【原田 泰】税金取りすぎにもほどがある…!日本の税収が「40兆円」も激増、それでも「消費減税の財源がない」という奇妙な話
消費税減税批判は「冷静」に
高市早苗内閣の食料品の消費税の1%への引き下げ方針に対して、批判が盛んである。
曰く「財源が不足し、将来の社会保障への信頼を失わせる」、「現在の有権者に媚びたポピュリズムだ」というものだ。
しかし、もう少し冷静に今の経済の状況を分析する必要がありはしないだろうか。
そもそも現状で日本は税金を取り過ぎているからだ。
消費税の減税は、これまで取り過ぎていた税金を返すだけである。
これは消費税引き下げ批判で顕著な「財源論」に密接にかかわる話でもある。
なにしろ税収は、劇的に増えているのだから。
税収は激増している
図1は、一般会計の税収合計とその内訳(所得税収、法人税収、消費税収)と政府支出を示したものである。
消費税は2014年と2019年の税率引き上げで増加しており、所得税と法人税も2012年頃を底に増加している。当然、全体の税収合計も増加している。特に2020年頃からの伸びが大きい。
なぜそうなったかと言えば、名目GDPが伸びたからである。
図から分かるように、名目GDPは2020年から伸び率を高めている。GDPとはすべての賃金と利益を足したものであり、かつすべての支出を足したものを指す。すべての支出のうち5割は消費である。
したがって、GDPが伸びれば所得にかかる所得税収も利益にかかる法人税収も消費にかかる消費税収も伸びる。一方、一般会計の歳出はコロナ対策で増加したが、その後、減少している。
なお、ここでの歳出からは債務償還費を除いている。
なぜかと言えば、債務を返済すれば債務残高が減少するからである。住宅ローンの繰り上げ返済のためにお金を使ったから家計の財務状況が悪化したと考える人はいないからである。
その結果、税収と歳出の差である財政赤字は2025年で15.3兆円にまで縮小した(税外収入を含んだもの)。
財政赤字はどんどん減っている…
図2は、これらの数字をGDPで割ったものである。図に見るように、所得税収/GDP、法人税収/GDP、消費税収/GDPのいずれも上昇し、これらの合計である一般会計税収/GDPも上昇している。一方、政府の歳出/GDPはそれほど上昇していない。
結果、財政赤字/GDPも2025年度で2.3%にまで低下している。
以上述べたことを次ページで、分かりやすい表にして確認していこう。
これを見れば、いかに現状が大増税の状況かが理解できるだろう。
表で数字を確認する
名目GDPが増加を始めた2012年度から2025年度までで一般会計の税収は43.9兆円から84.2兆円まで40.3兆円も増加した。
結果、財政赤字は34.5兆円から15.3兆円にまで縮小した。対GDP比で見れば、一般会計の税収は対GDP比で8.7%から12.6%まで3.9%ポイントも拡大した。財政赤字は、GDPの6.8%から2.3%にまで4.5%ポイントも低下した。
これだけ税収の対GDP比が上昇している以上、現状は明らかに『大増税』である。増税とは、税率を引き上げることだけを意味するものではない。
ではなぜ、大増税になっているのか…? 名目GDPが急激に増加したからである。
これについては後編『日本人だけが知らないうちに「増税」されている…!インフレで起きる「隠れ増税」と、5兆円減税ができる本当の理由』でじっくりと解説していこう。
【つづきを読む】日本人だけが知らないうちに「増税」されている…!インフレで起きる「隠れ増税」と、5兆円減税ができる本当の理由
