福岡県政を揺るがす「上納金2000万円」騒動…“県議会のドン”を狙った暴露に見え隠れする御年85歳「麻生太郎氏」の思惑
福岡市、北九州市という政令指定都市を二つ擁し、“住みたい県ランキング”でも常に上位に入る福岡県に今、注目が集まっている。とはいっても、グルメや観光ではなく、“政治とカネ”という穏やかではない話題である。
【写真】永田町では絶大な権力も…地元の勢力圏拡大に苦心する「麻生太郎」のボルサリーノ姿
福岡では強くない麻生氏
県会議員が議長ポスト獲得のために多額の現金を支払った――。そんな問題が大きくクローズアップされたきっかけは、7月7日(火)に開かれた、福岡県会議員・吉松源昭氏の記者会見だった。福岡県政担当記者が言う。
「会見に先立って地元紙が報じた、“吉松議員が2020年に議長に就任するよりも前に、およそ2000万円を自民党県議団幹部から要求され、払った”というスクープについて、本人が改めて記者団の前で“事実である”と主張したのです。同じタイミングで副議長になった別の議員も、幹部に750万円を払ったことを認めているとも語り、さらには支払い先の県議会議員の名前まで公表したものだから、蜂の巣を突いたような大騒ぎになりました」

名指しされた幹部の一人、原口剣生県会議員は、“そうした事実はない”と、吉松議員の主張を真っ向から否定。政治家が地位を手に入れる見返りに多額の現金を支払うという、昭和ならばともかく令和の時代には首をかしげざるを得ない話だが、福岡県政に“政治とカネ”の問題は果たして実在したのか。事態は収まるどころか、混迷を深めつつある。
その一方で今回の吉松氏の一連の動きを、“さる大御所議員の思惑”と重ね合わせる向きもあると言う。自民党関係者が続ける。
「麻生太郎自民党副総裁です。実は吉松氏は、麻生氏の子飼いの一人なのです。麻生氏といえば総理大臣経験者であり、故・安倍元総理の盟友として知られ、高市政権にも多大な影響力を持つ、永田町きっての大物議員です。自民党に唯一残った派閥・志公会の領袖でもある。そんな麻生氏ですが、意外にも彼の地元・福岡では、そこまで圧倒的な影響力を有しているわけではありません」
目の上のたんこぶ
実際、福岡県の選挙区から当選した自民党衆院議員のうち、麻生派の議員は井上貴博氏のみ。福岡市と北九州市の現市長は麻生氏の息がかかっているものの、肝心の福岡県知事は非・麻生派である。では真の「福岡のドン」は誰なのかといえば、
「現在福岡県議会の議長を務めている、蔵内勇夫氏です。彼は自民党福岡県連の会長も長らく務めていた。通常、県連の会長といえば、県の選挙区出身の国会議員が務めるもの。この事実一つをとっても、蔵内氏がいかに県連を支配しているかがわかると思います」
なぜ蔵内氏は県会議員でありながら、権力を握ることに成功したのかといえば、
「福岡には麻生氏以外にも、強力な国会議員が2人存在していたのです。一人は運輸大臣、党幹事長も務めた道路族のドン・古賀誠氏、そしてもう一人は、建設大臣、さらには自民党副総裁まで上り詰めた務めた山粼拓氏です。彼らが福岡県内で勢力争いをしている間に、蔵内氏は三者の誰に対しても一定の距離を保ち、時に共闘したり対立したりを繰り返しながら、県内の自民党議員たちを徐々に掌握。県会議員の立場を保持しながら現在の地位を手に入れたというわけです。現在の福岡県知事も、蔵内氏の子飼いとして有名です」
つまり蔵内氏の存在は、麻生氏からすれば“目の上のたんこぶ”というわけだが、
「そんな中、“自分の目の黒いうちに、少しでも福岡での自分の勢力を拡大し、蔵内県政に楔を打ち込みたい”という麻生氏の意向を汲んだ行動とされるのが、2024年の吉松氏の福岡4区からの出馬表明でした。
4区には現職の宮内秀樹議員(旧二階派)がいたのですが、2024年当時、裏金問題が明らかになり、宮内氏も161万円を政治資金収支報告書に記載していなかったことが認定された、いわゆる“裏金議員”の一人でした。にもかかわらず県連は彼を公認。そこに異を唱えた吉松氏は県議を辞職し、そこに割って入る形で出馬。結果は落選となったのですが、自らが辞職したことによって発生した補選に無所属で出馬し、県会議員へのカムバックを果たしました」
今年で86歳の麻生氏
ところが、自民党福岡県連は、先の衆院選における吉松氏の無所属での出馬を問題視。吉松氏が県議として帰ってきたのに、自民党会派への復帰を拒絶した。結果的に麻生氏も勢力を削がれてしまったという次第。
「そして、ここにきて今回の吉松氏の“暴露”というわけです。仮にこの“上納”の件で警察が動き、捜査が県連に及ぶことになれば、当然ながら蔵内氏の責任は免れない。麻生氏も今年9月で86歳です。次世代にバッジを譲る前に、地元での勢力を少しでも拡大したい、少しでも蔵内氏の力を削ぎたい、吉松氏の行動の裏に、そんな御大の思惑が見え隠れすると思っている人は少なくないですよ」
現職議員が放った爆弾は、果たしてどれほどの威力か――。
デイリー新潮編集部
