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たった一人から始まった挑戦が、チームを動かしました。大分県の由布高校野球部で、バットを振り続けてきた2年生キャプテン。その姿に心を動かされた仲間たちが集まり、今年ついに単独チームとしての出場が実現しました。

【写真を見る】“たった一人”から始まった挑戦 由布高校野球部12人でつかんだ夏、単独出場へ

監督に直訴「夏は単独で」

3学年あわせて部員12人の由布高校野球部。この春から野球を始めた初心者もいるなか、チームをけん引するのは、2年生キャプテンの池田康平選手です。

池田選手:
「一人のときよりもプレーの幅が広がるというか、人数がいるからこそできるプレーがたくさんあるので、すごくうれしかったです」

チームは去年、夏の県大会後に部員不足で試合が組めなくなり、2年生が退部。当時、唯一の1年生だった池田選手は、迷いながらも一人で野球を続けてきました。

池田選手:
「一人で何ができるんだろうとか悩みました。周りから『高校野球は、高校生活の中の一つの青春だよ』と言われ、そこで続ける決心をしました」

春が過ぎ、グラウンドには再び活気が戻ります。池田選手の姿を見て、一度は離れていた3年生が復帰。1年生も入部してきました。

世利監督:
「今ここで一生懸命やっていないと、本番で力が発揮できないまま終わる。人数が少ないので一体にならないと勝てない」

部員たちを大きな声で鼓舞するのは、今年4月に赴任したばかりの世利謙典監督。就任早々、池田選手から『夏は単独で出場したい』と相談を受け、ともに部員勧誘に奔走しました。

世利監督:
「これまで教員をしてきた中で、あれほど真っすぐ思いをぶつけられたのは初めてで、衝撃を受けました。これはもう監督としてやるしかないなと思いました」

12人の夏、目標は「校歌」

初めて単独で出場したのは4月の公式戦。夏の大会で第2シードとなる大分商業を相手に、池田選手は2安打を記録。チームは敗れたものの、1点をもぎ取り、手ごたえをつかみました。

池田選手:
「これぞまさに高校野球っていう感じでした。一日一日を大切に使って、絶対勝てるようなチームに育てていきたい」

夏の大会に向けて、実戦練習を重ねて攻守両面を強化。4番を任されている3年生・佐波伶夢選手は長打が期待される主砲。エースとしてもマウンドに立ち、緩急を使ったピッチングで試合をつくります。

佐波選手:
「こうやって戻ってこれた高校野球を最後まで全力でやり遂げ、“楽しかった”で終われる高校野球にしたいです」

開幕の1週間前、背番号が渡され、部員の士気もさらに高まりました。由布ナインの目標は「まずは1勝」。そして勝利したチームだけに許される「校歌を歌う」ことです。

池田選手:
「どんどん勝ち上がって、どんどん校歌を歌っていくのが自分たちの目標です。ポジティブな声を出しながら、笑顔で全員野球ができたらいいなと思っています」

練習後、毎回チーム全員で校歌を歌いながら思い描いてきたのは、スタンドの仲間たちと勝利の喜びを分かち合う瞬間。その日を信じて、今日も白球を追い続けます。