【ライブレポート】<RISING SUN ROCK FESTIVAL 2026>、12年ぶりに石狩の空に輝いた朝日+大トリのサンボマスターが叫んだ「全員優勝!」

2026年8月14日、北海道石狩にて<RISING SUN ROCK FESTIVAL 2026 in EZO>(以下、RSR)が開催の日を迎えた。8月に入って複数の台風が襲来するという逆境を切り抜け、会場には驚くほど清々しい青空が広がっている。台風以外にも、自然災害や想定外のトラブルはいつ何時発生するかわからないもの。<RSR>が初開催当初と変わらぬ場所、変わらぬスタイルで26回目の開催を迎えられたのも、さまざまな壁を乗り越えてきたからこそだ。
2026年も、例年通り何もない土地の草刈りから始まり、電気や水道を通すところから会場を設営。そうして2日間限りの音楽の聖地が完成し、多くの人が待ちかねたこの日が来た。また帰って来られたことを喜ぶ人も、初めて<RSR>を体験する人も、それぞれの想いとともに、まずは参加できる幸運を噛み締めて足を踏み入れたことだろう。明後日の夜明けまで、音楽が鳴りやまないこの場所へ。
テーマソング「ライジングサン」が高らかに流れたあと、恒例の前説からスタート。例年通り13種に及ぶゴミの分別や、前年のゴミを堆肥にして作る“おかえりじゃがいも”の話から伝わってくるのは、エコの意識だけではない。長い歴史の中で積み上げてきた来場者との信頼関係、そして来場者自身の<RSR>への愛情だ。“今年も”そして“来年も”という希望をしっかり共有したあと、メインとなるSUN STAGEのトップバッター、04 Limited Sazabysが呼び込まれた。
「準備できてる? 俺たちといける?」とGENが投げかけ、鉄板のキラーチューン「monolith」を投下。さっそくダイバーが続出する盛り上がりを見渡し、満足するどころかさらに加速していく。自身もフェスを主催する猛者のエネルギーで、<RSR2026>は勢いよく転がり始めた。
【SUN STAGE】













時を同じくして、RED STAR FIELDのトップバッター・Penthouseのステージには、なんとグランドピアノが。世界的ピアニストとしても活躍する角野隼斗が奏でる澄んだ音色と、ツインボーカル・浪岡真太郎&大島真帆の歌声が絡み合い、爽やかな世界が広がっていた。違うジャンルが共存するフェスというだけなら珍しくないが、<RSR>の場合はステージごとに背景がガラリと変わるため、個性がより際立って面白い。各ステージエリアを行き交う時の感覚は、フェスというよりテーマパークのようだ。
【RED STAR FIELD】

















ステージエリア間を移動する間に多彩なコンセプトのアートゾーンが設けられているのも、テーマパークのワクワク感に近い。そこには、子供たちが遊べるコーナーやグルメとともにDJブースやセッションステージがあり、常に音楽が流れている。ライヴを観ていない時も、テントエリアでバーベキューを楽しんでいる時も、どこからか音楽が聴こえてくるのだ。逆に、ライヴを観ている最中にテントエリアから漂う美味しそうな匂いもまた、<RSR>の風物詩である。いつどの場所でどんなふうに過ごそうが自由。音楽のテーマパークには、厳しいルールがない代わりに、たくさんの選択肢がある。
テーマパークへの入口──HEAVEN’S GATEに近いdef garageは、ニューカマーたちが並ぶことが多いステージだ。メンバー全員が憧れていたというステージに、和風ポップかつソリッドなロックで爪痕を残したNELKE。儚さと力強さを兼ね備えたにしな、キュートなキャラクター性と楽曲で会場を沸かせた『ユイカ』。今をときめく個性的な女性ヴォーカリストたちの芯のある表現は、同世代の共感を超えて、幅広い年代のオーディエンスに響いたはずだ。
【def garage】

























森と空に囲まれたBOHEMIAN GARDENは、もっとも音楽に没入できる場所と言っていい。芝生に座ったり、干し草に寝転んだりしながら思いっきり音楽に浸れる非日常的空間は格別だ。Bialystocksが甫木元 空の圧倒的な歌唱力と技巧的な演奏で生み出す多幸感は、BOHEMIAN GARDENの空気と相性抜群だった。
空気を引き継ぎ、さらなるパーティ空間を作り上げたのはRiddim Saunter。北海道で結成され、14年ぶり1年限定で活動再開中の彼らが<RSR>に帰還。フルートやトランペット、シンセなどを盛り込んだ自由なパンクミュージックは今なお斬新で、時代を超え、令和のオーディエンスを思いっきり踊らせた。
【BOHEMIAN GARDEN】














各ステージの景色が夕陽の色に染まる頃、宮本浩次がRED STAR FIELDに現れた。ツービートで疾走するスピードチューン「over the top」で口火を切ると、エレファントカシマシの名曲も交えながら終始前のめりに歌を届けていく。2年連続出演ならば昨年を超えてみせる──そんな決意が圧巻だった。
すっかり夜が訪れ、ライヴハウスのような雰囲気になったEARTH TENTを賑わせたのは、このステージを皮切りにライヴ活動を再開するTHE PREDATORS。元the pillowsの山中さわお、GLAYのJIRO、ELLEGARDENとPAMの高橋宏貴からなる彼ら。「俺たちのこと、覚えてる?」と山中さわおが自嘲していたが、当の山中は小樽出身、JIROは函館出身ということで、北海道の空気に背中を押されたことだろう。もちろん熱烈な歓迎を受け、ベテランながら遊び心を忘れないヤンチャなロックンロールで14年ぶりの<RSR>を揺らした。
【EARTH TENT】

















一方、SUN STAGEでは、トリのCreepy Nutsがド派手に暴れ回っていた。赤い照明と炎の特効が映えた「ビリケン」など、R-指定の高速ラップとDJ松永のテクニックが夜の闇にビリビリと冴え渡る。ここからキャンプタイムを楽しむ観客に向けて「最高の夜ふかしの始まりにしましょう」と贈った「よふかしのうた」に大歓声が湧いていた。そう、まだまだ<RSR>の夜は長い。
23時以降は、テント泊の参加者だけが目撃できる「for CAMPERS」の時間。RED STAR FIELDに集まった観客に、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのスペシャルなライヴが届けられた。お揃いの衣装でにこやかに現れると、1stアルバム『君繋ファイブエム』の冒頭3曲を立て続けに披露。不朽のメロディとともに「スキンズ」など新曲の存在感も光り、結成30周年の厚みが伝わってくる。磨き抜かれたグルーヴを星空に轟かせながら、「リライト」では地元で音楽活動している若者をゲストに迎えるなど、まさにこの夜限りのステージとなった。キャンパーたちの長い夜を経て、物語は2日目へと続いていく。

8月15日。初日に負けないほど晴れ渡る青空の下、21回目の出演となる東京スカパラダイスオーケストラがSUN STAGEのトップバッターを務めた。1曲目の「Paradise Has No Border」からオーディエンスを煽りまくり、エリア一帯を灼熱のカーニバルに変えてみせる。例年は多数のゲストを迎えてのステージだったところから、今年はインスト曲を中心にメンバーのみでたっぷり魅せる構成。多彩な8人の個性とプレイアビリティを存分に堪能し、やはり<RSR>に欠かせない存在だと確信した。
【SUN STAGE】
























RED STAR FIELD、2番手のPUFFYは10年ぶりの凱旋。誰もが知る代表曲はもちろん、志村正彦が提供した「Bye Bye」や、チバユウスケが提供した「誰かが」など、30周年の豊かなキャリアが伝わるセットリストとなっていた。チバユウスケが愛したRED STAR FIELDで演奏される「誰かが」は、特に深い想いを持って空に響いたに違いない。
一方、涼しい風が吹き抜けるBOHEMIAN GARDENは、初出演のスーパー登山部で幕をあけた。実際にメンバーが登山愛好家であるゆえか、自然に溶け込む歌声とサウンドが美しい。風の音も含めた芳醇なアンサンブルに酔いしれた。続く小山田壮平BANDはandymoriの楽曲も盛り込み、オーガニックな空気と研ぎ澄まされた感性がないまぜになった刺激的なライヴを展開。激情溢れるロックもまた、青空に映えてどこまでも眩しい。
【BOHEMIAN GARDEN】


















徐々に西日が強くなってくる時刻、本来ならばフェスも終盤戦といったところだが、<RSR>の場合はむしろ中盤にも及ばない。時間はまだたっぷりある……とはいえ、半日後の夜明けまで、音楽だけでなくグルメやアートなどすべて楽しむためには時間が足りないほどだ。グルメにおいては、ラーメンや豚丼、ジンギスカンや乳製品など北海道らしいメニューが豊富で、どこのエリアも賑わっていた。もちろん、酒を片手に楽しむ大人も多数。
そんな大人たちのテーマソング「酒燃料爆進曲」で、石狩の青空と豪快に乾杯してみせたのが怒髪天だ。北海道出身の彼らにとって、<RSR>のステージはもはやホーム。増子直純が「よく来たぁ!」とRED STAR FIELDの観客をライヴという名の大宴会に招き入れ、全力のリズム&演歌でもてなしていく。CMソングとして話題を集める「オトナノススメ〜還暦上等!〜」など、愛情とエネルギーに満ちた人生讃歌に全力の拳と歓声が応えた。
【RED STAR FIELD】











今年のトピックのひとつとして、活動休止や解散を経て<RSR>に帰還したバンドが多いことが挙げられる。初日のRiddim SaunterやTHE PREDATORS、そして2日目のplentyとレミオロメン、SHAKALABBITらがそうだ。def garageに立ったplentyは、3人で向き合ってゆっくり呼吸を合わせたあと、「傾いた空」でスタート。江沼郁弥の透明感溢れる歌声と繊細な楽曲が、そっと心の隙間に染み込む心地よさは変わらない。再始動後に発表した「ってかさあ」で現在進行形を示し、これから3人で進む未来をしっかり感じさせた。
レミオロメンはRED STAR FIELDを埋め尽くす客に迎えられ、「粉雪」「南風」と時代を象徴する名曲を惜しみなく披露。曲ごとに歓喜に満ちたオーディエンスの大合唱が起こり、メンバーの表情にも笑顔が浮かんでいた。同じく劇的に復活し、昨年から各地のフェスを騒がせている黒夢は待望の初参加。今なお切れ味鋭いロックンロールで、媚びずに我が道行くライヴをEARTH TENTで繰り広げた。こうしてさまざまなバンドの歴史と交叉しながら、RSRの歴史が紡がれていくのだ。来年以降も、思わぬ巡り合わせが待っていることに期待したい。
【EARTH TENT】


























花火が打ち上がったあと、Vaundyがアグレッシヴなスタイルを堂々示し、いよいよ終盤戦に突入。夜が深まり、日付を跨いでも各ステージでますます熱量の高いアクトが続いていく。EARTH TENTでNothing’s Carved In Stoneが超絶アンサンブルに真夜中の空気を練り込み、BOHEMIAN GARDENに響くSPECIAL OTHERSの音色は星空と共鳴してきらめく──この時間帯の<RSR>だけにかかる魔法がある。
そして、RED STAR FIELDのトリに、THE SPELLBOUNDがBOOM BOOM SATELLITESの楽曲だけのスペシャルセットリストで登場。エレクトロ×ロックのジャンルを切り開いた名曲群が色褪せないどころか、即効性を持って疲れ知らずのオーディエンスをガンガン踊らせていた。def garageは、Oasisの来日公演でオープニングアクトを務めるなど大舞台も経験済みのおとぼけビ〜バ〜がトリを担う。深夜のテンションで極まったカオティックハードコアの威力がすさまじく、すっかり疲労が吹き飛ばされてしまった。
【def garage】
































空が薄い青色へと移り変われば、ついに大トリの時間が到来する。他のステージは終了し、自由に過ごしていた観客がSUN STAGEにぞくぞくと集結。この場所で、ともに夜明けを迎えるためだ。集まった人々は、同じ希望を胸に抱いていたのではないだろうか。“今年は、朝日が拝めるのでは?”と。<ライジングサン>と名乗りつつ、最近は実際に朝日が拝める天候だったことは少ないのも事実。朝日とともにフィナーレを迎えられたとしたら、2016年以来10年ぶりになるという。その希望は、大トリのサンボマスターに託された。
大歓声を浴びながらもまだまだ物足りなさそうな山口隆が、「RSRでミラクルをキミとおこしたいんです!」と叫び、そのまま「ミラクルをキミとおこしたいんです」へ。キャッチーなメロディとまっすぐなメッセージでSUN STAGEの全員の心に熱い炎を灯した。恒例の「全員優勝!」コールや「ズッ友!」コールも含め、彼らの楽曲や言葉はすべて、目の前の一人ひとりを奮い立たせるべく紡がれる。「いなくなった魂のために歌いたい」と贈られたバラード「ラブソング」も、それぞれが抱く大切な「魂」への想いに寄り添ったはずだ。
山口が感極まって泣いている人を見つけたのか、「泣いてんじゃねえ、笑うんだ!」と声をかけながら、日の出の時刻に届けられたのは「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」。拳を突き上げての「愛と平和」の大合唱が響き渡る中、見上げた空には確かに朝日が差していた。サンボマスターの熱演と集まったオーディエンスが、本当にミラクルをおこしたのだ。
日が沈めば夜が来て、太陽が昇れば朝が来て、“明日”が“今日”になる。そんな当たり前のことを、<RSR>は教えてくれる。そして、新しい“今日”が楽しいだけのものではなくとも、「Future is Yours」──未来はキミのものだとサンボマスターは歌った。“今日”をどんな1日にするかは自分次第。石狩の空に輝く太陽に照らされて幕を下ろした<RSR2026>は、思い出という宝物になり、未来を彩る糧となるに違いない。その先の未来にある<RISING SUN ROCK FESTIVAL 2027 in EZO>が、まだ見ぬあなたを待っている。
文◎後藤寛子
©️RISING SUN ROCK FESTIVAL
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■サンボマスター<RISING SUN ROCK FESTIVAL>大トリ
■エゾロッカー“全員優勝!” 12年振りに朝日のフィナーレ
2025年に結成25周年を迎えたサンボマスターが8月15日(土)、北海道・石狩湾新港で開催された<RISING SUN ROCK FESTIVAL 2026 in EZO>に出演。通算26回目となる同フェスの大トリ・クロージングアクトとして、SUN STAGEに登場した。同ステージのオフィシャルレポートをお届けしたい。
サンボマスターにとっては、今回が初のSUN STAGE出演であり、同時に初の大トリ出演。これまでEARTH TENT、RED STAR FIELDへ出演してきた彼らが、ついに最大のステージでフィナーレを飾ることとなった。



開催前からサンボマスターが大トリを務めることは大きな話題を呼んでいた。そして当日、空には雲ひとつない晴天が広がり、“これは朝日が拝めるのではないか…”──そんな期待が高まる中、夜明け前の深夜28時。SUN STAGEにお馴染みのSE、ゴダイゴ「モンキー・マジック」でサンボマスターが登場した。すでに客席はエゾロッカーで埋め尽くされ、さらにその熱気は後方のキャンプサイトにまで広がっていた。
「RISING SUN でミラクルをキミとおこしたいんです! 12年振りに日の出があがるらしいぜ! 12年分、かかってこい!」と山口隆(唄とギター)が叫ぶと、会場から大歓声が沸き起こる。朝日の到来を予言するかのように、1曲目「ミラクルをキミとおこしたいんです」へ。「ヒューマニティ!」「青春狂騒曲」「またあえるかな」と、夜明け前の石狩を一気にサンボマスターの熱狂で包み込んでいく。
そして空が徐々に明るくなり始めた頃、「ラブソング」を披露。客席では無数の携帯電話のライトが灯され、その光がまだ薄暗い会場いっぱいに広がっていった。


ステージのバックに“全員優勝”が大きく掲げられると、メンバーとエゾロッカーの“全員優勝”の叫びが徐々に大きくなり、「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」「できっこないを やらなくちゃ」に突入。《朝が来るまで せめて誰かと歌いたいんだ》(「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」)の歌詞に山口も微笑む。客席中央にはモッシュピットも生まれ、SUN STAGEは夜明けとは思えないほどの熱気に包まれていった。
ライブ中、山口は、「熊本にもエールを送れる人〜!!!」と呼びかけ、会場に集まったオーディエンスとともに思いを届けた。



そしてアンコール。最後に披露されたのは「ロックンロール イズ ノットデッド」。エゾロッカー達で合言葉「ロックンロール イズ ノットデッド」を叫び、サンボマスターのステージは幕を閉じた。
メンバーがステージを去った直後、ステージ横から、まばゆい朝日が姿を現した。<RISING SUN ROCK FESTIVAL>で実に12年ぶりとなる朝日。“全員優勝”を掲げて挑んだ、サンボマスター初のSUN STAGE、そして初の大トリ。ライブ終了後には“#サンボマスター”とともに“#全員優勝”がトレンド入りするなど話題となった。



サンボマスターは2026年、この後も数多くの国内フェスに出演。11月には台湾で開催される<FIREBALL Fest. 火球祭>への出演も決定している。
撮影◎SARU (SARUYA AYUMI)
■<RISING SUN ROCK FESTIVAL 2026 in EZO>セットリスト
01:ミラクルをキミとおこしたいんです
02:ヒューマニティ!
03:青春狂騒曲
04:またあえるかな
05:ラブソング
06:輝きだして走ってく
07:Future is Yours
08:世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
09:できっこないを やらなくちゃ
10:花束
encore
en1:ロックンロール イズ ノットデッド

■<RISING SUN ROCK FESTIVAL 2026 in EZO>
開催期間:2026年8月14日(金)〜15日(土)
総入場者数:61,000人 [14日(金):30,000人 / 15日(土):31,000人]
総アクト数:77アクト [14日(金):32アクト / 15日(土):45アクト]


■<RISING SUN ROCK FESTIVAL 2027 in EZO>開催決定
2027年8月13日(金)〜8月14日(土)
※詳細は後日改めて発表
関連リンク
◆<RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO>オフィシャルサイト
◆サンボマスター オフィシャルサイト
◆サンボマスター オフィシャルX
◆サンボマスター オフィシャルInstagram
◆サンボマスター オフィシャルFacebook
◆サンボマスター オフィシャルTikTok
◆サンボマスター オフィシャルYouTube チャンネル
