【茨城県クチビル縫合事件】「マコは人のものを欲しがる」「十八番は秋元順子の曲」…櫻井容疑者が元同僚に見せた「恐るべき人心掌握術」
「行き場のない子を預かっている」
「“マコ”は人に取り込むのが上手い。そのためだったら、涙だって流せる。私は今でも『裏切られた』、と思っています」
そう語るのは、傷害の疑いで逮捕された櫻井政恵容疑者(50歳)の元同僚だ。櫻井容疑者は、同居していたAさん(当時42歳)の唇を針で縫い付ける、という前代未聞の事件を起こした。
事件が起きたのは2026年6月29日。櫻井容疑者はAさんの唇を針と糸で縫い付け、全治不詳のケガを負わせた疑いが持たれている。翌30日、Aさんは櫻井容疑者の留守を見計らって、自宅近くの商店に逃げ込み助けを求めた。そこで事件が発覚した。
「捜査関係者によると、櫻井容疑者はAさんに唇を突き出させ、鼻の下から下唇にかけて針を刺し、裁縫用の糸を通したとみられます。糸は血でピンク色ににじみ、ほどけないように結ばれていた。口が開かないよう、数ヵ所にわたって縫い付けられていたそうです」(全国紙社会部記者)
Aさんは「(櫻井容疑者が)怖くて逃げられなかった」などと説明しているという。櫻井容疑者は容疑を否認しており、警察は動機や事件に至る経緯について捜査を続けている。
Aさんが櫻井容疑者の自宅で生活し始めたのは2025年4月ごろ。自宅にはAさんの姉妹も同居していたという。冒頭の元同僚はこう証言する。
「櫻井容疑者は以前から『行き場のない子や家出している子を預かっている。未成年なら親にも連絡している』と周囲に話していました。Aさん姉妹もそうした経緯で知り合った可能性があります」
「タイミーで生計を立てていた」
事件現場となった自宅で櫻井容疑者は2人の子ども、猫、そしてAさん姉妹ら同居人とともに暮らしていた。
櫻井一家は、昨年春頃に古河市内のアパートからこの家に引っ越してきた。櫻井容疑者の元夫が「子どもたちのため」と約700万円で購入した築46年の2階建て木造住宅だ。外壁などはリフォームされており、古さを感じさせない。元夫が20年近く貯金したカネで一括購入したとされる。
「この家には被害者姉妹のほか、50代〜60代くらいの高齢女性も姿を見せていたようです。家の前には何台も車が止まっていることもあり、複数の男女が出入りしていたと話す近隣住民もいます」(前出の全国紙社会部記者)
そのため、近隣では「シェアハウスをしているのでないか」とみる住民もいた。
近所付き合いはなく、櫻井容疑者の子どもとみられる少年の声だけが時折、家の中から聞こえていたという。
「櫻井容疑者は仕事が長続きせず、職を転々としていました。最近ではタイミーなどの単発アルバイトで生計を立てることもあったそうです。今年5月ごろには知人の紹介で、解体現場から出た廃材を仕分ける仕事にも就いていた。勤務は約1ヵ月の間に延べ7日間ほど勤務しただけだったが、働きぶりは真面目だったそうです。その現場には被害者のAさんも連れてきていて、一緒に働いていたと聞きました」(同前)
また、市内の飲食店でも、櫻井容疑者は働いていた経験がある。
冒頭の元同僚が櫻井容疑者と知り合ったのは数年前。市内の飲食店で偶然、隣の席に座ったことがきっかけだった。その後、元同僚が勤めていた飲食店に櫻井容疑者が現れ、やがて同じ店で働くようになった。
「人を取り込むことが本当に上手かった」
「私が働いている店を誰かから聞いて、訪れたそうです。出会ったころは仲良くしていましたよ。みんなは“マコ”って呼んでいた。『人からもらったから』などと言って、いろいろ差し入れをしてくれたり、私のことも気遣ってくれたり。一緒に食事や飲みにも行ったこともありますよ。
マコは歌がうまくて、カラオケではなんでも歌っていましたね。特に演歌を歌うことが多くて、十八番は秋元順子さんの『あいのままに』でした」(元同僚、以下「」も)
だが、平穏は長くは続かなかった。
「一緒に働くうちに違和感を覚えるようになりました。勤務態度は悪く、接客や調理など、私がお願いしたことを自分流にやってしまう。注意しても直さず、『私は悪くない』と繰り返していました。何よりひどかったのは、客や他ほかの従業員に私の悪口をあることないこと吹き込んだことです」
それは櫻井容疑者が働き始めて、1ヵ月も経たない時期だったころのことだったという。
「私に『いじめられている』とか『給与を適切にもらっていない』とかなど、お客さんに涙ながらに話していたそうでというのです。そのため、涙ながらに話していたため、本気で信じた人も少なくありませんでした。当然ですが、そんなこと私は一切やっていません」
櫻井容疑者が、この飲食店で働き始めて約1ヵ月が経ったころの写真を見ると、元同僚と屈託なく笑う櫻井容疑者の姿が残されている。だが、この笑顔を見せていたころにはすでに、周囲に元同僚の悪口を吹き込んでいたという。
櫻井容疑者の話を信じた人の中には、元同僚や店と距離を置く人も現れた。その影響は元同僚の家族にまで及び、容疑者の言葉を信じた家族や客との間で対立が生まれ、一時は険悪な関係に陥ったこともあった。
「マコには人を取り込むことが本当に上手かった。お客さんの会話に聞き耳を立てて仕入れた情報で、私を追い詰めてきたこともありました。私にしてみれば仲良くしていたのに、なぜそんな仕打ちをされるのかわかりません」
「学校でもトラブルメーカーだった」
その後、元同僚は櫻井容疑者が「人の持っているものを欲しがる傾向にある」ことに気付いた。友達、家族、顧客、元同僚の周囲を取り込み孤立させようとしていたのだろうか。あるいは店で自分が一番でなければ気が済まなかったからなのか。
櫻井容疑者に退職をそそのかされた従業員もおり、離職者が相次いだ。櫻井容疑者と衝突することも増え、客や家族とも険悪ムード、おまけに人手不足――元同僚は追い詰められていった。
雇用からおよそ3ヵ月後、櫻井容疑者は解雇を告げられた。
「勤務態度に問題もありましたが、なにより私が耐えられませんでした。『辞めてもらっていいよ』とLINEで伝えました。すると『言いましたね。辞めさせてもらいます(^^)』と返信が来た。それとは別で長文メッセージも何通も届きました。ふてぶてしい態度で反発する一方で、私のことがいかに好きなのかも長々と書いていました」
それに返信すると、長文のメッセージが届く。そうしたやり取りが続き、元同僚はさらに追い詰められていく。
「その後、飲食店などで何度か見かけました。私のことを見つけると彼女はそそくさと逃げるように去っていきましたね。大人数で飲み会をしている場面も見かけました。おそらくSNSで出会った人でしょう。実は以前にも、元同僚を称したSNSや出会い系サイトで知り合った男性を紹介されたことがあります。
マコはSNSで動画配信もよくやっており、フォロワーもそこそこいました。この飲み会に集まっていた人は“信者”だったと思います。マコを敬っている印象でしたから。
彼女は常に自分が一番で上にいたいタイプ。虚言や態度の切り替えで相手をコントロールしようとしているように感じましたね」
また、地元では頻繁にトラブルを起こしていたという。櫻井容疑者の子どもと同じ中学校に子どもを通わせていた保護者によれば「学校でもトラブルメーカーだった」という。
別の知人は、櫻井容疑者について、「昔ながらのヤンキーですね。口調も荒く、言葉遣いも悪かった」と振り返る。
「いつも『私は頑張っている』と話し、愚痴など話したいことを一方的に電話でぶつけてくることもありました。夜中だったり、1時間以上に及んだりすることもありましたね。普段からも言い方がきつく、威張っている印象を受けたこともあります」
「いい母親」を演じる投稿を繰り返し……
さらに、櫻井容疑者と元夫双方を知るBさん(仮名)から実情を聞くことができた。
櫻井容疑者と元夫の出会いは2005年ごろ。茨城県内の飲食店で知り合い、意気投合し、交際に発展した。その後、櫻井容疑者は未婚のまま長男を出産し、翌年に次男を出産し、その数年後に婚姻届を出した。だが、今から10年ほど前に離婚した。理由は性格の不一致や教育方針のズレだったという。
「元旦那さんは、よく『自分のことしか考えていない』とマコについて話していました。生活は楽ではないのに、アルバイトしかしない。『もう少し仕事を頑張ってほしい』『私も苦しい』と伝えても変わらなかったそうです。
お金を無心されたことはないそうですが、子どもたちのほしいものは元旦那さんに買わせていた。元旦那さんは定期的に家を訪れ、子どもたちをショッピングセンターに連れていったり、様子を見たりしてていました。だからなのか、『子どもたちからお母さんよりもお父さんの方が優しいと言われた』と聞いたことがあります。マコは子どもにも厳しく、贅沢はさせない方針だったようです」(Bさん)
関係者によると子どもへの支出は制限する一方、櫻井容疑者自身はネイルなどの美容や旅行、飲み歩き、パチンコにカネを使い、車も2台所有していたという。
SNSでは子どもたちに愛情を注ぐ「いい母親」を演じるような投稿もしていた。
だが、その愛情はAさんら同居人には注がれていなかったようだ。
「私もマコと知り合って長いですが、Aさん姉妹は気が付いたら家族と一緒に生活していた。詳しい出会いの経緯はわかりませんが、マコが『ネットで拾ってきた』と話していました。
なんというか、2人ともあまり話さないし、少し変わった印象で……私は2人に対して、マコが暴力を振るったり、いじめる場面に遭遇したりしたことはありませんが、イライラすると『なんでわからないの!?』と彼女が声を荒げるシーンを見たことがありました」(前出・Bさん)
「何か問題を起こすとは思っていた」
言葉による威圧は、やがて身体的な暴力へと発展した可能性がある。捜査関係者によると、Aさんの腕や足には、皮膚の色が変わるほどのあざがあったという。
「針を突き刺す痛みで、通常は抵抗するはずです。そのため、Aさんを押さえつけるなど協力者がいてもおかしくはない。警察は同居していたほかの住人が何らかの形で傷害行為に関与していた可能性があるとみて、共犯者の可能性も視野に捜査をしています」(前出・全国紙社会部記者)
家には未成年の子どもたちも同居していた。もし、こうした暴力が日常的に行われていたとすれば、子どもたちにとっても看過できない虐待環境だったことになる。
嘘、甘い言葉、そして恐怖と暴力――。関係者の証言からは、櫻井容疑者は自分を敬う「信者」のような存在を集めていた姿が浮かび上がる。
元同僚はこうも話していた。
「いずれ、何か問題を起こすとは思っていましたけどね……こんな大事になるとは……」
事件の全容解明が待たれるばかりだ。
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