【河合 桃子】【独自】元殺人犯が実名で「刑務官に300万円以上の賄賂を渡した」と衝撃告白…刑務所で収賄事件が起きる「知られざる理由」とは

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刑務官が受刑者から「賄賂」を受け取ったワケ

社会生活を送る者にとって、刑務所という刑事施設内部は窺い知ることのできない世界だ。そんな中で、刑務官と受刑者間で収賄や贈賄が行われているのはもっと想像に難い。8月3日、受刑者から便宜を図る見返りに現金を受け取る約束をして逮捕されていた京都刑務所の刑務官が起訴されたと発表された。

この京都の刑務官が受刑者が受け取る約束をした現金は「20万円」だったという。これに「ずいぶん安い金額だな」と驚いたのは、実際に受刑中に贈賄罪で逮捕起訴された桜井景三氏(65歳)だ。桜井氏も賄賂を受け取った元刑務官も決して許されない行為だが、どのように賄賂のやり取りをしたのか、桜井氏に聞いた。

「私は殺人罪で懲役16年の判決を受け宮城刑務所に服役していました。3年ほど工場で作業を行なっていましたが、規律違反ばかりを繰り返した結果、10年以上の刑期を独居房で過ごしていました。独居房の中は退屈すぎるし甘味が食べられないのが辛い。だからずっと便宜を図ってくれる刑務官を探していたし、とにかくいろんな刑務官に声をかけていたんです」

刑務所の中では余計な口談は許されない。便宜を図ってくれる刑務官を探したり声をかけるなど、どのように行うというのか。

「刑務官にもいろんなタイプがいて、ロボットみたいなお堅い人が大半の中で、少しくらい冗談が通じる人もいます。後者のような人には毎朝やって来る『朝の願い事』(各種の申請や申し出を行うこと)の時や夜勤交代の際の刑務官に『ちょっと面倒みてくれよ』『タダとは言わないからさ』と声をかけるんです」

もちろん大半の刑務官が「そんな事を言っていると調査になるぞ!」とピシャリと言い放って相手にしないようだが、桜井氏は「誰かしら釣れるまで言い続けよう」と、約30人近い刑務官にアプローチをかけたという。

刑務官側から接触してきていた

「10年かかって釣れたのがFですよ」

このFとは実際に、その後、収賄罪で逮捕起訴される元刑務官だ。Fはある時、桜井氏の単独室に無言でメモ紙とペンを投げ入れたのだという。

「これは本当に嘘じゃない。最初はFが俺にメモ紙とペンという『餌』を投げ入れた。Fはご丁寧にも俺が渡したメモ紙を全部自宅に隠し持っていたようで、後の家宅捜査でそれも全部出てきてる。Fは俺から金を得たい事情があり、刑務官の間で『桜井は刑務官を本気で金で釣ろうとしている』という情報が出回っていることを聞きつけ俺にアプローチしてきたんだ」

桜井氏とFとの間の便宜は約8ヶ月間にも渡った。

「俺がFにメモを渡し、その紙をFが写メして俺の社員にスマホで送り、俺の経営する会社の部下がFに金を渡す。こうして何回かにかけて300万以上の金を渡した。Fからは大福やチーズ、ゆで卵とか匂いのしない食べ物を入れてもらった。あと、外国人女性のポルノ写真かな。娑婆にいる仲間への『刑務官の検閲を通したら絶対に発信が許されないだろう“ガテ”(手紙の意味)』を送ってもらったりもした」

どのように差し入れをしたのか

しかし独居房にいる桜井が刑務官にどのように手紙や食品を差し入れるというのか。

「独居には監視カメラがついてるけど、食べ物やガテはいつも独居の窓から授受してた。Fが咳払いした時が『来たぞ』って合図。俺はその時までにFに渡すメモを用意してた」

そのような不正な授受は必ず発覚する。桜井氏とFのやり取りは8ヶ月ほどで明るみになる。桜井氏はその後、独居房から連行され取り調べを受けることになった。

「Fがメモ紙を所内の人目につく場に置いててバレた。宮城刑務所内でまさかの手錠をかけられ、仙台中央警察署まで連行されました。パトカーに乗って行く道中は久々のシャバの景色が見られて嬉しかったですよ。その後、俺は贈賄罪で逮捕起訴され岐阜刑務所に不良押送。その時の残刑期は1年ちょっとだったけど、さらに懲役2年を岐阜で過ごしました」

桜井氏のこの証言や今回の京都刑務所で起きた収賄事件などを踏まえて、現役刑務官は言う。

「宮城刑務所で起きた収賄事件、覚えています。その後も岡山や高知などの刑務所で刑務官と受刑者の情報漏洩や不正連絡などの事件が起きました。言い方は悪いですが、刑務官が受刑者に不正な行為を行うなど、ライオンの檻に生肉を放り込むようなものです。決してあってはならないことです。監視や検査体制の徹底強化はもちろんのこと、一番は刑務官のモラル維持や内部相談できる環境作りが大事だと思います」

2025年6月に全国の刑務所で施行された「拘禁刑」導入以降、受刑者の更生に向けた対話は重要視されている。しかし刑務官と受刑者が親密になりすぎる私語もまた問題視されているのが現状だ。厳正でありながら臨機応変な対処が求められるのだろう。

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