大坂なおみと全米OPペア実現へ 錦織圭は「ミックスがテニス発展の原点」だと理解している
【スポーツ時々放談】
【時々放談】通訳同伴アスリートに思うこと 英語ネーティブになる必要はないが「伝えようとする気持ち」が大切だ
テニスの4大大会の最終戦、全米オープンが30日に開幕する。
錦織圭は推薦枠でのラストチャレンジ、大坂なおみの活躍にも期待したい。予選と並行して開催されるミックスダブルスに大坂&錦織のペアが実現する話がある。全米は昨年からミックスダブルスの推薦枠を8に増やし、エキシビション色を濃くした。今年はジョコビッチとサバレンカの黄金ペア、今季好調のズべレフもエントリーしている。優勝賞金100万ドル、賞金総額236万ドルで前景気をあおる趣向だ。本大会との切り離しにダブルスのスペシャリストから批判もある。キング夫人(ビリー・ジーン・キング)のお膝元らしい企画である。
テニスは、競技力向上に従ってシングルス人気が突出し、ダブルス廃止論まで出て、ミックスはおまけのような存在になった。キング夫人はかねがねこう強調していた。
「いまの優先順位はシングルス、ダブルス、ミックスですけれど、本当は逆なんですよ」
テニスは芝の上の男女の出会いの機会として発展し、ミックスダブルスはその原点だ。学生の対抗戦で普及した日本との歴史的違いだが、魅力は勝負だけではないとの考えを地元ニューヨークで実現したわけだ。その意図は、選手たちも心得ている。最後の全米挑戦に臨む錦織も推薦出場を楽しみにし、こんなコメントを出した。
「シングルス予選の日程はともかく、なおみちゃんのファッションにどう合わせようか、そのことで頭がいっぱい」
男女混合では、パワーのある男子が女子を狙い撃ちする手もあるが、あからさまにそんなことはしない。ただ、手加減すれば相手女子に逆ネジを食らう。いかにスマートに、いかに美しく、いかに和やかに男女共同を実践するか……錦織はうまいかも知れない。
ダブルスの魅力はスピーディーな展開だから特にウィンブルドンで人気があり、クレーコートの全仏ではあまり人気がない。
いまテニス界が固唾をのんで見守っている“事件”に触れておく。
1997年全仏のミックスダブルスで優勝した平木理化さんが詐欺容疑で逮捕された。本人は完全否定しているという。白石正三(故人)に師事したこともある杉村太蔵氏は「テニス選手全員が絶句している」と語ったが、テニス界のショックは、彼女が全仏のミックスダブルス優勝者だったからではない。彼女がまだ携帯やパソコンの出始めの頃に協会に頼ることなく世界に挑戦した決意と知恵を誰もが知っているからだ──冷静に見守りたい。
あの年の全仏ではグスタボ・クエルテンが初優勝し、ミックスは女子決勝の後に行われ、スタンドはガラガラだった。
(武田薫/スポーツライター)
