サマージャンボ直前「宝くじで億万長者になった」のに不幸に陥った人は何がダメだったのか…高額当選者に聞いてわかった
会ったことのない親戚が増え、金銭感覚がマヒし、やがてカネがなくなる……よく聞く「その後」は本当なのか。高額当選者に取材した。
【前編記事】『ロト6で3億2000万円当選…!ところが「キャバクラで溶かし、結婚相手にもダマされた」男の哀しき末路』
わずか3年で当選金を失った男性の「悟り」
カネを増やそうとしたことで、結果として当選金を失ってしまった人は他にもいる。'96年に年末ジャンボを購入し、1億5000万円が当たった蔵間雄土さんは、約3年で全額溶かしてしまった。
蔵間さんが振り返る。
「当選から4ヵ月くらい経ったころです。以前から羽振りの良かった知人から、『お金を預けてくれたら投資に回して増やして返す』と持ち掛けられ、5000万円預けてしまった。最初のうちは配当が戻ってきていたので、その後、残りの当選金もすべて預けてしまったんです。当時は正常な判断ができなかった。案の定、しばらくして、知人から『すべてなくなった』と」
当選を機に仕事も辞めていた蔵間さん。天国と地獄を経験したことで、現在は占い師として活動しているという。
「運を引き寄せる研究をしています。高額当選してわかったのは、サラリーマンの生涯賃金のような金額が一度にドカンと入ってしまうような好運が起きれば、その分、何かが欠如してしまうということ。もしまた高額当選するようなことがあれば、次は寄付をしようと思っています」
アメリカで起こった高額当選者の悲劇
カネはなくなったが、前出の久慈さんも蔵間さんも、「当選したことは幸せだった」と語る。それまでの人生では考えられなかったさまざまな経験ができたことが理由だそうだ。また、失ったのはあくまで当選金だけで、借金を背負ったわけではないことも大きな理由だという。
一方、高額当選者の氏名が公表されてしまうことがあるアメリカでは、悲惨な運命を辿るケースもある。
最も有名なのが、'88年に1620万ドル(当時のレートで約22億円)を当てたウィリアム・ポスト氏だ。無数に現れた「親族」にたかられただけでなく、実の兄がヒットマンを雇い、ポスト氏を暗殺しようとしたことまであった。
借金取りに散弾銃を発砲するなどさまざまな事件を起こし、ポスト氏自身が有罪判決も受けた。出所後は月450ドルの年金で暮らしていたが、'06年に66歳で亡くなった。晩年のポスト氏を取材した、元ワシントン・ポスト記者のパトリシア・サリバン氏が言う。
「取材した際、ポスト氏は『私が当選者でなくなれば、人々は私を放っておいてくれるだろう。私が欲しいのは心の平穏だけだ』と漏らしていました。巨万の富が必ずしも幸福をもたらすわけではないことを象徴する人物として、アメリカでは広く知られています」
「幸せな高額当選者」に共通点は?
「幸せな高額当選者」に共通点はあるのか。数多くの当選者を取材してきた宝くじ専門の月刊誌「ロト・ナンバーズ『超』的中法」編集長の石川修氏はこう語る。
「共通点の一つは、きちんと使い方を考えていること。家や土地など資産となる大きな買い物をする方、あるいは、投資信託に回してその利益だけで生活する方もいます。そしてもう一つは、人にしゃべらないことです。夫だけに当選を伝え、子供にすら明かしていないという、2億円当てた50代の主婦の方がいました。生活も一切変えていませんが、大きな貯蓄があることで、心に余裕をもって人生を送られています」
では、もし今、高額当選した場合はどのように運用すべきなのか。富裕層の資産運用に詳しいアレース・ファミリーオフィス代表の江幡吉昭氏に聞いた。
「米国債が手堅いでしょう。日本の個人向け国債やNISAでも良いと思います。ただ、最も重要なのは、運用する前にじっくりと人生設計を考えることです。会社を売却して富を得た経営者のなかにも、すぐに大きな買い物をして損をしている方は非常に多い。少なくとも1〜2年は待機期間に当てないと、冷静な判断はできません。当選金は定期預金にでも入れて、しばらくは『運用しない贅沢』を味わうことをオススメします」
当たったときこそ冷静に――これこそが、高額当選後に幸せな人生を送るための秘訣なのかもしれない。
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「週刊現代」2026年8月17日号より
