「3万円でレイプしませんか?」頼んだのは元カレ…裁判で明かされた″性加害代行″闇バイトの凄惨中身
「この内容なら自分でもできる」
闇バイトに応募し、都内マンションの一室に侵入して女性に性的暴行を加えたとして、住居侵入、不同意性交等などの罪に問われている山本礼哉被告(25=逮捕時)の裁判員裁判が7月9日に東京地裁で開かれた。
「この事件を巡っては指示役の松田烈被告(27=逮捕時)も逮捕されています。松田被告は被害女性のAさんの元交際相手で、ネットの掲示板に『女性に性的暴行を加えてほしい』と”性加害代行”の実行役を募集。応募した山本被告に犯行内容やAさんの住所をSNSで伝えました。山本被告は犯行当日、『水道の点検で来ました』と水道業者を装ってAさん宅を訪問。部屋に上がり込んで犯行に及びました」(全国紙社会部記者)
山本被告は黒いジャージ姿で入廷。身長180センチ以上、体重は100キロ近くあろうかという大柄で、細く釣り上がった目から放たれる眼光は威圧感を感じさせた。起訴内容について「性交はしていません。それ以外は間違いありません」と一部を否認した。
弁護人の冒頭陳述で、犯行に至るまでの経緯が明かされた。
山本被告は’25年5月中旬ごろ、「闇バイト」「レイプ」といったワードで検索をかけ、ネットの掲示板で「3万円を払うからレイプしませんか」との書き込みを見つけ、「この内容なら自分でもできる」と思い、そこに記されていたカカオトーク(編集部註:メッセンジャーアプリ)のIDに連絡を入れた。松田被告から「目の前で犯してほしい」と返信があり、犯行方法とAさんの住所を提示されたという。
’25年6月2日、山本被告は松田被告と音声通話をつないだまま女性宅のインターフォンを鳴らし、部屋に入ってからも通話状態のまま。わいせつ行為を行っている間もスマートフォンで撮影していたという。犯行を終えると部屋から出るように松田被告に言われ、その場から立ち去った。
報酬は3万円とされたが、検察の冒頭陳述によると、山本被告の決済アプリ「PayPay」には6月2日に738円、翌3日に5000円の報酬と思われる入金履歴があったのみだという。弁護人はわいせつ行為を認めたうえで「性交があったか、なかったか」をポイントにあげ、量刑が争点と主張した。
7月10日の公判ではAさんの証人尋問が行われ、犯行当日の詳細と悲痛な思いが語られた。
前日に行われた初公判で山本被告は起訴内容について「性交はしていません。それ以外は間違いありません」と一部を否認していたが……。
「叫んだら殺すぞ」
Aさんは別の部屋からリモートで証人尋問を受けた。検察からの質問で、犯行当日の詳細が明らかにされたが、その声は緊張で震え、時折沈黙するなど弱々しかった。以下、Aさんが証言した内容である。
’25年6月2日の午前0時過ぎ、Aさん宅のインターフォンが鳴った。Aさんはすでに就寝していたが起きて応答すると、「水道の点検をするので水回りを見せてほしい」と言われ、オートロックを開錠した。
スマホで通話しながら部屋に入ってきた山本被告は台所や風呂場などの水回りを確認。山本被告が「上の人と話してくる」と言って、いったん部屋を出た間にAさんは元交際相手のBさんに電話。Bさんから「時間も遅いし、怪しいんじゃないか」と言われ、そのときに午前0時を過ぎていたことを初めて知ったという。
部屋に戻ってきた山本被告は「怖いですか?」とAさんに尋ね、「最後に確認したら終わるので」と言って再び部屋に上がると突然抱きついてきた。必死に抵抗するがAさんは身長152センチ、体重42キロ。一方、身長180センチ、体重100キロはあろうかという山本被告との体格差では、なす術はなかった。
口と鼻を塞がれ「叫んだら殺すぞ」と脅され、結束バンドで両手首を体の後ろで拘束された上で、わいせつな行為が始まった。結束バンドが緩み、逃げようとしたがサニタリールームでうつ伏せの状態で山本被告に上から乗られ「本当に殺しちゃうよ」と再び脅され、抵抗するのを諦めたという。行為中、山本被告はAさんをスマートフォンで撮影。
Aさんは当時の様子を「ビデオ通話で誰かと話しているようでした」と振り返った。わいせつ行為を終えた後、山本被告は「充電器を貸してほしい」「いくら持ってる?」とおカネを要求。
「『5万円持っている』と伝えると『1万円で足りるから』と言われ、1万円を要求されました」
Aさんからおカネを奪うと、山本被告は、
「(Aさんへのわいせつ行為を)やり過ぎて、怒られちゃった。金銭の要求も内緒にしてね」
と悪びれる様子もなく言ったという。
Aさんが「誰に言われて(部屋に)来たの?」と尋ねると「君の思ってるとおりだよ。本当は内緒にしないといけないんだけど」と指示役の松田被告の存在を匂わせた。部屋を出る際には「通報したら殺すから。自分が捕まっても、(別の人物が)君を殺しにくるから」と執拗に脅し、その場から立ち去ったという。
シャワーを浴びるのも怖い
恐怖でしばらく動くことができなかったAさんは、
「盗聴されているかもしれないと思って自分で通報するのが怖くて(Bさんに)LINEで通報してほしいとお願いしました」
と語っている。被害によって生じたトラウマも深刻だという。
「とても不安な毎日を過ごしています。これまで、できていたことができなくなった。1人でいるのが怖くなったり、かなり支障が出て、大変な毎日を過ごしている。お風呂も入れなくなった。シャワーを浴びるのも怖い。男性に対する恐怖心があって、仕事で怖い思いをすることが増えた。被告人が(一般社会に)出てくることを考えると不安で仕方がない」(Aさん)
続く弁護人からの質問で、「(山本被告が)指示を受けている様子はありましたか」と問われるとAさんは、
「たまにありました。『俺は本当はやりたくないけど頼まれたから仕方ないんだよ』と言ってました」
と答え、その指示役の存在については、
「松田しかいないと思いました」
と述べている。松田被告とAさんは交際関係にあったが、
「アブノーマルな性行為を求められたり、オーバードーズさせられそうになった」
ことを理由に着信拒否したという。また、弁護人からは次のような質問も飛んでいる。
「(松田被告とは)マッチングアプリで知り合いましたよね。月々20万円もらったり、性交するたびに3万〜5万円をもらっていませんでしたか」
それに対し、Aさんは「そういう時期もありました」と答えている。供述調書によれば松田被告はAさんに800万〜1000万円を使ったと供述しており、カネの恨みが引き金になった可能性も考えられた。Aさんは、
「事件前は恨まれているとは思わなかった」
と証言している。
7月14日の公判で山本被告の被告人質問が行われる予定だったが、山本被告は黙秘権を行使し被告人質問は行われなかった。続く7月16日公判では検察はAさんの病院での検査の結果、性交があったと判断し、
「悪質で計画性が見られる。松田の指示を受けていない時も行動。被告人と松田被告は対等的な関係であり、従属的ではなかった」
と断罪。拘禁刑13年を求刑した。裁判長から「最後に言っておきたいことはありますか」と問われた山本被告は、
「この度は私の身勝手な行動で体には深い傷を与え、心を殺してしまいました。いかなる処罰でも受ける所存であります。申し訳ございませんでした」
と謝罪した。前例のない闇バイトによる性加害代行。その卑劣な犯行に対する判決は7月23日に下される。

