ラブブも登場 ウォルマート のホリデー商戦は「庶民派リッチ」路線へ

記事のポイント ウォルマートが高所得層を取り込みつつ、低価格イメージを維持する戦略を強化している。 「誰か知ってた?」キャンペーンの成功を受け、ホリデー期に向けてマルチチャネル展開を拡大している。 ブランド再評価を促進しつつ、即日配送や会員制サービスの利用者増加を実現している。
ウォルマート(Walmart)の新しいホリデーキャンペーンは、10月末、サンデー・ナイト・フットボールの放送中のCMでスタートした。舞台はドクター・スースにインスピレーションを得たフーニュービル(WhoKnewVille)という街だ。CMのなかでナレーターは、この街の住民のフー(Who)たちがウォルマートからのサポートがないホリデーシーズンにストレスを感じていると語る。あるフーは、「誰かラブブ(Labubu)を見つけるのを手伝ってくれないか? というか、ラブブとは何か?」と尋ねる。
ブランド刷新を象徴する「誰か知ってた?」キャンペーン
この架空の町とキャンペーン名は、ウォルマートの以前の広告キャンペーン「誰か知ってた?(Who Knew)」を活用したもので、価格と価値を重視しつつも、高所得層の顧客層拡大に向けた同社の再定義の動きを引き続き推進している。HBOのドラマ『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾート(The White Lotus)』のウォルトン・ゴギンズが主演する「誰か知ってた?」キャンペーンは今夏に開始され、ウォルマートが取り扱うすべての商品を顧客に「もう一度見直す」よう喚起することに重点が置かれた。
ウォルマートの「誰か知ってた?」キャンペーンは、ウォルマートが単なる大型店や低価格帯の小売店ではなく、5億点以上の商品を扱うオンラインマーケットプレイス、即日配送、会員プログラムなどを備えた企業へと進化していることを消費者に伝えることが目的だった。同社は現在、このフォーカスをホリデーシーズンを通して展開していく予定である。
「ギフティングとスピードの季節」に合わせた多面的展開
ウォルマート米国CMOのウィリアム・ホワイト氏は、「これは『誰か知ってた?』の成功を基に、ギフト、セール、このスピードに合わせてデザインされたマルチチャネルの文化を牽引する体験へと昇華させた素晴らしい取り組みだ」とModern Retailに語った。
アドウィーク(Adweek)によると、このキャンペーンはテレビに加えて、YouTube、ソーシャルメディア、eコマース、インフルエンサーパートナーシップなど複数のチャネルで展開される予定だという。
ホワイト氏は、キャンペーンのストーリー展開は、顧客の意見に基づいていると述べる。それは、今シーズンのホリデーショッピングをどのようにしてすべて済ませられるかという懸念である。
「ホリデーシーズンは喜びの季節であると同時に、ストレスの季節でもあることを理解している。我々は、顧客のニーズに応えるべく、インスピレーションから実行までホリデーシーズンのあらゆる場面で顧客をサポートできることを示している」とホワイト氏は述べた。
オンラインと店舗をつなぐ拡張戦略
このキャンペーンは、ウォルマートが実店舗とサードパーティマーケットプレイスを通じて品揃えを拡大してきた方法を反映している。キャンペーンで最初に紹介された商品のひとつであるラブブはオンラインマーケットプレイス限定の商品だ。
「このホリデーシーズンでは、『誰か知ってた?』キャンペーンを実施した数カ月間と同様に、消費者にホリデーシーズンのあらゆるニーズについてウォルマートを検討してもらいたいと思っている。そのため、フーニュービルでは1Pと3P両方の品揃えを実現している」とホワイト氏は述べた。
また、ホワイト氏は「フーニュービル」キャンペーンでは、ホリデーシーズン中に顧客が感じるさまざまな懸念を追跡し、その過程のさまざまな時点でウォルマートが顧客のニーズにどのように対応できるかを明らかにすると語る。
「シーズン序盤はギフトやインスピレーションに関する話題が目白押しだ。ブラックフライデーが近づくにつれ、セールについて重点的に取り上げ、シーズン後半には迅速な配送や即日配送といったサービス能力に注力していく」とホワイト氏。「消費者はもちろん価格を重視しているが、利便性とスピードも重要だ」。
ブランド認知・利用率の向上効果
ホワイト氏は、これまでの調査結果から、「誰か知ってた?」キャンペーンが、配送のスピード、商品ラインナップの幅広さと質、会員プログラムと配送の価値という点で、ウォルマートブランドに対する顧客の認識向上に役立っていることが明らかになったと述べる。
「これらの面での再評価や検討レベルの増加だけでなく、速達配送の普及率の向上、マーケットプレイスを通じたロングテールな品揃えの普及率の向上、そしてウォルマート+(Walmart+)会員プラットフォームへの加入者数の増加といった、利用状況も改善している」とホワイト氏は語る。
高所得層の取り込みとバリュー訴求の両立
リテールコンサルタントでウォルマートやほかの小売業者の元バイヤーである、ベネディクト・エンタープライゼズ(Benedict Enterprises)のスコット・ベネディクト氏は、ウォルマートやサムズクラブ(Sam’s Club)などの小売業界の幹部から、オンラインと実店舗の両方で小売業者と関わる顧客は、平均購入額、購入頻度、ロイヤルティなどのKPIの点でより価値が高い傾向があるという話をよく耳にすると述べる。
このキャンペーンは「これまでは興味がなかったり、どのようなものか知らなかったりする商品も見てみようかという動機付けをすることで、オムニチャネルメッセージをまとめている」とベネディクト氏は語る。
ウォルマートにとっての課題は、複数のメッセージを巧みに使い分け、オンラインで取り扱うさまざまな商品を宣伝しながら、複数のセール商品を中心としたショッピングイベントを開催しつつ、高所得層の顧客を獲得することだ。たとえば、ウォルマートにはサンクスギビング向けのミールバスケットに注力している。これは10人家族が40ドル(約6400円)以下で食べられると謳われている。また、ウォルマートは今年のホリデーシーズンには20ドル(約3200円)以下の商品を数千点を販売すると述べている。
「ウォルマートは、これまで自社がどのような会社で、誰にとって重要だったかという歴史的メッセージを強化しつつ、同時に顧客基盤を拡大しようとしている」とベネディクト氏はいう。「ウォルマートは依然として価値について語り、価格帯に収まるギフトのメリットを伝えようとしている。これはホリデーシーズンにおいて常に非常に重要なメッセージで、同時に、より幅広い層に訴求できるオファーも展開している」。
ブラックフライデーに向けて加速する値下げ戦略
ホワイト氏は、今年、ウォルマートは例年よりも速いペースで値下げを実施していると述べ、ブラックフライデーが近づくにつれて、顧客は最良のセールと価格を見つけることにさらに注力するだろうと予想している。
「全国的に、そして当社の顧客基盤全体にとってバリューが重要であることを認識している」とホワイト氏は語る。「キャンペーンでは、特にブラックフライデーのホリデーシーズンということもあり、セールに力を入れていく。手頃な価格で高品質な品揃えを提供するために、当社のマーチャントらが尽力してくれた素晴らしい取り組みについて伝えていきたいと思っている」。
[原文:Walmart highlights Labubus and luxury fashion in new holiday ad]
Mitchell Parton(翻訳・編集:ぬえよしこ)
