毎週金曜日配信中のポッドキャスト番組『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話 powered by ゲキサカ』でパーソナリティを務めるお笑いコンビ「ヤーレンズ」の出井隼之介さんがサッカー記者を体験!

 北中米ワールドカップに臨む日本代表の壮行試合として5月31日に国立競技場で開催されたキリンチャレンジカップ・アイスランド戦を出井さんがゲキサカの記者として潜入取材。記者席から見た90分、さらには試合後の監督会見にも出席してみた観戦記を寄稿してもらいました。

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 まだ5月だというのに7月を彷彿とさせる熱気の国立競技場。生ぬるい風が芝生をゆっくりと揺らす中、代表選手の紹介が始まる。

 伊東純也、久保建英、ブラボー(長友佑都)にはひときわ大きな歓声が上がる。国立のスタジアムDJの方のボイスは煽るというよりも訴えかける系の泣かせる美しい声だ。

 初めて記者席というものに座らせてもらった。こんな機会はまたと無いと思い、ピルロを彷彿とさせる視野の広さで周囲を見渡すと、記者の方のMac使用率の低さに気づく。ではPCは何を使っているのかというと、パナソニックのレッツノートだ。やはり記者にとっては充電環境外での駆動時間とタフさが大事なようだ。記者席におけるパナソニック使用率はあの頃のバルサのボールポゼッションを彷彿とさせる。

 そして、記者席は選手入場時のスマホライトを掲げる演出には加わらない。関係者席のノリが悪いのはお笑いライブを彷彿とさせる。

両チームが試合前に整列する

 折り畳まれたキリンチャレンジカップの旗が運ばれてくると、赤と所々の白のその色合いを遠目に見た僕が巨大なマグロの切り身が運ばれてきたと空目してしまう珍事もありつつ、キックオフ。

 10分だけ出場の吉田麻也をセレモニーで送り出したのだが、この時ばかりは記者席からもあたたかい拍手が送られていた。こういった功労者を労うイベントは定番化していくといいと思う。

前半14分に途中交代したDF吉田麻也からキャプテンマークを受け取るMF遠藤航

 さて、枕が長くなってしまった。このままでは抱き枕を彷彿とさせてしまうので、さすがに試合の話を書こう。

 今回のテストマッチでの注目ポイントはなんといっても左サイド。怪我で今大会欠場となった三笘薫の穴をどう埋めるのか、である。そしてもう一つは怪我明けの遠藤航、冨安健洋のコンディション。この二つに注目して試合を観戦した。

 前半は伊東を左のシャドーで起用し、その後ろに中村敬斗。ここがどう機能するか。前半8分、早速その中村がシュートを彷彿とさせるクロスでチャンスを演出。しかし、その後は引いて守るアイスランドを相手に、記者席のレッツノートにも静かな時間が続く。

 その他の試合の注目ポイントとしては、今大会から導入されるいくつかの新ルールが挙げられる。その新ルールが前半24分、早速発動。『ハイドレーションブレイク』である。これは給水時間という名目なのだが、実際目にすると「CMタイムなのでは?」と勘繰ってしまうくらいに長い。かつてテレビ中継の試合時間表示の部分にスポンサーのロゴを初めて入れたアメリカが、ここに来て新施策を打ち出したのかもしれない。

W杯本大会でも採用されるハイドレーションブレイク

 前半35分にフリーキックのこぼれ球から久保のシュートが枠内を捉えるシーンや、久保のクロスから中村がヘディングで合わせるシーンもあったが、左サイドからの崩しはなかなか見られない。

 逆にかなり引いて守るアイスランドはロングボール一発でチャンスを作ろうとするが、そこは冨安ら盤石のディフェンス陣がチャンスの芽を摘んでいく。冨安は前半アディショナルタイムに枠内を捉えるシュートも放っており、コンディションは良さそうである。さらにもう一つ、この試合の後半からボランチで起用された瀬古歩夢も終始良い働きをしており、この2人の回復と適応は大きな収穫だろう。

試合を見ながらメモする出井さん

 しかし、冨安と同じく怪我明けの遠藤は接触プレーがあったようで前半で交代となった。接触プレーの際、記者席からは美木良介のロングブレスダイエットを彷彿とさせる長いため息が聞こえた。試合後の森保一監督のコメントによると、足に違和感があったようで心配だ。
(編集部注:遠藤航は6月11日に代表チームからの離脱が発表された)

 後半からはその遠藤も含めて選手もフォーメーションも大幅に変更しての戦い。本戦でもシチュエーションによっては引いて守られる可能性はある。打開できるパターンはいくつ試しても良い。後半18分、交代で入った小川航基のシュート。その直後には久保が突破で沸かせるシーンもあったが、なかなかゴールネットは揺らせない。ようやく後半42分、菅原由勢のクロスに小川がヘディングで合わせゴール。そのまま試合終了。

試合後の壮行セレモニーで挨拶するキャプテンのMF遠藤航

 結果よりも内容や成果が求められる試合を、一定の成果を上げつつ勝利できたのは大きいのではないだろうか。実際に記者席から目にした日本代表は終始落ち着いて見えたが、終了後のセレモニーでは監督以下選手皆が口を揃えて「優勝」と口にしていたのが印象的だった。

 もちろんまだ隠しているカードもある。本戦で見ているこちらが驚く采配も飛び出すだろう。「優勝」。それはおそらく絵空事ではない。森保JAPANのこれまでの歩みと、この90分にはそれだけの説得力があった。

森保一監督の記者会見に参加する出井隼之介さん

真剣な表情で会見を聞く

(取材・文 出井隼之介)