スペイン人の「リアルな食事」。毎日パエリアは食べない、生ハムはお刺身感覚
日本人が思うスペイン料理と言えば「パエリア」ですが、じつは頻繁には食べないものだそう。50代でスペインに単身留学して3年になるRitaさんが、スペインの人達と一緒に過ごし、「自然と食べる機会が増えた料理」を7つレポートしてくれました。どれも「スペインになくてはならない味」なものばかりです。

1:パン・コン・トマテ(Pan con Tomate)

朝食や軽食でよく登場するのが「パン・コン・トマテ」。これは、トーストしたパンに熟したトマトをすりつぶして塗り、オリーブオイルと塩をかけたシンプルなもの。スペイン北東部のカタルーニャ地方発祥の料理ですが、スペイン全土で、カフェの朝食、バルのおつまみなどで見かけるお決まりメニューです。
カリッと焼いたパンにトマトの爽やかさと、オリーブオイルのコクが絶妙に絡み合う1品。そのシンプルさがやみつきになり、私も外で朝食をとるときは、高確率で注文しています。
2:ハモン・イベリコ(Jamón Ibérico)

生ハムの一種「ハモン・イベリコ」。イベリコ豚の生ハムで、高級品として知られており、レストランメニューでも見かけない店舗はありません。
スーパーの食材コーナーでは、いろいろな生ハムの原木が吊るされており、目の前でスライスしてパックに詰めて販売。またスペイン人の家に招かれると、おつまみとして最初に出てくることが多いです。
スペインで初めて口にしたときは、私の今までの生ハム概念をくつがえしました。しっとりとした舌触り、適度な塩気、ナッツのような芳醇な香り。生ハムって口の中で溶けるんだ…と驚いたものです。スペイン人にとって「ちょっといいもの」「ちょっとしたもの」といえば「生ハム」。日本のお刺身や漬物の感覚に少し近いかもしれません。
3:トルティージャ・デ・パタタ(Tortilla de Patatas)

卵とジャガイモで作るスペイン風のオムレツで、家庭料理としても定番の「トルティージャ・デ・パタタ」。レストランや市場でも良くみかけ、シンプルだけど食べるとホッとするスペインのソウルフードです。
友達の家に招かれると、なかなかの確率で「うちのトルティージャ食べてみて!」と言われるもの。家庭や店舗によってつくり方が違い、「しっかり焼く派」か「半熟派」か。それから「タマネギ入り派」か「タマネギ無し派」でも、熱い議論になったりします。
個人的には、トロリとした半熟タイプ、タマネギ入りが大好物です。
4チョコラテ・コン・チュロス(Chocolate con Churros)

朝食やおやつの定番として、スペインで愛されているのが「チョコラテ・コン・チュロス」。揚げ菓子を濃厚なホットチョコレートに浸して食べるのが一般的ですが、この甘味たっぷりのセットをスペイン人は朝食に、オヤツに、夜食に、とにかく頻繁に楽しむんです。
スペインのチュロスは、砂糖やシナモンはまぶされず、シンプルに揚げただけ。そのため、濃厚なホットチョコレートとの相性は抜群です。疲れたときも、悲しいときも、楽しいときも、この甘いセットを食べて、心も身体もホットに仕上げるのがスペイン人の日常です。
5:クロケタ(Croqueta)

スペイン人と食事をするとき、前菜として必ずといっていいほど登場するのが「クロケタ」。日本のコロッケを小ぶりにしたクリームコロッケのイメージで、外はカリッ、中はトロッとした食感が特徴。王道は生ハム入り、他にチーズ、タラ、椎茸、トリュフなどバリエーションも豊富に楽しめます。
ソースや調味料はかけず、このままパクリ!クリーミーなシチューが口いっぱいに広がる満足感が得られます。
家庭では代々伝わるその家ならではのクロケタも。お婆さまと住むスペインの友人は「外で食べるものより、うちのお婆ちゃんのクロケタがいちばん!」といつも言っています。
6:ガスパチョ(Gazpacho)&サルモレホ(Salmorejo)

夏になると、飲み始めるのが「ガスパチョ」と「サルモレホ」。どちらも冷製スープで、トマトをベースにした爽やかな味わいのものです。
ガスパチョはキュウリやピーマンなども入るサラサラ系、一方のサルモレホはパンとオリーブオイルが入りクリーミーな。どちらも栄養素が抜群で、夏場の体力維持に飲まれます。
レストランでは勿論のこと、スーパーではペットボトルや紙パック入りも売られており、日常的に手に取りやすい存在。「暑い日にはこれがないと!」と人々から思われていて、夏には欠かせない栄養ドリンクなんです。
7:エンサラダ・ルサ(Ensalada Rusa)

レストランに入り、なにか軽く頼もうか…どうする? となったとき、よく登場するのが「エンサラダ・ルサ」。「ロシア風サラダ」という意味ですが、これ、スペインで定番の冷製ポテトサラダなんです。
ゆでたジャガイモに、ゆで卵、ツナ、人参、グリーンピース、オリーブも混ざり、たっぷりのマヨネーズで和えられたもの。日本のポテトサラダよりも少し濃厚で、バゲットやクラッカーに乗せて食べられることもあります。
よくバルのカウンターには大皿で盛られ、「おいしいエンサラダがある店はいい店」と言われるほど店の実力が試される一品。日本の居酒屋のお通し? 肉じゃが的? な存在に思えます。

日本に住んでいるときは「スペイン料理」と聞いてまず思い浮かべるのは、「パエリア」でした。確かにスペインのレストランメニューにありますし、専門店も見かけますが、じつはスペインの人達と外食をした際に、パエリアを注文したことは一度もありません。
また、家庭でも頻繁に作るものではなく、「特別な日に大勢で食べるもの」という位置づけ。中心地では「パエリアあります!」と看板を出している店舗も多く、毎日のように食べられる? と思っていたものの、意外と観光向けなのかもしれません。
いつも何気なく食べる「スペインの鉄板ご飯」は、伝統や家庭から受け継がれた素朴な食べ物が多いように感じます。
