エプスタイン元被告と所有していた“エプスタイン島”の一部(時事通信フォト/米・下院監視委員会の民主党資料)

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 米国の富豪ジェフリー・エプスタインが、長年にわたり多数の未成年少女を人身売買し、政財界の有力者ら世界のVIPに性的搾取させていたとされる未曾有の「エプスタイン事件」。

【衝撃の内部写真】VIPへの脅迫材料とされた「隠し撮り映像」モニターがいくつも並んだビデオ監視システム

 エプスタインは、欧米の権力者たちから情報などを提供してもらう代わりに、未成年少女たちの性接待を主導した。一方で、エプスタインは「相手が対価を払わなかった場合の保険」もかけていたと言われる。

 流出されたエプスタイン文書に未成年者との性行為を直接示す画像はないものの、彼のパートナーのギレーヌ・マクスウェルや警察により、エプスタインの敷地内でのプライベートな空間を含む広範囲での監視が証言されている。他にも、すべての来客者の情報が残されていたことなどから、"脅迫材料"が多く残っていると考えられる。

 なかでも事件後に注目を集めたのが「隠し撮り映像」だ。その内容は、関係者らの非道さを裏付けるものだった──。
『エプスタイン文書で暴かれた世界の闇』(宝島社)より、一部抜粋して再構成する。(全5回の第3回)

エプスタイン島に訪れた人々をビデオカメラで完全監視

 実業家、投資家として膨大な財を築いたとされるジェフリー・エプスタイン。すでに1990年代には、エプスタインが主導したセレブたちへの性接待──未成年への性的虐待を含む行為は、エプスタイン島を中心に、ニューヨークやフロリダ、ロンドン、パリなどさまざまなところで行われてきた。

 日常生活では解消できない異常な性癖を抱えたVIPたちは、エプスタインの手配によってそれを満たし、時には違法な薬物を楽しんだ。そして、その対価として、それぞれの専門分野でエプスタインに便宜を図り、情報を供与するなどしていた。これがエプスタイン事件のおおよその構図だが、エプスタインは「相手が対価を払わなかった」場合の保険もかけていたという。

 エプスタインのパートナーであるギレーヌ・マクスウェルは友人に対して「エプスタインの私有島は完全にビデオ監視されていて、島にいるすべての人々を録画していると信じている」と述べている。

 2006年に警察がエプスタインのパームビーチの邸宅を家宅捜査した際には、2台の隠しカメラが発見され、ニューヨークの邸宅にはビデオ監視システムが広範囲に設置されていたことが報告されている。かつてエプスタイン邸で働いていた人物も「ニューヨークの邸宅は、トイレやベッドルームなどのプライベートな空間を含む至る所にピンホールカメラが設置されていて、これを常に監視している人物がいた」と証言する。

 また、米司法省によると、エプスタインのニューヨークの邸宅の金庫には、ここを訪れたとおぼしき人物の名前や特徴をメモしたラベルが貼られたコンパクトディスクが、多数保管されていたという。その内容は公表されていないが、おそらくは未成年との性行為や、違法薬物を摂取する場面などを隠し撮りしたものだと考えられる。

1日3回の性行為や乱交パーティー

 こうして集めた秘密の動画を交渉材料とすることで、エプスタインはVIPたちを脅迫してきた。公開されてしまえば一発で社会から抹殺されてしまう最上級のハニートラップだ。それが個人の利益を求めてのことだったのか、世界のVIPを操ろうとする意図だったのかは、エプスタインの死によってその真相が明かされることはなくなった。

 エプスタインから性暴力を受けたとして名乗り出た14人の被害女性たちは、「エプスタインによる性犯罪は、エプスタイン単独ではなく、著名人を含んだ国際組織犯罪だ」と指摘。エプスタインの死によって捜査を打ち切るのではなく、継続してこの問題を追及するべきだと訴えている。エプスタイン島へ集められた被害女性たちは、島に滞在して、定期的に訪れる各国の富裕層たちに淫らな行為を強要されたとして、「1日3回の性行為」や「乱交パーティー」を証言する。

 エプスタインの死後に設立された被害者補償プログラムでは、150人の女性が被害者として認定されている。また公開されたFBIメモによると、被害者は1000人以上に及ぶと推定されている。

 エプスタイン文書に名前が挙がるVIPたちすべてが、社会的制裁を受けるべき性犯罪を行い、その証拠映像が残されているのだとすれば、それらが完全に公開された時の社会への影響は計りしれない。それもあって米共和党のマイク・ジョンソン下院議長は、エプスタイン文書の公開を限定的にすることの理由として「政治体制に永続的なダメージを与えないようにする」と述べている。

(第4回に続く)