『お母さん、それはおかしいでしょう?』って。おじさんは『デッキであやすとか、お菓子を食べさせるとか、そうするしかないじゃない。この人(倉田さん)は先に指定席を取っている、子どもが泣いているからって関係ないでしょう』と」

 すると、その母親は顔を真っ赤にして、子どもを連れて逃げるようにデッキに向かって行ったそうだ。

「私も子どもがいるので気持ちがわからないわけではないけど、譲りたくはなかったのでハッキリ言ってくれたおじさんに感謝です」

◆急におばあちゃんが泣き出して…

 小宮山美乃さん(34歳・仮名)も、子連れの帰省で思わぬハプニングに見舞われた一人だ。

「私は主人が年末ギリギリまで仕事だったんで、ワンオペで子ども3人を連れて新幹線で帰省しました。

 窓際の席には小学生の2人を座らせ、通路側の席に3歳の娘を抱っこして座っていました。小学生2人は持参したiPadに夢中で、娘も寝てくれてほっと一息ついていたところでした」

 通路を挟んで隣の席のお婆さんが「かわいいね」と声をかけてきたという。

「子どもに話しかけてくれるおばあちゃんって多いじゃないですか。それで『手がかかって大変ですよ』と答えたら、いきなりおばあちゃんが泣き出したんです。

 なんでも、おばあちゃんの息子夫婦に子どもができず、不妊治療をしていたけど、結局うまくいかなかったみたいで。 『孫の顔が見たい』と言いすぎて、お嫁さんに嫌われてしまったと。

 おばあちゃんはおばあちゃんで、ご近所の友達から『孫はかわいいよ』と毎日言われてツラかったそうで」

 約1時間にわたって「うちには1人もできなかったけど、3人もいいわね」と泣きながら話し続けたようだ。

◆実家に到着する前にHPゼロに

「初対面で話すには少しヘビーすぎましたが、私も姑に『また男の子?』『女の子が欲しい』としつこく言われていて、すごく嫌だった経験があったので、内容は違えど、孫に関する催促はだめだよねぇと思いました。ただ、もう何年も息子にも会えていないようで、そこは気の毒でしたね」

 結局、話を中断できず、目的地まで話を聞き続けた小宮山さん。新幹線を降りたときは「どっと疲れが出た」と苦笑い。

「こんなことは滅多にないけど、やっぱり子連れには車移動がいいですね。実家に着く前にHPがゼロになりました」

<取材・文/吉沢さりぃ>

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◆■お盆の新幹線、どれくらい混んでいる?

JR東海の「2025年度 お盆期間のご利用状況」によると、昨年のお盆(8月8日~17日の10日間)に東海道新幹線を利用した人は409万1,000人。1日平均で約41万人です。もっとも多かったのは、下りが8月9日(土)で29万1,000人、上りが8月17日(日)で28万2,000人でした。