映画独自解説家の守鍬刈雄が、YouTubeチャンネル「守鍬 刈雄のお暇なら映画でも」にて「イーロン・マスクがAIでオデュッセイアをつくります」と題した動画を公開した。動画では、イーロン・マスクが自身のAIを活用してホメロスの叙事詩『オデュッセイア』を長編映画化する計画について、その背景や公開された試作映像の矛盾点を解説している。

マスクによる映画化発表の背景には、クリストファー・ノーラン監督版『オデュッセイア』への反発がある。ノーラン版では絶世の美女ヘレネ役に俳優のルピタ・ニョンゴが起用された。これに対しマスクは、「歴史的に正確ではない」「ノーランは誠実さを失った」と批判し、自身がAIを用いて「ホメロスの芸術に忠実」な作品を制作すると宣言した。完成目標は2026年末とされている。

すでにAI「Grok」を用いて制作された3分間の試作映像が公開されており、オデュッセウスとカリプソのリアルな描写などが話題を呼んでいる。しかし守鍬氏は、映像内には原典と異なる点が多いと指摘。セイレーンが黄色いドレスを着た美女として描かれている点や、オデュッセウスが耳栓をしている描写のほか、剣や鎧の時代考証にも誤りがあると語り、ホメロスに忠実と言いながら間違いが多い点にツッコミを入れた。

さらに、今年末の公開に向けて上映時間や配信サービスなどが未発表であることや、AIによる2時間近い長編映画で登場人物の顔や衣装、物語の整合性を維持できるのかといった技術的な課題も残されているという。

動画の終盤では、エンジニアで監督のアッシュ・クーシャ氏も、AIを活用した超低予算の映画『ODYSSEUS: The Fall』を制作中であることが紹介された。ノーランの超大作、マスクのAI映画、独立系のAI映画という3つの『オデュッセイア』が同時進行している現状に対し、守鍬氏は「映画とAIの未来を占う作品になるかもしれない」と総括して動画を締めくくった。