【特集】7月4日開幕 夏の高校野球・県大会『上田千曲』たった1人の定時制部員「まずは初戦突破!」【長野】
7月4日に夏の甲子園出場をかけた高校野球・長野県大会が開幕します。
1日から3日間、シリーズで注目の選手や高校を紹介します。初日は、昼は1人で練習。夜は授業。上田千曲高校でただ1人“定時制”に通う球児を追いました。
「お願いします!」
広いグラウンドでただ1人ボールを追いかける球児。上田千曲高校3年の春原創一郎選手です。
春原創一郎選手
「(1人ノックは)慣れましたね。ほぼ毎日やってるので。平日は長時間(練習が)できないので、この時間で補う感じ」
全日制のほかの選手とは、練習時間が異なります。
春原選手
「中学校時代、不登校で、その時に通信制や定時制で進路を考えていて、それで定時制の高校を選んだ。最初は(全体練習に)全然出られないという、もどかしさも ありましたけど、今は仲間も分かってくれる人が増えて、大丈夫になりました」
平日は午後2時から約2時間、1人で練習に励みます。
この時間が、ほかの選手との差を埋める唯一の時間です。
古屋慎司監督
「左の打球が良くなってきたね。左もスピード乗るようになってきたね。右はスピード乗って左は落ちてたけど、左も乗るようになったね」
春原選手を入学後からこれまでの2年半、マンツーマンで指導してきた古屋慎司監督。定時制の選手を指導するのは初めてだといいます。
古屋監督
「やっぱり最初は(練習時間が違うことを)すごく気にしていたんですけど、周りの選手たちが、とても春原を信頼してやっているのがわかったので、彼の人間的な部分がみんなを助けるっていうね。そういう方向になっていったんだと思います」
「こんにちは。」
午後4時前になると、授業を終えた全日制の選手たちが集まり、全体練習が始まります。
練習前ミーティング
宮下煌主将(3年)
「バッティング2か所。マシンは左の緩いカーブ。いきましょう!よし」
身長181センチ、体重85キロの恵まれた体格から鋭い打球を放っていきます。
しかし、全体練習での打撃練習はわずか10分。
チームの練習が本格化する中、春原選手はグラウンドを離れ、校舎へと向かいます。
午後5時5分
「あざっした!」
午後5時15分
「ほんとギリギリですね。忙しいです。毎日こんな感じです」
午後5時20分
この日は、期末テスト初日。
「全然勉強してないので、たたき込んでいます」
古屋慎司教諭(監督)
「3日間頑張ってください。あさってで1学期の成績、締めね」
午後5時25分、学校のチャイムが鳴る。
普段、練習後の授業では、機械などを使った実習が行われています。
1ミリ以下の細かな作業で金属部品を削る加工技術などを午後9時まで学びます。
定時制の高校生活は4年間ありますが、高野連の規定で春原選手にとっては、この夏が最後の大会となります。
<出場に関する規定(原則)>
①大会年度の4月2日時点で満18歳以下
②高校在籍3年以下
春原選手が授業を受けているときもグラウンドでは練習が続きます。
清水碧選手(3年)
「春原はすごく努力しているので、差とかもほとんどない。すごくかっこいいなと思います」
宇佐美悠馬選手(2年)中学時代からの後輩
「とにかくチーム思いで、みんなに優しくて接しやすい先輩です。1人だけ早く練習を上がっちゃって、ちょっと寂しいんですけど、授業も頑張っているのですごく尊敬しています」
宮下煌主将(3年)
「外野の指示役としてもバッティングでも足が速いので、小技系とか1発長打を打てる選手なので期待したい」
練習時間のハンデを感じさせない。
その努力が、チームメイトからの信頼につながっています。
春原創一郎選手(3年)
「大変だったこともありましたけど、ここまでやって、続けてきてよかったと思います。チームのために自分もできることを1つ1つやって、家族とか先生とかいつも支えてもらっているので、感謝を伝えられるようなプレーをしたいです。まずは初戦突破をみんなで頑張りたいと思います」
限られた時間の中で、誰よりも野球に向き合ってきた日々。
これまでのすべてを出し切り、最後の夏に臨みます。
上田千曲は7月6日の1回戦 松本市のセキスイハイム松本スタジアムで阿智高校と対戦します。

