6日、オマーン沖のホルムズ海峡で撮影された船舶=ロイター

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 【テヘラン=吉形祐司】イラン高安全保障委員会のモハンマドバゲル・ゾルガドル事務局長が8日に発表したホルムズ海峡開放の条件は、米国とイランが戦闘終結へ向けて6月に署名した「覚書」の履行のハードルを高くした。

 海峡の正常化は遠のく一方だ。

 イランのアッバス・アラグチ外相は9日、記者団に、仲介国を通じた米国とのメッセージ交換を認めつつ「米国による覚書の違反がなくなり、違反の補償が行われるまで、交渉再開の可能性はない」と語った。

 イランホルムズ海峡の通過を試みる船舶に攻撃を続け、安全航行を脅かしている。ところが、イランが繰り返し指摘するのは、米国側の違反だ。覚書に関する両国の主張は真っ向から対立している。

 イランが固執しているのは、安全航行のための調整と機雷の除去をイランの義務と規定した覚書の第5条。自国指定の海峡北側の航路以外を認めず、米国による南側航路の設定は5条に違反する「干渉」との理屈だ。また、イラン関連の船舶を対象とした海上封鎖の再開は、米国の義務として封鎖の解除を規定した4条に違反すると指摘している。

 米国は、南側航路の通過を武力で阻止するイランの行為を違反として攻撃を再開。いったん制裁を緩和して認めたイラン原油輸出や資産凍結の解除も取り消した。イランはこれも米国側の違反としている。

 やがて攻撃の応酬が再開し、イラン原油輸出が滞り、米国は11月の中間選挙を前にガソリン価格の高騰に見舞われた。悪循環を断ち切り、双方が交渉の場に戻らない限り、ホルムズ海峡の安全航行は実現が見込めない。結果的に米国もイランも自らの首を絞め、世界経済も影響を受け続けることになる。