〈中国の発がん性物質つき白菜〉遺体保存用薬品まみれの野菜はどこへ? キムチ用に大量輸入した韓国は大混乱、「対日輸出なし」もJA職員は「国産供給のチャンス」

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発がん性があるという化学物質ホルムアルデヒド」を含む溶液に、収穫した白菜を浸して出荷――中国河北省で撮影したとされる動画にこんな場面が映っており、中国当局は調査に乗り出した。中国の白菜を輸入してキムチを作ったり、キムチそのものを大量に輸入している韓国で大きな騒ぎとなっている。

《画像》「遺体保存で使われる」ホルムアルデヒドと共に並ぶ白菜、トラックで運ばれる様子…大炎上しているブロガーの画像

鮮度を保つ目的で⽩菜をホルムアルデヒド溶液に浸していた

中国メディアによれば問題の動画は河北省張家口市で撮られたとみられる。白菜をトラックに積み込む作業中、男女がたらいに入った液体に白菜の下の切り口部分を浸している。そばには「ホルムアルデヒド溶液」と書かれた容器が映っていたとされ、動画を公開したブロガーは、鮮度を保つ目的で⽩菜にホルムアルデヒド溶液が塗られていた、と説明しているという。

「これを受け張家口市の康保県政府が8月22日に、現地調査で告発内容を事実と確認し、これは違法行為だと発表しました。また中国共産党機関紙・人民日報の電子版も『消費者の生命と健康をないがしろにした』と批判する記事を掲載しました」(全国紙国際部記者)

ホルムアルデヒドは刺激臭のある無色の気体で、WHO(世界保健機関)の関係機関IARCは発がん性があると指摘している。今回の白菜を食べた場合の発がんリスクを直接意味するものではないが、これの水溶液は「ホルマリン」と呼ばれ、遺体や標本の保存に使われているものである。

「中国ではホルムアルデヒドには白菜やキャベツなどの防腐効果があるとして、長距離輸送で鮮度を落とさないために以前から使われる例があったとみられます。しかし中国農業農村省はホームページで、ホルムアルデヒドを製造や運用、食品加工の補助材として使うことは食品安全法と農産物品質安全法に違反すると警告しています」(同)

コストを下げるために“昔ながら”の違法な保存法が使われた疑いが…

中国は国土が広いため国内の消費地へ運ぶのに長距離輸送が必要なことが多い。輸送中の野菜の傷みを防ぐために保冷トラックが普及しているが、そうすると輸送コストが上がることになる。

中国のネットメディア「第一財経」は、映像が撮影されたとみられる張家口の康保から南へ約1000キロ離れた江蘇省宿遷市まで30トントラックで輸送した場合の輸送費を、常温なら7600元、0℃前後の保冷トラックなら1万2000元かかると試算。コストを下げるために“昔ながら”の違法な保存法が使われた疑いがある。

今回の騒動を受けて、中国政府は食品安全弁公室や農業農村省などに生鮮野菜の抜き取り検査や市場の一斉点検を行うよう指示しており、社会不安を抑え込むために強力に対処する姿勢をアピールしている。

いっぽう、中国以上に大騒ぎになっているのが韓国だ。

「韓国の国民食と言えるキムチとその主材料である白菜を、近年価格の点から中国産に頼る傾向が強まっているからです」と韓国メディア記者は話す。

韓国メディアが伝えた韓国関税庁の輸出入統計によれば、韓国の中国からのキムチ輸入量は昨年、約33万6220トンあり、3年で3割弱増えているという。また外国からの輸入キムチで中国産が占める割合は99%以上になるという。

キムチが…不安が広がる韓国

さらにキムチの材料となる白菜も昨年は2万285トンを輸入。これは一昨年から5倍近く急増した。韓国の昨年夏の猛暑で白菜の収穫量が減り、価格が上がったことが背景にあるとみられ、この輸入白菜の一部でキムチが作られた可能性もある。

「2024年の時点で飲食店で提供されるキムチの約4割が輸入品で、残りは国産の商品を買ったり自家製のものをつくったりしているという調査もあります」(韓国メディア記者)

これほど身近に中国産白菜があることから、韓国社会では一気に不安が広がった。韓国食品医薬品安全処が白菜や輸入キムチの検査強化に乗り出したが、27日までに白菜からホルムアルデヒドが検出されたとの報道はない。白菜キムチや塩漬け白菜についても追加検査を進めているが、韓国メディアが、

〈中国産白菜、「遺体保存剤」として使われる発がん性物質まみれ…〉

〈遺体防腐成分白菜〉

〈発がん物質白菜が国内に入ってきたのか…〉

と報じるなど、騒ぎはしばらく収まりそうにない。

いっぽう中国産の白菜は日本にも輸入されており、財務省の貿易統計によれば、昨年の輸入量は1万3283トンある。日本でも当然、ホルムアルデヒドの食品への添加は食品衛生法で認められていない。

25日の記者会見でこの問題への対処を聞かれた鈴木農林水産大臣は、「現在厚生労働省で事実確認を行なっている」とし、朝日新聞は厚生労働省輸入食品安全対策室が「現地の大使館を通じて確認したところ、問題となった白菜は日本には輸出されていない」と説明していると伝えた。

冷凍餃子のときは「やっぱり国産だ」となったが…

関東地方のJAの担当者は、2007年末から08年初頭にかけ、河北省の食品工場で作られた冷凍餃子の工場従業員が有機リン系の殺虫剤を混入させ、輸入した商品を食べた計10人が健康被害を受けた事件を挙げ、「あの時は『やっぱり国産だ』ということで、国産の需要が高まりました。『国産しか使いません』というような取り扱いをしていただいて、その時はやっぱり非常に野菜関係(の売上)も伸びたんですよね」と振り返る。

その上で「われわれとしては、国産の安心で安全な青果物を安定的に供給していかなければいけないという趣旨のもと、日々生産者も出荷なり栽培なりしております。国内の青果物流通に対しては(今回のことは)できればチャンスと捉えて、しっかりと供給していきたいと思っております」と話した。

ただ、白菜の輸入量は少なかったとしても、日本にとって中国は食品の供給元として切り離せない存在になっている。今回の問題も決して無関係とは言えない。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班