新NISA『非課税』にある2つの天井と『復活枠』での落とし穴
新NISAにある「非課税枠の復活」とは
新NISAの大きなメリットの1つが利益が非課税ということがある。さらに旧NISAと違って新NISAでは、売却後には「非課税枠が復活」する。ただ、復活には条件があり、分かりにくい点もある。そのキーワードは総額枠、年間枠、買値、翌年という4つだ。
NISAの大きな特徴の1つが「非課税」がある。そして、新NISAは旧NISAと違って一度売却をしても「非課税枠が復活」するようになった。ただ、復活には条件があり、分かりにくい点があるのだ。
まずは、非課税枠について見ていこう。
新NISAには「生涯1800万円まで非課税」総額非課税枠と1年間の購入上限が決められた「年間非課税枠」の2つがある。
そして、「生涯非課税枠」は保有商品を売れば、その分の枠が“復活”してまた買い直せる「枠復活」という、旧NISAにはなかったしくみが導入された。
しかし、この仕組みを誤解している人も多い。実際「売った金額だけ枠が戻る」「売ったらすぐ買い直せる」と思い込むと、実際の動きとズレてしまう。
生涯枠1800万円といっても、年間360万円という年間上限枠があるので、現状では1080万円までしか使えない。満額の1800万円まで使えるようになるのは、2年後になってからだ。
では、新NISAでの満額、生涯枠1800万円とはどういったものだろうか。
非課税枠とは、商品を買うと埋まっていき、上限に達するとそれ以上は非課税では買い足せなくなる。このとき非課税枠の保有商品を売ると、売った分だけ枠に空きが戻り、翌年からまた新しく買えるようになるのが「枠復活」だ。
旧NISAでは、一度売れば枠は二度と戻らなかったのだが、新NISAでは「非課税の器を長く使い回せるように」と売却してできた空きを何度も使うことができるようにしたのが「復活枠」だ。
非課税1800万は「元本(簿価)」だけで含み益はカウントされない
この復活ルールでまず押さえたいのが、1800万円は元本(買ったときの金額=簿価)で数えるという点だ。つまり、運用で増えた含み益は、枠を消費しない。
たとえば100万円で投資信託を買い、それが150万円に値上がりしたとする。このとき生涯枠を使っているのは、買値の100万円分だけ。増えた50万円の含み益は枠を圧迫しない。だから運用がうまくいって、元本1800万円が評価額で2000万円にも3000万円にもなったからといって、その利益に税金がかかることはない。
つまり、1800万円(2026年現在は1080万円)は、非課税枠に入れてよい「元本の総額」の上限であって、「口座の残高金額の上限」という意味ではない。ここを取り違えると、まだ枠が余っているのに「もう上限だ」と勘違いしてしまう。
売って戻る枠も簿価ベース、復活は翌年
この“簿価(元本=購入金額)で数える”ルールは、枠が戻るときにも同じようになる。先の例でいえば100万円で買って150万円に育った商品を売った場合、翌年に復活する枠は買値の100万円分だけ。値上がりした50万円は入らない。
逆に「150万円で売れたから、翌年は150万円分買い直せる」とならない。正しくは「その商品を買ったときの金額分」が戻るだけで、売値ではないので、くれぐれも間違えないようにしてほしい。
もう1つ、タイミングでの注意がある。
枠が復活するのは翌年だ。売却したからすぐに枠が復活するのではなく、復活するのは翌年で、その年のうちに同じ枠で買い直すことはできない。実は新NISAの改正にあたって、売却した枠をその年のうちに復活させる案も議論されたが、2026年度の制度改正では見送られた。なので、当面は「復活は翌年」のルールが続く。
「年間360万円」もう1つの天井
もう1つ見落とされやすいのが、枠復活には「年間360万円」という別の天井もあるということ。生涯枠がいくら復活しても、1年間に買える額は年間枠(つみたて120万円+成長240万円=360万円)を超えられない。
たとえば、元本300万円分を売却すれば、翌年に生涯枠が300万円分復活し、また300万円分を買い直せる……ということまではお分かりだと思う。ところが、つみたて投資枠で毎月10万円(年間120万円)の積立を続けている人は、その120万円が、その年の年間360万円の枠から先に差し引かれる。すなわち、その年の非課税枠は240万円になる。
つまり、生涯枠に300万円の空きが戻っていても、その年に買い直せるのは240万円までになる。残り60万円分を非課税枠にいれるのは翌々年になってしまうというわけ。
「生涯枠が復活したこと」と「その年に360万円まで買えること」にはならないので注意が必要だ。また、積立はこの年間枠を先に埋めてしまうので、その分だけ“まとめ買いの余地”が削られる。実は、復活を当てにした機動的な売買は、思ったほど自由が利かないのだ。
上限だから、売らなければならないわけではない
誤解のないように付け加えると、生涯枠1800万円に達しても「売らなければならない」わけではない。新NISAの非課税期間は無期限なので、上限まで買った資産は、そのままずっと非課税で持ち続けられる。売って枠を空けるのは、あくまで「新しく別のものを買いたいとき」の選択でしかない。
冒頭でも話をしたが、新NISAは始まってまだ3年目。2024年・2025年・2026年と毎年満額(360万円)を投資してきた人でも、元本はおよそ1080万円どまり。1800万円の上限に届いた人は、まだ誰もいない。
なので、もう枠がなくても、売って復活を待たなくても、年が明ければ360万円の新しい枠が追加されるので、それを使えば新規に買うことが可能になる。
とはいえ、2028年には生涯上限枠の1800万円になるので、そのとき慌てないために、どこまでが非課税になるのか、また運用方法についてきちんと理解し、非課税という恩恵をフル活用していってほしい。
*本記事は制度の一般的な解説であり、投資判断はご自身の責任でお願いします。生涯非課税限度額・年間投資枠・枠復活などの最新ルールは、金融庁のNISA特設サイト等で必ずご確認ください。

