「ささみと胸肉ばかり食べる」はかえって不健康…内科医「口に入れたくない脂、摂っていい脂」の最終結論
※本稿は、木内麻里(著)、日比洋子(監修)『その食べ方は栄養を吸収してません』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

■肉の脂は避けなくても大丈夫
脂質には常温で固まる飽和脂肪酸と、固まらない不飽和脂肪酸があります。バターや牛脂、ラード(豚脂)などの動物性油脂は、飽和脂肪酸です。
肉などの動物性油脂は体に悪いと思われがち。肉の脂身を食べないようにしている人もいますが、飽和脂肪酸自体はそれほど悪いものではないので、食べても構いません。ただし豚バラ肉や、角煮の脂身の部分など、脂身が多い肉をあえてたくさん摂る必要はありません。
一方で、食欲のない人や、やせている人のなかには、脂肪分を極端に避けている人が見受けられます。
健康や美容に気を使っている人ほど、脂身の多い肉類を避ける傾向があり、鶏肉のもも肉は食べず、ささみや胸肉ばかり食べている、という人も。肉類の摂取がささみだけだと、たんぱく質はある程度摂れるかもしれませんが、脂質不足になる可能性があります。
脂質を徹底的に減らしているような人に多いのが、脂質の消化がうまくいかなくて下痢気味になっているケース。脂質を避けることで消化力が低下したり、脂溶性ビタミンも不足したりしてしまうので、脂質はある程度摂ったほうがいいのです。
何より、脂質の摂取は肌の潤いや弾力アップなどにもつながります。肉類を摂らないとたんぱく質不足にもつながり、肌はカサカサ、髪の毛はパサパサになるなど、美容にも悪影響を与えてしまいますよ。
■焼き鳥の味付けはタレより塩を
どんな肉を摂ればいいか、ここでは焼き鳥の選び方を例に説明しましょう。
糖質の摂りすぎにならないよう、焼き鳥の味付けはタレより塩を選ぶのが基本。
そのうえで、
・もも肉……動物性油脂が摂れる。
・とり皮……脂質が多く敬遠されがちだが、コラーゲンが多い。
・軟骨………とり皮同様、コラーゲンが多いのでおすすめ。
・ささみ……あってもなくてもOK。ただし、ささみだけでは脂質が足りなくなるので、ほかの種類もあわせて摂る。
・つくね……肉が苦手な人でも食べやすいので、加えてもよい。少量なら味付けはタレでもOK。
・レバー……鉄が摂れるのでぜひ1本は摂ってほしい。ビタミンA、亜鉛も豊富。レバーの場合は、臭みが苦手な人もいるので、味付けはタレでもOK。
いろいろな種類の焼き鳥を選び、楽しみながら栄養を摂るようにしてみてください。

■酸化した油の摂取は老化を促進する
ここまで、何かと敬遠されがちな油脂も、実は悪者ではないという話をしてきましたが、なかには避けてほしいものもあります。それが「酸化した油」と「トランス脂肪酸」です。
酸化した油でわかりやすいのは、揚げ物です。天ぷらやフライ、コロッケ、鶏の唐揚げ、ファストフードのフライドポテト、各種スナック類……こうしたものを好んで食べていませんか?
ただ、残念ながら、酸化した油に含まれる過酸化脂質などの有害物質は、細胞膜を傷つけたり、老化を促進したりします。また、LDLコレステロールの酸化を促し、動脈硬化を招く可能性もあります。動脈硬化は脳梗塞や心筋梗塞の原因になるので、防ぐことが肝心です。
ひと昔前は、どの家にも、揚げ物で使った油を再利用するために取っておくオイルポットが置いてありました。
しかし、酸化のことを考えて、家ではできるだけ揚げ油の使い回しはしないようにしてください。一度加熱して冷まし、再び加熱することで酸化は急激に進みます。
とはいえ、揚げ物で使った油を全部捨てるのはもったいないですよね。そこで、家で揚げ物をする場合は、大量の油で揚げず、少量の油で“揚げ焼き”にするのがおすすめです。フライパンに食材が半分くらい浸かる程度の油を入れて揚げましょう。
■トランス脂肪酸はがんや心臓病のリスクに
また、揚げ物を買う場合は、時間が経ったものはなるべく買わないでほしいのですが、難しい場合は買う頻度を減らす、お店で揚げたてのものを食べるといったことを意識しましょう。
ちなみに、油が塗ってある韓国のりなども、大袋に入ったものを開封した途端に酸化が始まります。買うなら食べきりサイズで小分けになったものを買いましょう。
家でつくるのもいいですね。味のついていないのりに、ごま油をハケなどで軽く塗って塩を振り、弱火のフライパンで両面をパリッとするまで焼けば完成です。
そしてもうひとつ避けてほしい油脂である「トランス脂肪酸」。これは植物油が原料で、マーガリンや、レトルト食品、クッキー、ケーキ、アイスクリーム、チョコレート、スナック菓子など多くの加工食品に含まれています。
植物由来の油脂と聞くと、体によさそうなイメージがありますが、製造過程で「トランス型」という構造に変化してしまいます。この構造は体内では代謝されにくいため、老化やがん、心臓病のリスクなどが指摘されています。
トランス脂肪酸が含まれているかどうかは、食品表示の原材量名を見ただけではすぐにわからないかもしれませんが、「ショートニング」「ファットスプレッド」「加工油脂」などと書かれていたら、トランス脂肪酸が含まれていると考えていいでしょう。
■「コーヒーにミルク」に要注意
意外なところでは、コーヒーなどに加えるコーヒーフレッシュにも含まれています。コーヒーにミルクを入れているつもりで使っている人も多いかもしれませんが、コーヒーフレッシュは生クリームではありません。

主成分は、植物油脂と水、食品添加物です。その証拠にコーヒーフレッシュは、レストランや喫茶店などでは常温で置かれていますよね。冷蔵する必要がないからです。
海外ではトランス脂肪酸が規制されており、食品のトランス脂肪酸の含有量を表示することが義務付けられていたり、注意書きが書かれていたりします。
日本では表示義務はないものの、メーカーや外食チェーンが企業努力をしてトランス脂肪酸の使用を減らしています。しかし、避けるに越したことはありません。加工食品を選ぶ際には、食品表示を確認するようにしてください。
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木内 麻里(きうち・まり)
金内メディカルクリニック副院長
医学博士。人間ドック健診専門医。日本医師会認定産業医。高濃度ビタミンC点滴療法認定医。聖マリアンナ医科大学を卒業後、日本大学医学部第三内科に所属し、内科診療を中心に臨床経験を積む。その後、米国ハーバード大学医科学研究所に留学。消化器内科、糖尿病診療を軸とした内科医療に加え、予防医療やアンチエイジング医療にも取り組んでいる。
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日比 洋子(ひび・ようこ)
管理栄養士
オーソモレキュラー分子栄養医学協会認定栄養カウンセラー。管理栄養士として10年間、病院・介護施設で栄養管理・栄養指導を行った後、歯科・美容皮膚科・整骨院・内科クリニックなどで7000人以上の栄養相談・カウンセリングに携わる。現在はクリニックでの栄養カウンセリングを行う傍ら、セミナー講師としても活動している。
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(金内メディカルクリニック副院長 木内 麻里、管理栄養士 日比 洋子)
