産後「何も言わずに消えていっていた」連絡が途絶えた友人たち…漫画家・鳥トマトが描く「見えていなかった地獄」漫画の持つ力とは

SNSで大きな共感を集める一方、リアルすぎる内容でたびたび議論を巻き起こしている漫画家の鳥トマト氏。
ニュース番組『わたしとニュース』では、反響を呼ぶ作品の裏側や自身の出産経験を通じて直面した過酷な現実について、赤裸々に語った。
出版社で会社員として働きながら、産休中だったコロナ禍に趣味で漫画を描き始めた漫画家の鳥トマト氏。育児や仕事に奔走する人々のドス黒い本音を描いた『東京最低最悪最高!』や、親や元カレ、義理の両親や夫など周囲の人たちから搾取されてボロボロになった女性を描いた『アッコちゃんは世界一』などがSNSで大きな反響を呼んでいる。
批判の声も…なぜ描き続けるのか
「あるあるすぎて笑えない」といった批判的な声も寄せられる中、なぜリアルな日常を描き続けるのか。そのきっかけは、出産を経験したことで気付いた「見えていなかった世界」の存在だと話す。
「自分と同じタイミングで出産した友人が産後の回復がうまくいかず音信不通になったり、やむにやまれぬ理由で復職できなかったりする人が結構いた。彼女らは特に何も言わずに消えていっていただけだと気がついた」(鳥トマト氏、以下同)
鳥トマト氏はこの気づきを忘れないよう、形に残さなければと考えたという。
「普通の人はそんなにドラマチックに生きていないと思うが、人生に1回くらいは『絶対今日のことは忘れない』という日があると考えている。人のそういう1日を描けたら、素晴らしいなと思っている」
しかし出産直後は、自身も「人としての最低限度の暮らしが保証されていない」と感じるほどの過酷な状況だったと振り返る。
「(子どもが)0歳のときは自分が生きるのに必死すぎて、友人から連絡が来なくても『おかしいな』程度しか思わなかった。1年ほど経ってから、実は彼女たちがすごく大変な状況だったと知った。本当に大変なときは一番仲のいい友達にすら連絡ができなくなるとよくわかった。よく『辛いなら言えばいいじゃん』と言う人もいるが、当事者はそんな状態にすらないということを、(漫画執筆時は)わかってほしかったのだと思う」
“リアルすぎる描写”の裏側は…
SNSでもたびたび話題になる、鳥トマト氏の漫画の“リアルすぎる描写”。その裏側について「実体験をそのまま描くとあまりにも汎用性がなく共感も得られないため、自分や周囲の似たような立場の人たちの体験を混ぜ合わせ、一般的な話になるように描いている」と明かす。また読者については、「激しく共感してくれる人もいれば、『こんなやついないだろ』という人とで二極化している」という。
人と苦労を話し合う以外にも、漫画を読むと「他の家庭も本当にそうなんだ…」とリアルに想像することができる。漫画家・瀧波ユカリ氏も、“漫画が持つ力”について次のように語った。
「DVの話を漫画に描いたら、読者から『自分じゃん!とびっくりした』という声を聞いた。人との会話だとフックがないとその話題にはたどり着けないが、漫画だと、漫画が生活の中に急に入ってきて教えてくれるような体験ができる。そういうふうに偶発的に届けることができるのが、漫画のいいところだと思う」(瀧波ユカリ氏)
(『わたしとニュース』より)
