「最も高く、最も劣悪な体験」北朝鮮リゾート観光、中国人客が返金要求
北朝鮮が国際観光の目玉として整備した東部・元山葛麻海岸観光地区を訪れた中国人観光客から、停電やサービスの質などを巡って不満が噴出し、旅行会社に集団で返金や補償を求めていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
RFAが中国・瀋陽や丹東の消息筋の話として伝えたところによると、中国の旅行会社が6月末、北朝鮮観光事業への参入を念頭に、10人余りの小規模な試験ツアーを実施した。丹東から北朝鮮に入り、新義州、平壌を経て元山葛麻海岸観光地区を訪れる7泊8日程度の日程だったという。
ところが、帰国した参加者から旅行内容に対する不満が噴出した。
消息筋によると、宿泊先のホテルでは停電が発生し、観光客がしばらく暗闇の中で過ごす事態となった。自家発電設備は備えられていたものの、稼働まで時間がかかったという。温水が出ず、冷水で体を洗わなければならなかったとの証言もある。
食事の質に加え、通信や交通事情への不満も強かった。観光コースに朝鮮革命博物館など金日成主席一族に関連する宣伝施設が組み込まれていたことにも、一部の参加者が反発したという。
(参考記事:中国人客が卒倒した、北朝鮮ウェイトレス「密室サービス」の過激度)
瀋陽の消息筋はRFAに、観光客が「すべてが予想以上に立ち遅れていた」として、旅行会社に精神的、肉体的な被害への補償まで要求していると説明した。集団抗議を受け、旅行会社は営業継続が危ぶまれる状況にあるという。
ツアーの基本料金は7泊8日で7500元(約1110ドル)だったとされる。丹東や北京の北朝鮮専門旅行会社が提示する7日程度のツアーは6000〜7000元程度が中心で、基本料金だけをみれば突出して高額というわけではない。
問題となったのは現地での追加負担だった。瀋陽の消息筋によれば、参加者が北朝鮮滞在中に支払った追加費用は基本旅行代金を上回り、現地では各種費用をドルで決済する必要があったという。
このため参加者の間からは「最も高い金を払い、最も劣悪な環境を体験する観光」との皮肉まで出ているとRFAは伝えた。
北朝鮮は元山葛麻海岸観光地区を大規模なリゾートとして整備し、観光業再建の象徴として大々的に宣伝してきた。海岸沿いにホテルや娯楽施設などを集中させ、外貨獲得につながる外国人観光客の誘致を狙っている。

