政府が進める皇族数確保に向けた皇室典範改正案をめぐり、国会での議論が緊迫感を増している。旧宮家から養子を迎える案に関し、将来の皇位継承のあり方に直結する認識が示されたことで、野党や有識者から様々な懸念の声が上がっている。

【映像】高市総理、養子の子「天皇になり得る」の瞬間

 ニュース番組『わたしとニュース』では、弁護士の三輪記子氏を迎え、皇室典範の改正をめぐる審議の行方とその透明性、国民的議論の必要性について考えた。

■養子の子は男子なら「天皇になり得る」高市総理答弁ににじむ“男系男子へのこだわり”

 国会審議で焦点となっているのは、皇族数確保のために旧宮家の男系男子を養子として迎える案だ。この案をめぐり、共産党の小池晃書記局長から「民間人として生活してきて養子皇族となった方の子は、男子であれば天皇になることがある、そういうことじゃないですか」と追及された高市早苗総理(以下、高市総理)は、次のように見解を示した。

「男子であれば天皇になると決まっているわけではありません。これまで決まってきた皇位継承の順はゆるがせにしないとしておりますので、なり得る可能性があるということでは、そうでございます」

 さらに、立憲民主党の吉田忠智参院議員は、皇室典範改正案について「衆参両院の議長らがまとめた立法府の総意から逸脱している」として、立法作業をやり直すべきだと批判した。

 高市総理は、結婚後も皇室に残る女性皇族の配偶者について、現行の皇室典範に基づき皇族にはならないという認識を示した上で、「立法府における将来の検討を縛るような趣旨ではない」と述べた。

■「中継なし」での審議提案…自民・磯崎氏の発言に批判も

 皇室典範改正をめぐる国会の進め方についても、国民への情報開示のあり方が問われている。

 自民党の磯崎仁彦参院国対委員長は、特別委員会を設置した上で、テレビやインターネットによる中継を行わない、いわゆる「クローズ(非公開)」の状態での審議を提案した。

「皇室典範の全体会議もクローズの中で質疑等々が行われておりますので、議運であればクローズの状況になりますけど、特別委員会になれば中継等々が入ってくるということもありますので、これはやはり議運と同じように中継等がない中で議論を進めてもらいたい。このことをぜひ、条件と言ったらちょっとあれですけども、それを前提に特別委員会で進めていくということについて前向きに進めていきたい」(磯崎氏)

 この「中継がない状態での審議」という提案に対し、議論のプロセスが国民に見えない状態で行われることへの批判の声も上がっている。

■「当事者は意見を言えない」弁護士が指摘する皇室めぐる“オープンな議論”の必要性

 こうした姿勢に対し、三輪氏は皇室典範の特殊な性質を踏まえながら、議論のクローズド化に強い疑問を呈する。

「この皇室典範の改正に関しては、当事者は一切発言できない。これが本当に大問題だと思っている。一般的な法律であれば、法律の適用を受ける国民は議論について一定の意見を言うことができる。しかし、皇室典範に限ってはルールによって拘束される当事者の方は一切意見が言えない。皇室というのはそれだけある種の特別性があり、だからこそ議論は慎重かつオープンにしなければいけない。皇族という意見を言えない人に対する尊重、最大限のリスペクト、そしてそれを間接的であれ、私たち国民も関与していることに慎重さが欠けている。クローズドで自分たちだけが決めればいいという姿勢自体に大きな問題を感じている」(三輪氏、以下同)

 皇室の意向を直接聞くことができないからこそ、国民の誰もが議論の行方をチェックして検証できる環境作りが不可欠であるとした上で、今国会での早期成立を急ぐ政府・与党の姿勢についても苦言を呈した。

「急ぐか急がないかに関しても、今どうしても決めなきゃいけないかというと、そうではない。もう少しロングスパンで検討してもいいと思う」

 将来の皇室や皇位継承のあり方を左右する重要な局面。国民一人ひとりが関心を持ち、オープンな場で慎重な議論を重ねていくことが求められている。

(『わたしとニュース』より)