カカクコムの買収を巡る構図

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 1億人規模の月間利用者を持つ飲食店情報サイト「食べログ」などを運営するカカクコムに対し、欧州の投資ファンドEQTとLINEヤフー陣営が争奪戦を展開している。

 カカクコムが運営する20以上のサービスの利用者情報の確保が狙いで、株式公開買い付け(TOB)での買い付け価格を巡る駆け引きは続きそうだ。

欧州ファンド・LINEヤフー…TOB

応募推奨撤回

 EQTは2024年5月にカカクコムに対して株式の非公開化に向けた協議を提案した。今年5月、TOBによる総額約6000億円の買収計画を発表し、13日から1株3000円でTOBを始めた。

 一方、LINEヤフーは5月にカカクコムに買収を提案し、今月1日、米投資ファンドのベインキャピタルと共同で1株3384円でのTOB計画を正式提案した。カカクコムの賛同を条件に、9月にもTOBの実施を目指す考えだ。

 これに対し、EQTは17日、TOB価格を1株3450円に引き上げ、今月22日としていたTOB期限を8月3日に延長した。延長は3度目だ。

 カカクコムは当初、EQTのTOBに賛同し、株主への応募推奨を表明したが、LINEヤフー陣営の正式提案を受けて応募推奨を撤回し、判断を株主に委ねている。

豊富なデータ

 カカクコムは「食べログ」のほか、購入比較サイト「価格ドットコム」、求人情報サイト「求人ボックス」など、20以上のサービスを展開する。ただ、対話型AI(人工知能)の普及で利用者が減ることへの懸念は強く、今後の成長には買収先と連携したサービス強化が不可欠と判断している。

 EQTは買収により、カカクコムによるAIやデジタル分野への投資を進める方針だ。サービスの利用者情報も活用した新たなサービスの開発を後押しし、中長期的な企業価値向上を目指すとしている。

 LINEヤフー陣営も、店舗情報や価格の推移、口コミといったデータを保有するカカクコムを「極めて高い戦略的価値を有する」と高く評価する。「利用者の好みに合う提案をするのに使える内部データ」(ITジャーナリストの山口健太氏)を、無料通信アプリ「LINE」など生活関連サービスと組み合わせて新たな収益モデルを生み出すことを目指している。

大株主

 カカクコムの大株主の対応は分かれている。筆頭株主で20・64%を保有するデジタルガレージは、当初からEQT案を支持する。

 一方、19・52%を保有する大株主の香港投資ファンド「オアシス・マネジメント」は、LINEヤフー陣営が計画するTOBに応募する契約を結んだ。ただ、EQTが一定以上の高い価格を提示した場合、オアシスはEQT案に乗り換える可能性も残る。

 また、17・67%を保有するKDDIは「両者の提案を見て適切に判断していく」との立場だ。LINEヤフー陣営はKDDIの協力を前提に買い付け価格を3500円に引き上げる方針を示すが、協議の状況についてLINEヤフーは「詳細は控える」としている。