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イランと米国・イスラエル間の戦闘長期化の影響が、思わぬ分野に及んでいる。韓国が開発した中距離地対空ミサイル「天弓2(M-SAMⅡ)」が国際市場で注目を集め、韓国の防衛産業に特需の兆しが見え始めているのだ。

ウクライナ戦争や中東での衝突で防空ミサイルの消費量が急増し、各国で弾薬不足が深刻化している。特に中東では、イラン側から発射される攻撃用ドローン(無人機)やミサイル攻撃への警戒が強まり、防空体制の強化が急務となっている。

しかし、米国製のパトリオットミサイルなど既存の防空システムは生産が追いつかず、納期の長期化が続いている。このため各国は代わりとなる防空兵器を探しており、その有力候補の1つが、韓国製の迎撃ミサイルなのだ。

天弓2は弾道ミサイル迎撃を想定して開発された中距離防空ミサイルで、韓国軍の防空システムの中核を担っている。車輪のついた砲台に、多機能レーダー、ミサイルを8発装着可能な移動式発射台が備えられている。最高マッハ5の速度で飛び、地上15~20キロの地点で無人機や弾道ミサイルを迎撃する。

韓国メディアによると、天弓2が関心を集める理由は、性能、価格競争力、供給能力の3つだ。中東ではアラブ首長国連邦(UAE)が導入し、評価されている。すでにイランとの戦闘で実際に使用され、「9割の命中率」(UAE国防省)だったという。

価格面でも競争力がある。近年多用される自爆ドローンは、機体の価格が500万円程度だが、それを迎撃するミサイルは、はるかに高価だ。米国のパトリオットミサイルの場合、1発6億円とされ、100倍もの差がある。この防空コストに各国は頭を悩ませている。韓国の防空ミサイルの価格は「米国製の3分の1」(朝鮮日報)で済むため、コスト面で圧倒的に優位だ。

さらに韓国防衛産業の生産能力も注目されている。米国や欧州ではウクライナ戦争などの影響で兵器生産は逼迫しているが、韓国企業は比較的短期間で装備を供給できる体制を整えている。こうした事情から、中東諸国の間では韓国製防空システムへの問い合わせが相次いでおり、防衛関連企業の株価も上昇している。

韓国で武器輸出が広く認められている背景には、北朝鮮との長年の軍事的対立がある。韓国は早くから兵器の国産化を進め、戦車、砲兵、航空機、ミサイルなどを自国で開発・生産する体制を築いてきた。

しかし、軍事装備は開発費や生産コストが極めて高く、国内需要だけでは産業として維持することが難しい。このため韓国政府は、防衛産業を輸出産業として育成する政策を取り、装備の海外販売を積極的に推進してきた。現在世界で10位前後の武器輸出国に成長している。

一方、日本では長年、武器輸出が厳しく制限されてきた。しかし今年3月、自民党や日本維新の会などが防衛装備移転3原則の運用見直しを提言するなど、輸出規制を緩和する議論が進んでいる。世界は慢性兵器不足状態であり、輸出された日本製の武器は、すぐさま他国の戦争に使われる。こういった現実について、十分論議しておく必要があるだろう。

文/五味洋治 内外タイムス