小室哲哉(左)、氷川きよし(右)/撮影:能美 潤一郎 (C)水木プロ・東映アニメーション

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水木しげる没後10年を記念して、4月6日(日)朝9時よりフジテレビほかにて放送される『ゲゲゲの鬼太郎 私の愛した歴代ゲゲゲ』のエンディングテーマ「Party of Monsters」を氷川きよし with t.komuroが担当。小室哲哉がプロデュースを務めたテクノ色の強いEDMで、氷川はラップにも挑戦。活動休止から昨年復帰し、『NHK紅白歌合戦』への出演でも話題を集めた氷川きよしの復帰第1弾でもある同曲について、氷川きよしと小室哲哉がインタビューに応じてくれた。

■マイケル・ジャクソンの「スリラー」をイメージ

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――『ゲゲゲの鬼太郎 私の愛した歴代ゲゲゲ』のエンディングテーマを、氷川さんと小室さんで手がけられたことについて教えてください。

氷川きよし:憧れの小室哲哉さんの楽曲を歌わせていただくことができて、とても感動していますし、すごく嬉しいです。自分の青春時代に生きる力をくださって、小室さんの楽曲を聴いて「頑張ろう」と思ってやって来ました。その小室さんの歌を、今自分が歌い手として歌うことで、これからの人たちにとっての生きる力になったらいいなと思っています。また、『ゲゲゲの鬼太郎』のテーマソングを担当するのは、今回で3回目になるのですが、今回もより多くの方の耳に届いたらいいなと思っています。

小室哲哉:TM NETWORKのメンバーである木根さん(木根尚登)がKIINA.(キイナ/氷川きよし)と交流があって、折々で「キイナは洋楽も好きなんだよ」など話を聞いていて、ずっとおすすめされていたのもあって、「何か一緒にできたらいいな」と思っていました。それで去年コンサートを拝見したのですが、演歌だけじゃなくTM NETWORKの「SEVEN DAYS WAR」やクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」を日本語訳でカバーされていて、すごく幅広くて「どんな曲調でも歌えそうだ」と思って、いろんな可能性を感じました。僕自身は昨年からアニメづいていて、映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の主題歌「FREEDOM」を西川(貴教)くんとやらせていただいたり、Netflixで配信された『シティーハンター』のエンディングテーマをやらせていただくなど、アニメ関連の楽曲制作が続いたのもあって。「KIINA.とやるならアニメのタイアップがいいな」と思っていて、そんな話をしていたら今回かなりバッチリだなと思うタイアップをいただけました。楽曲については瞬間でパッと全部思い浮かんだわけではなく、去年の11月くらいにお話をいただいて、昨年内は「どうしようかな~」とずっと悩んでいました。最終的には、僕っぽさもあるけど今っぽくもある、その真ん中くらいを狙えたら、きっとKIINA.に合うんじゃないかと思って、歌い上げられるところと、今っぽくラップするところを、うまく混ぜられたらいいなと思って作りました。頭の中ではマイケル・ジャクソンの「スリラー」をイメージしていましたね。

――氷川さんにとっては、復帰後初の新曲ということになります。

氷川:はい。子どもの頃から見ていたアニメで、主題歌とエンディングテーマと過去2回担当させていただいた『ゲゲゲの鬼太郎』で、また新たなスタートを切ることができるのは、とても光栄なことだと思っています。まるで鬼太郎が背中を押してくれているような気持ちですし、さらに小室さんのお力もお借りして、再スタートとしてとてもインパクトのあるものになったんじゃないかと思います。世間の方は昨年末の『NHK紅白歌合戦』で歌わせていただいた「白雲の城」のイメージから、「新曲はきっと演歌だろう」と思っていらっしゃる方がほとんどだと思いますけど、そこをバッと裏切った曲になりました。そんな裏切りも時には大切ですし、自分の歌の世界を広げてくれそうな曲で、今はすごくワクワクした気持ちです。

――テクノの楽曲ですけど、歌った感想はいかがでしたか?

氷川:ラップもある楽曲で、今までやったことのない歌い方をしなくてはいけなくて、かなり挑戦させてもらった感覚でした。レコーディングのときは、小室さんが優しくご指導してくださって、少しずつ「こうやって歌って」と見本を見せてくださりながら、長時間のレコーディングにもお付き合いくださったので、自分もそれに応えたい一心で、まるでキャッチボールをするように録っていきました。でもレコーディングはすごく楽しくて、ラップはやったことがなかったけど「やってみないと分からないものだな」と思いましたね。「限界突破×サバイバー」のときも最初は「歌えないかも」とずっと言っていたので、「歌えない。無理だ」と思っているくらいの方が、いいものができるんだなと、自分の中で新たなジンクスが生まれたかもしれません(笑)。挑戦することは何歳になっても大事で、47歳になってラップは無理だろうと思ったけど、やってみたらすごく楽しくて自信にもなりました。

――小室さんは氷川さんのラップを聴かれて、いかがでしたか?

氷川:怖いんですけど(笑)。

小室:演歌特有の長い音符に慣れていらっしゃるので、16分の短い音符が羅列するこの曲は、KIINA.が何十年とかけて習得してきたプロの技が全く使えない曲だったので、きっと大変だったと思います。急にお子ちゃまみたいな歌い方になってしまうときがあって、そこをいかにプロっぽく聴かせるかで、KIINA.らしさは消さずに新しい歌い方の魅力に繫がるんじゃないかと思って、最初は何回もいろんな歌い方をしてもらって、どれがハマるかを模索しました。あとバージョンを2つ作りました。ラップ調じゃないものも作ったんですけど、ラップがある方が、インパクトがあって良いということで、こちらのバージョンを採用することになりました。

■妖怪のひとりとして歌いました!

――先ほどマイケル・ジャクソンの「スリラー」をイメージしたというお話が出ましたが、『ゲゲゲの鬼太郎』らしさはどんなところで意識しましたか?

小室:鬼太郎はヒーローではあるけれど、決して爽やかなヒーローでもなく、いわゆるダークヒーローですよね。それで、マイナー調でスピード感のある楽曲がいいなと思いました。またバトルシーンもあるので、下駄や髪の毛針が飛び交う、スピーディーなバトルシーンが浮かぶ曲にしたいとも思いました。あとは、多彩な妖怪たちの個々のキャラクターの強さを1曲に詰め込みたくて、妖怪たちによるフェスのようなものがあったとして、こんな感じだったらいいなとイメージしましたね。ねこ娘がめちゃくちゃ躍っていたりとか、そういうこともイメージしました。

――ミュージックビデオも撮られたそうですね。

氷川:はい。楽曲をフルで聴いたときに絵が浮かびやすくて、MVはどういうシチュエーションで、衣装はどういう感じで、自分がどんな風に立って歌っているのか、すごく浮かびやすかったです。楽曲からイメージしたままの映像ができたので、早く皆さんに見て欲しいですね。

――氷川さんは、鬼太郎になったつもりで歌ったのでしょうか?

氷川:いえ、もっと客観的な立ち位置で、妖怪のひとりとして歌った気持ちです。

――歌うにあたって気をつけたことはありますか?

氷川:先ほど小室さんもおっしゃいましたけど、子どもみたいになってしまうところがあるから、プロっぽく歌わなきゃと思って。とにかくデモテープを朝起きてから夜寝るときも聴いて、それこそ呪文やお経のように四六時中唱えていました。歌えるようになるには、それしかないと思ったからです。小室さんからいただいたデモテープが完璧だったから、自分が歌うことでその完璧さが損なわれないように、どうすれば良くなるか、ここに氷川きよし=KIINA.がいる意味がちゃんとあるか、いろいろなことを考えながら歌いました。その過程で、生意気ながら「こうしたいです」と意見を言わせていただいたところもあって、すごく情熱的な気持ちになりました。この楽曲に対して愛情がどんどん沸いていって、自分にとってとても大切な楽曲になりました。

小室:KIINA.はもともとシンガー/パフォーマーとしては堂々たるプロですから、とことん追求すればいいじゃないかと思って、僕もレコーディングにお付き合いさせていただきました。

氷川:ありがとうございました。

小室:僕は僕で、歌詞で皆さんに伝えたいことがメッセージとしてあったから、それをパフォーマーとして、これから先もずっと伝え続けてくれることをお願いしたいです。

氷川:はい! 一万回は歌います!

■秋までロングヒットしてハロウィーンでバズってほしい

――歌詞も小室さんが手がけているとのことで、『ゲゲゲの鬼太郎』のどんなところに着目して作詞をされたのですか?

小室:アニメを見させていただいて、鬼太郎は結局アンチヒーローなんですよね。妖怪なのに妖怪を倒すという。それに自虐的なところもあるなと思いつつ、水木しげる先生のことをいろいろ調べると、戦争を体験されて、無事にお帰りになって好きなマンガを描けるようになったわけですけど、戦争体験によって、善悪の基準がいい意味で人とは違うものになった。妖怪と人間、どっちが良いとか悪いとかは、ときと状況にもよるんだということを、結局は伝えたかったのかなと思いました。僕の個人的なメッセージとしては、地球環境、温暖化、政治や戦争、全部のことを含めて、それを妖怪に置き換えながら、妖怪が悪いばかりじゃないと、ひとつのメッセージとして伝えています。

――『ゲゲゲの鬼太郎』は長く愛されている人気の作品ですが、小室さんの楽曲も氷川さんが歌う演歌も長く愛されていて、普遍性という部分では同じなのだと思います。普遍的なものを作るという部分で、小室さんが意識されるのはどんなことですか?

小室:一見(一聴)して分かりやすいことが、とても大事だと思っています。何十年もの間、人気のIPコンテンツのキャラクターは、完璧ではなくても何となくみんな、絵に描けるじゃないですか。そういう分かりやすさ、誰もが共通して持てるイメージを意識して作られたキャラクターがいる作品は、長く続いている印象があります。それは歌もそうです。急にカラオケで入れられて「歌ってよ」と言われて、その曲をよく知らなかったとしても、歌詞を見たら何となく歌えてしまうのが普遍的な曲です。自分の曲にもそういう曲はいくつかあって、僕の場合は結果的にそうなったものがほとんどですけど、そういう曲は、もはや自分の曲という感覚は薄いですね。「みんなの曲」みたいな。

――『ゲゲゲの鬼太郎 私の愛した歴代ゲゲゲ』という企画が成立するのも、「みんなの鬼太郎」になっているからですね。

氷川:そうですね。演歌にも多くの人に長く愛されている曲は多いので、歌い手として、そういう曲を歌い継いでいきたいです。その中には、もちろん今回の「Party of Monsters」も含まれます。10年先、20年先になって、「子どものときに聴いていました」と言われたらすごく嬉しいし、「あなたの歌に力をもらった」と言われることが、歌い手としての生きがいです。そういった、楽曲の持つパワーが年月を経ても色褪せないような曲にしたいという思いは、小室さんとの共通意識としてありました。

小室:長く聴いてもらうためにはもちろんインパクトも必要で、KIINA.がこの曲を歌ってくれることで生まれるインパクトには、僕も大いに期待をしています。「ありそう」ではなく、「今までになかったもの」というね。

氷川:振り付けもとてもキャッチーで、誰でもすぐマネしてもらえそうなものを考えていただいたので、ぜひTikTokなどSNSで多くの人にたくさん躍ってもらえたら嬉しいです。でも最近の方は、こちらから「やって!」って言うと、逆に引いちゃうらしいですね(笑)。でも実際に聴いたら、きっと自然に躍りたくなると思います!

小室:ダンスもそうですけど、誰もが楽しめる題材ですので、KIINA.と鬼太郎には秋まで頑張ってもらって、ハロウィーンでバズってくれたら嬉しいです!