価額は2010万円に上りました」
亀澤氏は、オークション会社「ゴールディン」を通じて前出のローガンに接触を試みた。
「ローガン氏が、所有していた冒頭のポケカをオークションに掛けたのがゴールディンです。同社はローガン氏と関係が深かったので、オークション担当者経由でYouTubeでのコラボを提案しました。しかし、『多忙過ぎて来日は難しい』との回答でした」(亀澤氏)
それでも、亀澤氏のもとには毎週のように「当オークションが、カードの価値を最も高められる市場だと確信しています」といった″お伺いメール″が届いた。ポケカは様々な国で発売され、カードも多言語化されているが、その中でも日本語版の価値が最も高く、トレカの本場・米国での評価額は日本のそれを上回る。
「ゴールディンの落札予想査定額は105万〜150万ドル。日本円で1億7000万〜2億4000万円でしたが、『それ以上になる可能性も十分にある』との評価でした。まとめ売りをせず、分けて少しずつ出品した方が、最終的に高値がつくそうです」(亀澤氏)
亀澤氏は売却を決断。ゴールディンの担当者は9月に来日する予定だ。その足で現物を米国に持ち帰り、CTスキャンにかけて未開封であるかを確認するという。カードがオークションに出品されるのは、今年の末と見込まれている。
事故物件から見つかった「2億円のポケカ」がいくらで落札されるのか。その行方が注目される。
『FRIDAY』2026年9月4日号より
取材・文:加藤 慶(ノンフィクションライター)
