◆豊胸手術は総額120万円、バストサイズはDカップ

そしてRioさんは、33歳を迎える直前に、総額120万円を費やして豊胸手術に踏み切った。

「私がやったのは、あらかじめ形作られたシリコンバッグを、胸部の下を切開して入れる方法でした。胸部に入れたシリコンは260cc、一般的に約2~3カップのサイズアップが見込めると言われています。全身麻酔が効いていたので、手術はあっという間でしたね。私の場合は、術後は内出血や異物感が残る程度で、2日目以降はシャワーも浴びられました」

一方で、男性として豊胸したことで、焦った瞬間もあったと振り返る。

「術後3ヶ月ほどは、胸の膨らみが思ったより上にあったんです。自然な胸であれば、重力の影響を受けるじゃないですか。それが豊胸手術後は、大胸筋が張っているような感じで『大丈夫か』と思ったのですが、次第に膨らみも下がってきて安心しています(笑)。

あと現在のバストサイズは『Dカップ』と言われているのですが、思ったよりこぢんまりとしているんですよね。やはり男性だと肩幅も広いし、一概にカップサイズからは、見た目のボリュームは測れないんだろうなと分かったのも気づきでした」

◆腑に落ちない意見も多々ある

SNS上でも、豊胸のビフォーアフター写真を投稿したRioさん。投稿には様々な反応が寄せられたが、本人はどう受け止めているのか。

「当然『気持ち悪いな』とか『痛いな』と離れていく人もいたんですけど、想像以上に好意的なコメントを寄せてくれる方がいて嬉しかったですね。

ただ一方で、モヤモヤしたのは、『女の子になれて良かったね』『やっと本当の自分になれたね』と、感動的な物語として受け止められたことでした。私からすれば、豊胸は崇高な行為ではなくて、女性がメイクや整形をするように理想の見た目を追求する一環でしかないんです。

別にLGBTQの象徴になりたいわけでも、お涙頂戴の物語を演じたいわけでもない。単純に可愛くなって、その姿を発信して承認を得たい。ただそれだけのことなのに、理解者のようなスタンスで、同情するようなコメントには違和感がありましたね。そういったコメントを寄せる方々に悪意がないことは重々承知ですが、腑に落ちないのが正直なところです。

ある意味で、それだけ男性が豊胸するのは珍しい行為であり、結局『男はこうあるべき』という固定観念が根強いと感じるんです。私はその境界線自体が煩わしいと感じてしまうんです」

◆いずれは“豊胸除去”するかも

世間の反応とは裏腹に、あっけらかんと豊胸について打ち明けるRioさん。続けて、将来的に満足したら、シリコンバッグの除去も検討していると明かした。

「これから年齢を重ねて肌も弛んできたら、女装して膨らんだ胸を見せても、需要は落ちるじゃないですか。それなら女装もやめて、またその時に似合うファッションをしようと思うんです。将来的に豊胸除去をしたら、その時は『また男になった』と言われるんでしょうが(苦笑)」

男性なのに、豊胸手術に120万円--そう聞くと大層な事情があると思いがちだが、それもまた勝手な思い込みなのだろう。

<取材・文/佐藤隼秀>

【佐藤隼秀】
1995年生まれ。大学卒業後、競馬会社の編集部に半年ほど勤め、その後フリーランスに。趣味は飲み歩き・散歩・読書・競馬