お菓子の太子堂の公式インスタグラムより

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「お菓子の太子堂」を運営する株式会社太子堂が、7月31日に東京地裁へ破産を申請し、同日に破産開始決定を受けた。約6億8000万円の負債があるが、一部店舗の運営権などは米菓メーカーの美濃屋あられ製造本舗が引き継ぎ、店舗の運営は続ける方針だ。

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1954年に誕生した東京都世田谷区の駄菓子店「太子堂菓子店」をルーツに持つ太子堂は、主に東京都と神奈川県のターミナル駅周辺で店舗を展開。一般的に駄菓子店といえば、安価で認知度の高いお菓子を販売しているイメージだが、太子堂は煎餅やおつまみなど、高年齢層をターゲットにした商品を展開してきた。

ナッツ専門店などの別業態も展開し、事業の多角化を図ったが、業績面では伸び悩んでいたようだ。コロナ禍以降は、新宿などからの撤退が相次ぎ、店舗数は年々減少。8月3日時点では、神奈川県に7店舗、東京都と静岡県にそれぞれ1店舗の合計9店舗を残すのみになっていた。

近年は原材料価格の高騰を受け、菓子業界で倒産が相次いでいる。大手菓子メーカーも商品の値上げ、内容量を減少させるなどの対応を迫られている。太子堂だけでなく、菓子業界全体に逆風が吹いているように見えるが、そんな中で破竹の勢いを見せているのが、株式会社みのやが手がける「おかしのまちおか」だ。

おかしのまちおかは、関東の都市部に200店舗以上を出店している大手菓子小売店だ。駄菓子店として創業し、全店舗が直営店など、太子堂との共通点は多い。だが、おかしのまちおかはコアラのマーチなど、誰もが知るお菓子を中心に扱い、商品の品ぞろえの豊富さなどが注目され、業績を伸ばしていった。2025年7月18日には東証スタンダード市場への上場を果たし、さらなる事業拡大を目指している。

一方の太子堂は、独自の詰め合わせ商品を販売したり、オンライン通販などを展開したりした。他社ではあまり見かけないような、レアなブランドのお菓子も取り扱ってきた。駄菓子業界のセレクトショップとも言える経営を行ってきたのだが、消費者の心はつかみ切れなかったようだ。

差別化を図り、独自路線を突き詰めていった太子堂の経営方針が、根本から間違っていたわけではないだろう。だが、専門店ぶりが際立ってしまい、幅広い層から受け入れられなくなってしまったのかもしれない。経営学において鉄則と言える「バランス感覚」が欠如していたとするならば、あまりにも痛手だ。