60代からの「ひとり旅」を快適にするコツ。ガイドブックなしで街歩きを楽しむ方法も
自分のペースで楽しめる「ひとり旅」は気楽な反面、慣れないと大変なことも。成人した3人の子をもち、現在はひとり暮らしをしている著述家の中道あんさんは、60歳で海外ひとり旅デビュー。今年、3年ぶりにひとり旅をした中道さんが感じた「世の中の変化」への気づきと、60代以降の海外ひとり旅が快適になるコツを教えてもらいました。

3年ぶりの海外ひとり旅で「驚いたこと」
2023年にパリへひとり旅をしてから、毎年ヨーロッパ旅行をしています。そして、今回3年ぶりのひとり旅は、ヘルシンキとウィーンへ。
なぜこの2つの国を行き先に選んだかというと、どちらも人口も少なく、街全体にどこか落ち着いた空気があり、「海外は怖い」というより、ひとりでも、ちゃんと情報をもって動けば、楽しめる国だと思ったからです。徒歩でも回れそうなコンパクトな街であることも大きな理由でした。
今回のひとり旅で、私がいちばん驚いたことは、「アプリが旅を変えていた」ということでした。
2023年にパリを旅した頃にもアプリはあったはずですが、「結局、券売機で買った方が早い」みたいな空気が残っていました。タクシーも「Uber」を使うではなく、タクシー乗り場を探すか、ホテルに手配してもらう方法が主流でした。
昔は、海外旅行といえば、
・ガイドブックが必須(事前に下調べしておくこと!)
・わからないことがあれば現地の人に聞く
・乗り物の切符は窓口で購入する
・ある程度の英会話力が必要
といった印象で、上記が無理ならパッケージツアーに依存するしかなく、自由旅行というと“どこか旅慣れた人のもの”という感じがありました。
しかし今回、そういった旅の大変さを経験せずに過ごせたことも驚きでした。
●初めての海外ひとり旅での「衝撃の体験」
3年前、初めてひとりで海外旅行に出かけたときの私は、かなりの慎重派でした。
空港からホテルまでは、日本で頼んでおいた送迎サービスを利用。1日半ほど、現地の日本語ガイドを使って、地下鉄に乗り、カフェやレストランで一緒に食事し、観光しました。今思えば、あれは「安心と安全をお金で買っていた」のだと思います。
しかもそのとき、ガイドさんと地下鉄で移動中にスリ軍団と遭遇して、目の前で中国人の団体が被害に遭う一部始終を目撃。その体験が強烈すぎて、海外の乗り物は怖いという感覚が自分の中に残ってしまいました。
ひとり旅の「怖さ」が減った理由

その“トラウマ”もあり、今回私はなるべく徒歩で移動できる国を無意識に選んでいたのかもしれません。ウィーンはまさに歩きながら美術館や教会、カフェ巡りができる最高の場所なのです。
ウィーンのガイドブックには、「まず、Tourist Info Vienna(観光案内所)に行って無料の地図を入手すること」とありました。それを見て、街の全体像を把握することで、まず安心を得るんだろうなと思いました。
でも、今回は観光所には行かず、事前に行きたいところを「Google Map」でピン止めして、自分なりのルートを考えました。
また、3年前のように、ホテルの送迎サービスを今回も頼もうかと最初は思っていたのですが、「それじゃ成長もないし、円安の時代に60ユーロ(今のレートで約1万1100円)は高すぎる」と思い直しました。
そして、これまでの海外旅行で私がいちばん緊張していたのが「切符購入」。切符売り場での「英語が聞き取れない」「路線がわからない」「券売機も難しい」といった問題が原因でした。しかも、うしろに人が並ぶとせっかちな私はさらにあせる。もう全部投げ出したい気持ちになるくらいだったんです。
でも今回は、地下鉄やトラムも、空港列車のCATも難なく使うことができました。その理由は、切符を事前にアプリで買えたから。旅でいちばんのストレスだった「切符がうまく買えない」という問題が解消されたんです。
もちろん、アプリは英語表記。でも、わからなければChatGPTに聞いたら親切に教えてくれます。何回聞いても怒らない。なんとも優秀で優しいアシスタントです。
不安にかられることもなく「ホテルまで電車で移動できた」それだけで十分満足でしたが、「ぜひトラムを使って」と教えてくれた人がいて、ウィーンの交通アプリを入れてみることに。すると行動範囲が一気に広がって、予定になかった場所へも気軽に行けるようになったのです。
60代のひとり旅をラクにした「7つのこと」

今回、私の旅のスタイルはすっかり変わりました。
・電車アプリで事前購入
・目的地へはGoogle Mapで移動
・翻訳アプリで会話
・ChatGPTに聞く
・QRコードを提示する
・アプリでレストラン・ホテルを予約
・飛行機の変更情報をメールで確認
すべて、スマホの中でできるように。
もちろん、最初から全部わかっていたわけではなく、わからないことはその場で調べていました。これが、昔の旅とはまるで違うことでした。
昔なら、地図が読めないと絶対に迷子になってしまうし、ルート選びも下調べが必須でした。でも今は、Googleマップがあれば、道に迷うことはほぼありません。
レストランのメニューひとつ読むのも以前は大変でした。翻訳アプリなんてない時代は、読めないまま「多分これかな」と、ほとんど当てずっぽうで注文。実際、想像と全然違う料理が出てきて驚くこともありました。でも、今はスマホで簡単に翻訳できます。
50代、60代になると、「英語ができないし」「海外なんて不安」「もう若くないから」と、自分で可能性を閉じてしまうことがあります。でも案外、昔よりも「ひとりでも動きやすい世の中」になっているのかもしれません。
