新幹線で隣に座った「ノーマスクで咳き込む」中年男性を注意した結果…予想を超えた展開に。「本当に腹が立ちました」
今回取材した男性は、隣に座る乗客の『咳』に悩まされたそうです。我慢の限界を超え声がけしたそうなのですが、それが思わぬ展開を招いたそうです。
◆人生初の岡山旅、準備万端のはずが……
「岡山は桃太郎のイメージしかなかったんですが、実は備前焼とか後楽園とか、魅力が多い土地らしくて。早めに調べてたら楽しみで仕方なくなっちゃいました」
中村さんはいつものルーティンどおり、進行方向右側の窓側シートを予約。出発前にはKIOSKでビールとおつまみをたっぷり買い込み、準備は万端だったとのことです。車窓に広がる田園風景を眺めているうちにいつの間にかうとうと……。旅のスタートとしては申し分のない滑り出しだったそうです。
ところが、うとうとしながら列車が進み、もうすぐ名古屋というあたりで、中村さんは突然目を覚ましました。
◆「ゴホンゴホン」止まらない咳、しかもノーガード
目が覚めた原因は、すぐにわかったといいます。隣の席に座っている小太りの中年男性が、立て続けに咳き込んでいたからだといいます。
「最初は『風邪でもひいてるのかな』くらいにしか思わなかったんですが、これがまあ止まらない。しかも口に手を当てるでもなく、前を向いたままゴホンゴホンと。まるで怪獣みたいな咳でした」
ゴホン、ゴホンと繰り返す音は、半ば咽(む)せているようでもあり、まともに聞いているだけで喉の奥がむず痒くなるような感覚だったとのこと。それは断続的に続いたそうです。
気になり始めると、頭の中にいろんな考えが浮かんでくるものです。コロナこそ収束したものの、インフルエンザ、さらに最近ニュースを賑わせているハンタウイルスなど、急に不安要素が頭の中を駆け巡るようになった中村さん。
「自分の周囲にウイルスが飛び交っているかもと思ったら、もうじっとしていられなくて。そこで初めて、マスクを忘れてきたことに気がついたんです」
タイミングの悪さが重なった形です。バッグの中を探っても、どこを見てもマスクは出てこない。隣の咳は一向に収まる気配がなく、車内の空気がじわじわと”脅威”に感じられてきたといいます。
◆「マスクお持ちじゃないんですか?」渾身の一言の行方
悩みに悩んだ末、中村さんは意を決して隣の男性に声をかけました。
「正直めちゃくちゃ勇気がいりました。でも、このまま黙って吸い込み続けるくらいなら、一言言ってみようと思って」
できるだけ穏やかに、しかしはっきりとした口調で、こう尋ねたとのことです。
「『すみません、マスクお持ちじゃないんですか?』って」
しかし返ってきたのは、予想をはるかに超えた反応でした。
「『アンタがマスクすればいいじゃん』って。しかも鬼のような形相で。完全に逆ギレですよね」
中村さんは言葉を失ったといいます。咳をしているのはあちら側であり、飛沫が飛んでいる可能性があるのもあちら側。それでも「マスクをするなら自分がしろ」という理屈が返ってくるとは、想像だにしなかったとのことです。
◆結局デッキへ”追いやられた”中村さんの心境
その後も男性の咳は断続的に続きました。謝罪もなく、マスクを取り出す気配もなく、ただ前を向いてゴホンゴホンを繰り返すのみ。
中村さんはしばらくシートで耐えていたものの、ついに限界を迎えます。結果、自ら席を立ち、車両の連結部分にあるデッキへと移動することになったそうです。
「岡山まではまだ時間があったので、デッキで立ちっぱなしでした。ビールもおつまみも残ってたのに、全然楽しめなくて……。本当に腹が立ちました」
理不尽な対応を目の当たりにした中村さん。一方、ある意味これが”公共の場”で起こったどうすることもできない事象だと自分に言い聞かせ、のどかな田園風景を見ながら心を落ち着かせたといいます。
「次からは絶対にマスクを忘れないようにしようと思いました。あと、もし同じことがあっても、もう声はかけないと思います」
苦笑いを浮かべながらそう話してくれた中村さん。岡山の景色は美しかったそうですが、新幹線の記憶だけはしばらく消えそうにないと語っていました。
<TEXT/八木正規>
【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
