祖父から「昔はボーナスをほぼ全額受け取れていた」と聞いてモヤモヤ…。夏に支給されたボーナス“額面50万円”は、昔ならもっと多く受け取れたのでしょうか? 30年前の制度と比較
30年前のボーナスは本当に「ほぼ全額」もらえた?
今回のケースでは、祖父が「昔はボーナスをほぼ全額もらえた」と発言しています。実際に、現在は総報酬制の導入により、制度上は昔より手取り額が少なくなるケースが一般的です。
ボーナスの手取り額が大きく変わったきっかけになった制度は、2003年4月に導入された「総報酬制」です。この制度の導入により、ボーナスにも給与と同じ保険料率で社会保険料が課されるようになり、手取り額は以前より少なくなりました。
総報酬制とは、毎月の給与だけでなくボーナスも含めた報酬全体を基に、健康保険料や厚生年金保険料、将来の厚生年金額を計算する仕組みです。
この制度の導入前は、天引きの大半は月々の給与を対象に行われており、厚生年金保険では、1995年4月から2003年3月まで、特別保険料率1%のうち、本人負担分の0.5%がボーナスから天引きされていました。
しかし制度導入後は、月々の給与とボーナスを同じ比率で計算して天引きするシステムに移行しました。
今回のケースにおける祖父の発言は、総報酬制以前の制度を指していると考えられます。
総報酬制が導入された理由
総報酬制が導入された理由は、負担の不公平さを是正するためです。月々の給与とボーナスから天引きされる額が偏っていると、ボーナスの有無や多寡によって、同じ年収でも負担が変わってしまいます。
例えば、年収が540万円のAとBがいるとしましょう。同じ年収ですが、以下のように、Aはボーナス込みの年収、Bはボーナスなしの年収だとします。
・A:毎月の給与が40万円+ボーナス年60万円(夏季30万円・冬季30万円)
・B:毎月の給与が45万円
この場合、総報酬制の導入前は、厚生年金保険料の負担が以下のようになっていました。※保険料率は2003年3月時点での17.35%を基準にしています。
※本試算では、分かりやすくするため、月給額に保険料率を掛けて計算しています。実際には、当時の標準報酬月額の等級に基づいて算出されるため、保険料額が異なる場合があります。
同じ年収でも、ボーナスがないBのほうが保険料負担が多い結果です。月々の給与をおさえボーナスを多めに設定すると、企業側も保険料負担をおさえられる仕組みでした。このような不均衡や保険料逃れの問題を是正する目的で、総報酬制が導入されました。
現在のボーナスから引かれる税金と社会保険料
現在では、税金と社会保険料がボーナスから天引きされています。具体的には以下の項目が対象です。
介護保険料については、40~64歳の医療保険加入者が対象です。なお、住民税はボーナスから直接天引きされるわけではなく、毎月の給与から徴収されます。
額面50万円の場合、今年の手取りはいくらになる?
総報酬制になった現在、ボーナスの手取り額は額面のおおよそ7~8割ほどです。具体的な計算は、年齢や扶養親族の有無、前月の社会保険料等控除後の給与額、加入している健康保険などによって変わります。
参考までに、東京都の全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入する40歳未満で、扶養親族のいない一般事業の労働者を例にしましょう。
2026年の基準を基にすると、ボーナスの額面が50万円の場合、天引きされる額は約10万円で、手取りはおおむね40万円です。社会保険料のみに絞ると、天引き額は約7万3000円です。
昔は現在よりも額面に近いボーナスが受け取れた
約30年前の1990年代は、現在のようにボーナスへ給与と同じ保険料率が適用されておらず、所得税や特別保険料は差し引かれていたものの、現在より額面に近い金額を受け取れるケースが一般的でした。
現在では、ボーナスと給与に対し同じ保険料率を適用する総報酬制が導入されており、ボーナスにも社会保険料が課されています。50万円のボーナスであれば、税金や社会保険料として約10万円が見込まれ、手取りは40万円ほどになるでしょう。
このように、同じ額面のボーナスであっても、時代によって実際に受け取れる金額は異なります。
出典
厚生労働省 特別保険料について(1、4ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

