ひとりの女子大生が金正恩に宛てた「遺書」の壮絶な中身
米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は21日、北朝鮮内部の消息筋の話として、朝鮮労働党組織指導部と規律調査部が5月末から、国防省、軍総参謀部、総政治局を皮切りに、各軍団や師団の幹部を対象とする検閲を進めていると報じた。
検閲では、党政策の執行状況だけでなく、職権乱用や腐敗、不適切な男女関係なども調べられているという。
さらに消息筋はRFAに対し、「海軍司令部の幹部部長や、ある軍団の後方部軍団長など、一部幹部が銃殺されたり処罰されたりしたとの噂が流れている」と証言した。ただし、消息筋自身も、これらの処罰が今回の検閲と関係するかどうかは明確ではないとしている。
北朝鮮では、軍に対するこうした検閲が何度も繰り返されてきた。その過程では、政敵の権謀術数にかかり、無実の罪を着せられるケースもある。
2019年には軍護衛司令部に勤務する父がそうして粛清されたのを苦に、ひとりの女子大生が自ら命を絶ち、金正恩党委員長(当時、現総書記)に遺書を送り付ける事件があったと、韓国のリバティ・コリア・ポスト(LKP)が伝えている。
彼女の遺書には何と書かれていたのか。
LKPに情報を伝えた消息筋によれば、遺書には金正恩氏に対し、「私たちの父のような忠臣の中の忠臣を陥れた悪い奴らを断罪してほしい」との内容があるという。素直に読めば、彼女は金正恩氏に対して敵意を抱いていないように思える。
(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…)
だが、消息筋の解説は違う。ことの背景を知る平壌市民がこれを読めば、金正恩氏をはじめとする権力層に対する、怒りの叫びであると理解するはずだという。
金正恩氏の恐怖政治が支配する北朝鮮においては、真に公正な正義を期待することなどできない。恨みを晴らすために出来そうなことと言えば、独裁者の巨悪をもって、より小さな悪を罰することぐらいなのだ。

