風俗嬢に高級バッグ…1億3500万盗んだ『ALSOK』グループ元社員「裁判で語った″使い道″」
「クビになっても捕まってもいい」
銀行のATMから約1億3500万円を盗んだとして窃盗の罪に問われている元警備員の大山剛被告(57=逮捕時)の初公判が7月13日、東京地裁で開かれた。
「’26年5月10日、警視庁築地署は窃盗の疑いで、警備会社『ALSOK』グループの元社員・大山剛被告を逮捕しました。大山被告はATM管理の現場責任者で、他の警備員がいない時に持ち込んだバッグに盗んだ現金を入れていました。逮捕時には『人生がどうでもよくなった』と話し、盗んだおカネは競馬や風俗店従業員へのプレゼント代に充てたと供述しています」(全国紙社会部記者)
黒色のTシャツに黒色パンツで出廷した大山被告の目に力はなく、疲労を感じさせた。一方で黒々とした毛髪が印象的だった。証言台に立ち、身元確認を求められると「今は住所不定です。無職です」と小さな声で答えた。
この日行われた被告人質問では、両親の死と仕事の不満から自暴自棄となり、欲望を暴走させた経緯が語られた。
起訴状によると大山被告は警備員として勤務していた’25年12月26日〜30日にかけて、東京都中央区の銀行支店に設置されたATMから複数回にわたって現金計1億3500万円を盗んだという。裁判官から起訴内容について問われると「(間違い)ありません」と認めた。
検察が読み上げた冒頭陳述によると、大山被告は’01年に警備会社に入社。’19年に親の介護のため退職したが、’20年から警備会社の子会社で働き始めた。’24年に介護をしていた両親を相次いで亡くし、職場では上司との折り合いが悪くストレスを抱えていた。独り身だった大山被告は、
「どうでもいいと思うようになった。仕事先の不満も大きく、クビになっても捕まってもいい」
と、自暴自棄になり、おカネを盗もうと思うようになったという。
逮捕時、大山被告の宿泊先のホテルから約5400万円が押収されている。盗んだおカネ1億3500万円は警備会社が弁済しており、押収された約5400万円は警備会社に還付された。残り約8000万円は未還付のままだという。
証人尋問には大山被告の妹が出廷。事件前の大山被告とは連絡を取っておらず、大山被告に両親の介護を任せっきりにして「とても反省しております」と後悔を語った。
大山被告から犯行前に仏壇や両親の位牌が届き、メールで「一体、どういうことなの?」と尋ねたが返事はなかった。事件を知ったのは大山被告の逮捕後で、現在は週に2回ほど面会に行き、今後については「全力で守っていきたいと思います」とサポートを誓っている。
「やっと来てもらえた」
続いて大山被告の被告人質問が始まった。職場について「新しい上司と意見が合わずモラハラに遭っていた」と話し、ストレスが溜まっていったという。さらに’24年12月2日に母が他界し、それから数日後に父も後を追うように他界した。大山被告は、
「両親仲は良くなかったです。ケンカが続いていてきつかったです。人の人生ってこんなにあっけなく終わるんだと思った。自分の周りには何もなくなった」
と当時の心境を語っている。
そのような状態だったが、
「(職場では)クレーム対応をすることもあった。金額が1円合わないことがあり、(先方に問い合わせても)対応してもらえなかった」
と話し、そういった不運やトラブルが続いたことで虚無感に苛まれ、犯行への引き金となったと主張しているようだった。犯行後の生活について問われると、いつ逮捕されるか分からないという不安からホテルを転々としながら「暗澹たる気持ちで過ごしていました」という。そして逮捕された瞬間は、
「やっと来てもらえた。ホッとした気持ちになりました」
と答えている。検察は、大山被告が盗んだおカネで風俗嬢の女性2人に高級ブランド品のプレゼントで、それぞれ1000万円、2000万円の合計3000万円を使ったことを指摘。大山被告は、
「その時はどうなってもいいと思っていたけど、多くの方に迷惑をかけて後悔しています。(欲望に)流されるままに使っていました」
と言って、うなだれた。
検察は「利欲的かつ身勝手な犯行」と指摘し拘禁刑7年を求刑。裁判官から最後に言いたいことを問われると、
「自分の立場を利用し被害を与えてしまいました。多くの方に迷惑をかけてお詫び申し上げます」
と涙声で謝罪した。いかなる理由があろうと、立場を利用し、会社の社会的な信頼を失墜させた犯行は許されるものではない。判決は8月21日に下される。
