【ペットボトルへの影響は?】「サントリー」がホルムズ海峡封鎖の裏で仕掛けた“情報戦”:ガイアの夜明け

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7月31日(金)に放送した「ガイアの夜明け」のテーマは、「サントリーの情報戦〜イラン戦争と物価高の行方〜」。

【動画】ペットボトルへの影響は?「サントリー」がホルムズ海峡封鎖の裏で仕掛けた“情報戦”

2月28日に始まった、アメリカとイスラエルによるイランへの軍事攻撃。それに伴うイランによる事実上のホルムズ海峡封鎖は、世界的なエネルギー価格の高騰を招き、日本経済に物価高などの大きな影響を及ぼしている。

こうした中、注目されているのが、国内外の情報を収集・分析し、サプライチェーンの維持など、リスクの回避につなげようとする「企業インテリジェンス」の活動だ。
2025年の海外売り上げ比率が約49%と、海外市場と向き合っている「サントリーホールディングス」では、2023年に「インテリジェンス推進本部」を立ち上げ、海外などでの情報収集を強化している。
トランプ関税や緊迫する中東情勢など、世界経済を巡る状況が不確実性を増す中で、正確な情報をいち早く入手し、リスクの回避に役立てることはできるのか?
知られざる大企業の情報戦、その舞台裏に迫る。

ペットボトル資材の安定調達へ、ホルムズ海峡封鎖の行方を見極めろ




2月28日、アメリカとイスラエルの先制攻撃から始まったイランとの軍事衝突。イランはエネルギー輸送の要衝、ホルムズ海峡を事実上封鎖した。
3月2日、日経平均株価は、一時、1500円を超える下げ幅を記録。この時点で日本は原油の9割以上を中東に依存し、影響が懸念されたからだ。


3月12日、大手化学メーカー「クラレ」は、原油を精製する過程で得られるナフサの価格が高騰しているためとして、プラスチックの原料となる樹脂の販売価格を引き上げた。
4月13日には「TOTO」が、住宅向けなどのユニットバスの受注を一時停止した(※現在は再開)。ナフサ由来の溶剤が不足し始めたからだ。
日本国内の生活にも暗雲が立ちこめる中、事業への影響を最小限に食い止めるため、いち早く動いたのが「サントリー」。サントリーの売上高は、約3兆4325億円(2025年12月期)。その半分近くが海外で、世界情勢がビジネスに直結する。


また、年間60億本以上のペットボトルを使用しており、その原料はナフサ由来の樹脂。
サントリーでは、樹脂の約60%は国内のリサイクルでまかない、残りの約40%を海外から輸入。そのほぼ全てが、中東産の原油を精製したナフサ由来の樹脂で、ホルムズ海峡封鎖により、価格高騰の恐れがあった。


3月31日、サントリーお台場オフィス(東京・港区)。
この日、執行役員の江口 豪さん(60)が迎えたのは、マット・ポッティンジャー氏。第1次トランプ政権で、国家安全保障担当の大統領副補佐官を務めた切れ者だ。江口さんは混迷するイラン情勢について、トランプ氏の側近だった識者に見解を求めた。
さらに江口さんは、イギリスの元外交官で外務大臣の政治顧問を務めたマイケル・マクレイ氏、イギリス・エコノミスト誌の元編集長で東京支局長だったビル・エモット氏とも面会する。

江口さんは、事業の意思決定のために情報を集めて分析する「企業インテリジェンス」のエキスパート。
サントリーは2023年「インテリジェンス推進本部」を新設。日本のメーカーで、この分野の専門スタッフを持つのは稀だ。

元「三菱商事」の江口さんは、約20年にわたる海外勤務の中で、主に調査畑を歩んできた。ワシントンに駐在していた時は、日本企業の代表として、日米貿易協定の署名に立ち会ったことも。帰国後、インテリジェンス部門の立ち上げを考えていたサントリーにヘッドハンティングされ、そのトップに就任した。

「我々の役目は、蓋然性のあるシナリオ。プランA・B・Cと立てて、それぞれの状況が起きた時に世界はどうなっているのか。それに向けて今から準備できることは何か。企業のトップの判断に資する情報を提供できるか。腕の見せどころ」。

ニューヨークに地政学の権威が集結、社長も情報戦の最前線へ



4月7日、アメリカとイランは「2週間」の期限を設けて停戦に合意。
4月11〜12日、パキスタンが仲介し、アメリカ・イランが戦闘終結に向け協議。交渉は21時間に及んだが、協議は物別れに終わる。
封鎖はいつまで続くのか――。その情報収集と分析が、企業インテリジェンス部隊の江口さんに与えられた課題だ。


4月20日(停戦の期限まで、あと1日)。サントリーのインテリジェンス推進本部は、ニューヨークで会議を主催した。鳥井信宏社長と江口さんが出迎えたのは、アメリカの元大統領副補佐官で、中東政策に詳しいメーガン・オサリバン氏や国際政治学者で、地政学リスクの第一人者であるイアン・ブレマー氏……メンバーは皆、各界の権威ばかりだ。
この会議は、江口さんがインテリジェンス推進本部を立ち上げた時から、年2回開催している。今回の中心議題は、緊迫するイラン情勢。3時間に及んだ会議では、ホルムズ海峡の自由な通航の回復に悲観的な見方が示された。


「短期的には、パキスタンが仲介するアメリカとイランの合意を実際に現場で実行するのは、非常に難しい。つまり、ホルムズ海峡の混乱はさらに長期間続く可能性が高い。それは世界の供給網に打撃を与え、LNGやプラスチックの価格に影響し、日本にとって深刻なことだ」(ブレマー氏)。


4月20日夜、トランプ大統領が停戦期限の「1日」延長を表明。
4月21日(停戦期限まで、再びあと1日)。この日、和平交渉の進展が期待されていたが、アメリカとイランの協議は開かれず、交渉の席に着くことすらなかった。
するとトランプ大統領は、「イランから提案が出され、議論が決着するまで、停戦を延長する」と表明した。


4月22日、江口さんは首都・ワシントンD.C.へ飛び、安全保障の専門家、ダニエル・シルバーバーグ氏を訪ねる。アメリカとイランの戦いは今後どうなるのか、その見立てを聞くためだ。
戦争の影響を最小限にとどめ、安定的な事業活動を維持するためには、何が最善の一手なのか。そして、江口さんのもう一つの関心ごととは――。この戦いの先に待っている未来とは?

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