「人間プリンター」と呼ばれてきたが…(C)ロイター

写真拡大 (全3枚)

【トランプ2.0 現地リポート】

米中間選挙「乗っ取り」が現実味…トランプ大統領の非常事態発言と新司法長官の危険な符合

「トランプのそばに常にいる金髪の若い女性は何者?」

 ここ数日、アメリカ中の視線を集めている彼女の名は、ナタリー・ハープ。トランプ側近の35歳だ。側近とはいえ、ホワイトハウスの顔キャロライン・レビット報道官のような存在感はない。

 世間が彼女に気づいたのは、先月トルコで起きた大統領専用機のおとり作戦で、トランプ大統領と共に専用機をこっそり抜け出した、わずかな側近の一人だったからだ。この女性が、トランプ氏の新たな政治リスクとして浮上している。

 専用機での移動からゴルフコースまで、常にトランプ氏の横にいる彼女を、NYタイムズ記者は「トランプにとってお守りのような存在」と呼んだ。“そばにいると安心できる”という意味だ。これが臆測を呼び、彼女の大きなバッグにはトランプ氏の紙おむつが入っているという噂や、愛人説までが飛び交う。もちろん裏付けはない。

 彼女はポータブルプリンターを持ち歩いている。トランプ氏はオンラインの記事やメールを紙で読むのを好む。それを印刷して大統領に渡すのが彼女の役目で、「人間プリンター」と呼ばれてきた。

民主党上院議員がゴシップに油

 さらにSNSも、トランプ氏が口述した内容を彼女が投稿する。つまり彼女は、大統領に入る情報と発信の両方に関わる。時には首席補佐官らを飛ばしてトランプ氏の指示を実行することもある、「事実上アンタッチャブル」とみられるゲートキーパー(門番)だ。

 しかし一部の政権関係者は、彼女が極右系の誤情報までトランプ氏に届けていることを懸念しているという。

 ハープ氏はトランプ氏に「あなた以外の誰も必要ない」という趣旨の手紙を送ったことがある。トランプ氏も「彼女は絶対に私のもとを去らない」と語ったという。ハープ氏の兄は2人の関係が「不健康だ」と発言した。

 ゴシップに油を注いだのが民主党オソフ上院議員だ。トランプ氏は職務を全うする気はなく、「カタールから贈られた豪華な専用機でナタリーと旅をしたいだけ」と非難し、一気に政治的な色合いが強まった。

 この一件は、年齢や女性問題など大統領につきまとう弱みと共に、限られた側近に情報や判断が集中しているのではないかという疑問を可視化した。これが中間選挙に向けて、どこまで政治問題化するかが注目される。

(シェリーめぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)